記事装飾
【太字】
【文字色】
黒: 青: 灰:
【文字サイズ】
大: 中: 小:
【横レス非表示】
【名前欄非表示】
1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:12:06.84 ID:0Jfr0/1zo


比奈「へえー」

比奈「もうそんな時期っスか」

比奈「いつも知らないうちにやってるから」

比奈「あんまり結果とか気にしてなかったっス」

モバP「上位5人でセレモニーやるらしいから」

モバP「なんかコメント考えておいてな」

比奈「了解っス、コメントでスね」

比奈「コメント、コメント……」


比奈「……」

2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:12:48.76 ID:0Jfr0/1zo


比奈「うええっ!?」


比奈「よ、よよ、よん……」


比奈「4位っ!?」

3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:14:24.29 ID:0Jfr0/1zo

P「そう」

P「4位」

P「高垣楓さん、本田未央さん、藤原肇さんときて」

P「堂々4位です」

比奈「」

比奈「う、うそでスよね、Pさん」

比奈「なんかの間違いじゃ……」

P「これ見て、得票数」

P「607600票」

P「やばい」

比奈「ろくじゅうまん……」

比奈「いち、じゅう、ひゃく、せん……」

比奈「……ろくじゅう、まん」

P「比奈」

P「今めっちゃいい顔してるぞ」
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:15:31.74 ID:0Jfr0/1zo


比奈「P、Pさんこれ」

比奈「ど、どうしたらいいっスかね」

比奈「これ、こんな、だって」

比奈「全然、あの、予想外すぎて……」アタフタ

P「まあまあ」

P「そのために今度セレモニーやるんだから」

P「投票してくれたみなさんに感謝の気持ちを込めて」

P「精一杯おめかしして、お披露目といこうじゃないの」

比奈「えぇ……」

比奈「だってアタシ賞状とかトロフィーとか、今まで一個ももらったことないっスよ?」

比奈「いっつも端っこの方で拍手しているだけのモブキャラだったのに」

比奈「それがこんな、よりにもよってアイドル総選挙で……」

比奈「そんな、そんな……」

比奈「うぁ~! どうすんスか~~!」

P「わかる」

P「頭かかえちゃうよね」

P「俺もびっくりしたもん」
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:16:35.41 ID:0Jfr0/1zo

P「しかし、決まったことは決まったことだから」

P「落ち着いたらコメント考えておいてな」

P「俺は当日の衣装とか手配してくるから」

比奈「は、はいっ」

比奈「あ、あの~、Pさん」

P「ん?」

比奈「衣装はあの、地味目なんでいいでスよ?」

比奈「あんまり目立たない感じのでお願いしまス」

P「……なんで?」

比奈「だって入賞したと言っても4位ですし……」

比奈「それにアタシがキラキラしすぎるのはちょーっと、その」

比奈「キャラじゃないかなーって、えへへ……」

P「……」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:18:16.85 ID:0Jfr0/1zo

比奈「あ、大丈夫っスよ! 当日は脇役に徹するつもりでスから!」

比奈「コメントも無難なのにして、他の人たちを立てるようにしてでスね……」

P「いや」

P「ダメ」

比奈「え?」

P「よっしゃ、当日はめっちゃ派手なドレスで行くぞ」

P「1位の楓さんのお株を奪うくらいの勢いでいくからな」

比奈「え、ええっ、な、何ででスかっ!」

P「背中も胸元もおっぴろげのにしてやる」

P「許さんからな、覚悟してろよ」

比奈「ちょ、あの」

比奈「許さんって……」

P「比奈、当日までまだ時間はある」

P「その間によく考えることだ」

P「60万票という結果が、どういう意味を持つのかを」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:19:07.70 ID:0Jfr0/1zo


比奈「え……?」

P「じゃ、俺行くから」

P「コメントの下書きができたら見せてくれな」

P「空いてるときにでも声かけてくれ」

比奈「あ、ハイ」

P「あと、言い忘れてた」

P「おめでとう、比奈」

P「今回の結果、俺はすごく誇らしいし」

P「めちゃくちゃ嬉しいって思うよ」

比奈「」

比奈「あ、ありがとうございまス」

P「じゃっ」


バタン



比奈「……」

比奈「ろくじゅうまんの、意味……」

8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:19:51.96 ID:0Jfr0/1zo


―――
――

9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:20:47.65 ID:0Jfr0/1zo


カチャッ

比奈「……あの」

??「うーん、こっちですかね……」


カチャッ

比奈「ちょっと」

??「あーこれもいいですね~!」


カチャッ

比奈「春菜ちゃん」

春菜「これ! これですよ!」

春菜「グッドルッキング! 比奈ちゃん、このフレームで行きましょう!」

比奈「……」

10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:21:40.90 ID:0Jfr0/1zo


スッ

春菜「ああっ! 外しちゃだめですよっ!」

比奈「言いにくいんでスけど」

比奈「当日は、コンタクトかもしれないんでス」


春菜「」ガーン


春菜「な、なん……」

比奈「あー、いや、アタシじゃないッスよ?」

比奈「Pさんがそれでいくって」

春菜「Pさんが……」

春菜「ありえません! 断固抗議します!」

春菜「コンタクトなどという蛮行、断じて許すことはできません!」

春菜「全国の眼鏡ストに対する背信行為に他なりませんよ!」

比奈「は、はあ……」

春菜「何より、せっかくの晴れ舞台ですもんね!」

春菜「比奈ちゃんも、目一杯お洒落していきたいですよね?」

春菜「そのためにも、眼鏡は必須じゃないですか!?」

比奈「……」

比奈「それなんでスけど……」

11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:23:09.66 ID:0Jfr0/1zo


――


春菜「――なるほど」

春菜「60万票の意味、ですか」

比奈「正直、こういうの全く経験なくて」

比奈「全然実感が湧かないんスよね」

比奈「途方もない数字ということは分かるんでスけど……」

春菜「そうですね」

春菜「困惑してるって感じですか?」

比奈「それっス」

比奈「これまで日陰の方でのんびりやっていたのが」

比奈「突然ひっぱり上げられて、スポットライト当てられるわけじゃないっスか」

比奈「もう場違い感が半端じゃないっスよ」

春菜「そんなこともないと思いますけど……」


12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:24:29.69 ID:0Jfr0/1zo

比奈「だからセレモニー当日もでスね」

比奈「簡単な挨拶だけして、そのままこそこそと……」

比奈「舞台袖の方に逃げてしまおうかなーなんて思ってたんでスけど」

春菜「……」

比奈「60万票入れてくれたファンの人たちも」

比奈「そういうアタシの姿を期待してるんじゃないかなって」

比奈「若干考えているんでスけどね」

春菜「うーん……」

比奈「なんかPさん的にはそうじゃないっぽくて」

比奈「こう、キラキラした衣装で行く! って息巻いてるんでスよねぇ」

比奈「だからどうしようかなぁって感じでして……」

春菜「なるほど」

春菜「……」

13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:25:41.64 ID:0Jfr0/1zo


春菜「ちょっと待っててくださいね」


ガサゴソ


比奈「?」

春菜「比奈ちゃん」

春菜「やっぱりこっちにしましょう」


カチャッ


比奈「ひゃっ」

比奈「なななんスかこれ」


比奈「これ、サングラスじゃないっスか!」

14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:27:33.46 ID:0Jfr0/1zo

春菜「おー、これは」

春菜「アリですね!」

春菜「普段の私ならまずやらないチョイスですけど」

春菜「やっぱりハレの日にはこれくらいやらなきゃですよね!」

春菜「すごい! 比奈ちゃん大物感でてますよ!」

比奈「いやいやいや!」

比奈「完全に勘違いした人じゃないっスかこれ!」

比奈「こんな格好で行ったら浮くなんてレベルじゃないっスよ!」

春菜「ふふふ」

春菜「比奈ちゃん、かわいい」

比奈「むっ」

比奈「春菜ちゃん、アタシをからかってまスね?」

比奈「ダメっスよ! これでも真剣に悩んでるんスからね!」

春菜「いえいえ、私は本気ですよ」

春菜「私は本気で比奈ちゃんに、キラキラしてほしいって思ってます」

比奈「え」
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:28:49.81 ID:0Jfr0/1zo

春菜「勘違いしたっていいじゃないですか」

春菜「全部が全部、自分の人生なんですから」

春菜「たまには日陰からでて、お日様の下ではしゃいだって」

春菜「誰も文句は言わないって、私はそう思いますよ」

比奈「春菜ちゃん……?」

春菜「私もアイドルになるまではずうっと地味で」

春菜「このまま一生、かわいくなんてなれないんだろうなって思ってましたけど」

春菜「でもPさんに出会って、比奈ちゃんとも友達になれて」

春菜「少しずつですけど、気付くことができたんです」

春菜「自分の人生、自分が主役なんだなって」

比奈「……主役」

春菜「はい!」

春菜「きっと無理なんですよ、一生脇役のままでいるなんて」

春菜「誰しもいつかは、主役になるときが来るんです」

春菜「ステージの下で、歓声を浴びる日が来るんです」

春菜「そのときのために、日々懸命に生きているんですよ」

春菜「少なくとも私は、そう思います」

比奈「……」
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:30:07.63 ID:0Jfr0/1zo

比奈「アタシは、今ってことなんでスかね?」

春菜「えっ?」

比奈「今こそ、ステージに上がるときなんでスかね?」

比奈「Pさんも、それに気づいていたからこそ」

比奈「あんなに真剣に、アタシに諭してくれてたんでスかね?」

春菜「はい、私はやっぱり、そうじゃないかなって思います」

春菜「比奈ちゃんに投票してくれたファンの人たちも、きっと」

比奈「……」

17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:31:06.19 ID:0Jfr0/1zo


比奈「アタシ、ちょっと出かけてきまス」

春菜「えっ」

比奈「ちょっと、Pさんの所に……」

比奈「あの、春菜ちゃん、本当にありがとうございまス」

比奈「なんだか、思い出した気がしたっス」

比奈「アイドルになったときの、初心に帰れたっスよ」

春菜「……」


カチャッ

比奈「ひあっ」

春菜「ふふふ」

春菜「また一緒に、眼鏡選びましょうね」

春菜「眼鏡一つで、印象がまるっきり変わりますから」

春菜「きっと比奈ちゃんも、もっとキラキラできますよ」

比奈「そ、そうでスか?」

春菜「そうですよ!」

18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:32:42.12 ID:0Jfr0/1zo


春菜「眼鏡には、人生を変える力がありますからね!」


19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:33:12.32 ID:0Jfr0/1zo


―――
――

20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:33:45.12 ID:0Jfr0/1zo


P「なんだ、その眼鏡は」

21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:34:31.43 ID:0Jfr0/1zo


比奈「いえ、あの~……」

比奈「春菜ちゃんがこれかけて行けって……」

P「……」

P「どういうリアクションすればいいんだ俺は」

比奈「や、やっぱ変っスかね?」

P「いや、似合ってるけどな」

P「ちょっと意外でな」

P「サングラスとはね……」

比奈「あ、あはは……」

P「ま、ちょうど良かったのかもしれんな」

P「外回りにはうってつけの格好だ」


22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:35:19.80 ID:0Jfr0/1zo


比奈「申し訳ないっスね、営業の途中にお邪魔して……」

P「いや、そろそろ切り上げようかと思ってたんだ」

P「これから行くところを考えれば、タイミングばっちりだ」

比奈「これから?」

P「そう、たしかその角を曲がったあたりだ」


テクテク…


P「ほら」

比奈「あ……ここ」

比奈「わぁ、なつかしいっスね」

比奈「アタシが、スカウトされたところっスね」

23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:37:05.77 ID:0Jfr0/1zo

P「決めてたんだ」

P「仕事終わったらここに来ようってな」

比奈「Pさん……」

P「もう何年前の話になるかな」

P「向こうからジャージ姿の女の子が歩いてきてさ」

P「髪がすっげえぼさぼさで、顔もノーメイクか? ってくらい化粧っ気がねえの」

P「それが挙動不審にあっちの店やらこっちの店やら覗いてて……」

P「いやーあれは浮いてたね、確実に浮いてた」

比奈「ちょ」

比奈「あの、黒歴史なんでそのへんで……」

比奈「ていうか人のことそんな風に見てたんでスか!」

比奈「地味にショックなんでスけど……」

P「あー感慨深いですわー」

P「あのときのもっさい娘がまさかなあ」

P「あのもっさい娘がなあー」

比奈「あーもう悪かったっスね! もっさくて!」ポスッ

P「うおっ」

P「肩パンだ」
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:38:28.72 ID:0Jfr0/1zo

比奈「……でも本当、昨日のことみたいでスよね」

比奈「覚えてまス? あのときPさんがなんて言ったか」

P「ん?」

比奈「アタシをスカウトしたときの言葉でスよ」

比奈「いわゆる殺し文句ってやつでス」

P「あー」

P「……なんだったかな」

P「忘れちまったな、もう」

比奈「うわ! 普通忘れまスか? そういうこと」

P「悪いな」

P「過去は振り返らないタチなんだ」

比奈「……ここに来てる時点で説得力皆無っスよね、それ」

P「……」ポスッ

比奈「あっ!」

比奈「殴った! 今殴ったっスよね! アイドルを!」

P「殴ってない」

P「スキンシップ」

P「殴ってない」

比奈「う、うわー」

比奈「めっちゃ大人げない!」
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:39:41.01 ID:0Jfr0/1zo


P「……まあ、なんつったかは覚えてないけどな」

P「なんで比奈に声をかけようと思ったかは覚えてるぞ」

比奈「アタシに……でスか?」

P「そう」

P「俺さ、比奈を一目見て思ったんだ」

P「この娘はきっと"納得させようとしている"娘だって」

比奈「……納得、させようとしている?」

P「つまりな」

P「自分は日陰者で、表舞台には出ちゃいけない存在だって」

P「身の程をわきまえて、静かに生きていくのがお似合いだって」

P「そうやって、自分自身を納得させようとしている」

P「そういう空気を、比奈から感じ取ったわけよ」

P「本当は少し、外の世界への憧れもあるのに、だよ」

比奈「……」

比奈「さすがっスね」

比奈「一瞬で、そこまで見抜いちゃうもんでスか」

P「まー、わかるわな」

P「俺も似たようなもんだったからな」
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:41:35.22 ID:0Jfr0/1zo

比奈「Pさんが?」

P「そう」

P「俺も比奈をスカウトするまでは、うだつがあがらなくてな」

P「先輩だけじゃなく、同期や後輩にもどんどん追い抜かされてた」

P「もちろん焦る気持ちはあったけど」

P「同時に、心のどこかでこうも思ってたんだ」

P「あいつらと俺とでは、きっと住む世界が違うんだろうな、ってさ」

比奈「……」

P「あいつらには生まれ持った天性の何かがあって」

P「俺にはそれがないから、差が付いちまったんだろうなって」

P「そうやって無理矢理、自分を納得させようとしてた」

P「もやもやした気持ちに、折り合いをつけようとしてたんだ」

比奈「Pさんが、そんな……」

P「そんでさ」

P「もうこれでダメだったら、転職でもすっかなって思って」

P「最後の大バクチとして、声をかけたのが比奈だったってわけ」

27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:42:33.50 ID:0Jfr0/1zo


比奈「……知らなかったっス」

比奈「初めての担当だとは、聞いてましたけど」

P「言ってなかったからな」

比奈「ずいぶん、分の悪い賭けに見えまスけどね」

P「そうでもない」

P「事実、賭けには勝ったからな」

P「やっと比奈を、ここまで連れてくることができた」

比奈「……」

P「天性やら才能なんつーのはまやかしで」

P「住む世界が違うなんてのは詭弁でしかない」

P「俺たちは日陰者のままじゃなくて」

P「俺たちは脇役なんかじゃなかった」

P「……やっと、それを証明できたよ」

P「ありがとう、比奈」

P「全部、比奈のおかげだよ」
28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:43:37.13 ID:0Jfr0/1zo


比奈「……そんな」

比奈「感謝するのはアタシの方で」

比奈「Pさんがいなかったら、今頃どうしてたか想像もつかないっスよ」

比奈「こちらのほうこそ、本当に、あの……」

P「いいっていいって」

P「湿っぽいのはさ」

P「まあ、これからもよろしくな」

P「俺はずっと、比奈の担当でいるつもりだからさ」

比奈「Pさん……」

比奈「……」

比奈「なんか、感動的っスね」

P「へ?」

比奈「これ絶対、漫画だったら見開きのページっスよ」

比奈「"俺は一生、比奈の担当でいる"って台詞と共に」

比奈「2人でじっと、見つめ合ってるシーンっス」

P「……」

P「そうね」

P「全然見つめ合ってないけどね」

P「あと一生とか言ってないからね」
29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:44:36.03 ID:0Jfr0/1zo


比奈「まさか現実にそんなシチュエーションがあるなんて」

比奈「いやーいい体験しちゃったっスねー」

比奈「これで一本描けちゃいまスよ、短編いけまスね」

P「あ、そう……」

P「なんだ、この……」

P「言いようもない虚脱感は」

比奈「ふふふ、さあPさん、帰りまスか」

比奈「セレモニーの準備もありまスからね」

P「あ、そうだ、セレモニー」

P「比奈、ちゃんと考えてきてるか?」

P「朝言ってた、60万票の意味ってやつ」

比奈「大丈夫っスよ」

比奈「ちゃんと、わかってまスから」

30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:45:05.56 ID:0Jfr0/1zo


比奈「当日は、アタシが主役、でスよね?」

31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:46:20.48 ID:0Jfr0/1zo


――――
――

32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:46:52.83 ID:0Jfr0/1zo


司会「得票数607600!」


司会「見事、総選挙第4位に輝きました!」


司会「荒木、比奈さんです! どうぞ!」


パチパチパチパチ

33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:47:40.94 ID:0Jfr0/1zo


比奈「あ、あの、ご指名いただきました荒木比奈っス」

比奈「あの、こういう場は余り慣れていなくて、その」

比奈「何から始めたらいいかわかんないんでスけども」

比奈「まず何よりも、感謝の言葉を言わせてください」

比奈「みなさん、本当にありがとうございました!」

比奈「4位という順位に輝けたのも、みなさん一人一人の投票があってこそだと思いまス」

比奈「これからは60万票の重み、しっかりと胸に刻みながら」

比奈「一歩一歩、アイドルのステージを登っていきたいと思いまス」

比奈「日陰者だったアタシに、夢を見させてくれてありがとうございました!」


P「(うんうん、いいぞいいぞ)」


比奈「話は変わりまスが――」


P「(ん?)」
34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:48:36.02 ID:0Jfr0/1zo

比奈「こういうハレの場で、柄にもないことを喋っていると」

比奈「アタシがスカウトされた日のことを思い出しまス」


P「んん?」

P「あんにゃろう、台本にないことを……」


比奈「あの日、渋谷の街角をぶらぶら歩いてたら」

比奈「すっごい形相で近づいてくる人がいたんでス」

比奈「あんまり怖い顔なんで、カツアゲでもされるのかと身構えていたら」

比奈「それがなんとスカウトの人だったという……」

比奈「ま、今のプロデューサーでもあるんでスけどね」


ハハハ


P「……」

35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:50:20.73 ID:0Jfr0/1zo


比奈「曰く、アイドルに興味はないかっていうんでス」

比奈「最初はからかってるのかなーなんて思ってたんでスけど」

比奈「あまりに真剣な顔をしてるので、こりゃ本気と書いてマジのやつだぞと」

比奈「だからアタシも真面目にこう言ったんでス」

比奈「そんな華やかな場所は似合わないって」

比奈「社会の片隅で、こっそり生きているのがアタシだって」


P「……」


比奈「そう言ったらプロデューサー、すごく複雑な表情して」

比奈「悲しいような、悔しがってるみたいな……」

比奈「なにか地雷でも踏んだかな? って思ってたら」

比奈「少し声のトーンを落として」

比奈「こう言ってくれたんでス」

36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:51:11.69 ID:0Jfr0/1zo

―――――――――――――――

P「俺は、そうは思わない」


P「現実は、漫画の世界とは違う」


P「俺たちは、出来合いの物語の中にいるわけじゃない」


P「与えられたキャラクターを演じてるんじゃないんだ」


P「俺たちは、たぶん、何になってなれる」


P「君だって、例外じゃないはずだ」


P「だから――」

―――――――――――――――

37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:52:14.25 ID:0Jfr0/1zo


比奈「アタシ、今でも鮮明に覚えていまス」


比奈「プロデューサーの、その言葉を」


38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:52:43.22 ID:0Jfr0/1zo

―――――――――――――――



P「――主人公に、なってみないか」





―――――――――――――――

39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:53:17.31 ID:0Jfr0/1zo



終わり

42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/05/17(水) 18:54:32.12 ID:0Jfr0/1zo


4位ということで、取り急ぎ

html依頼してきます


お奨め記事
5月19日 06時09分|モバマス0コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

※現在コメント認証制です。ページが更新されたら書き込みは成功しています。コメントが反映されるまで暫くお待ちください。
  • カテゴリー

  • 最新記事

  • 新着コメント

  • 月間記事

  • リンク

  • 広告