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3:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:36:31.78 ID:lDe6Yqrh0
みく「おはようなのにゃ!」

事務所のドアはだいぶガタがきている。ノブを回すと一度途中で抵抗を感じるようなノブだ。そのドアを開けると、みくはアイドルモードのスイッチをオンにする。ライバルがただでさえ多い事務所、シンデレラの争奪戦。ふだんから気を抜いてなんかいられない。
真面目にかつかわいくアイドル戦線を攻略していくべきなのにゃ。

P「おはよう、みく」

椅子に座ったPチャンと目が合う。書類山に向かうPチャンの姿は、背がまっすぐに伸びていてかっこよかった。みくはどうしても猫背だから。

みく「Pチャン!おはようなのにゃ!」

Pチャンは笑うときに、ふにゃっとした顔になる。

P「みく、今日も元気いっぱいだな。今日の仕事のスケジュール確認しとけ、追加の仕事があってな」

みく「にゃふふ、Pチャンありがと」

P「ああ、がんばろうな。じゃあおれはちょっと営業に行ってくるよ」

お礼を言われるとPチャンはちょっと顔が赤くなる。きっと照れを隠すためにさっさと事務所を出たんだろう。かわいいところ。実はとっても好きなところ。

みく「今日は……午前中はレッスンにゃあ、早めにいこっと」
4:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:37:45.70 ID:lDe6Yqrh0
みくは事務所からダンススタジオまで歩いていく。この間買ったサンダルが軽快に足音を鳴らしてる。
そういえば最近Pチャンは忙しい忙しいとばっかり言っている気がする。
ちゃんと疲れを癒してるのか不安になるにゃあ。Pチャンの事だから「お前たちに会うのが一番の癒しだよ」とか照れながら言っちゃうんだろうけど。担当アイドルを不安にさせるのはP失格だにゃ。前にまゆちゃんも自分の担当Pに同じことを言ってた。Pという職種はアイドルに心配ばっかりかけるのも仕事なの?
忙しい忙しいって言って、ちひろさんに聞くと、ここ一週間は家に帰ってないっていう話だし。その割には身だしなみが整っているのはなんでだろう。ちゃんと清潔にしているし、やっぱり年頃の女の子を相手に仕事をしているんだもん当然か。
なんとなく潔癖っぽいところがあるけど、Pチャンはとっても不器用。机の上の整理整頓も苦手なりに頑張っているところがかわいいって凛チャンも言っていた。でもぶきっちょだから上手にファイルわけとかできてない。まだまだ新米さんだってPチャン自分で言ってるし、しっかりものってタイプじゃないからな。

みく「そうだ、レッスンの後Pちゃんの机拭いてあげよ。いつもは響子チャンがやってくれるみたいだけど、今日は

みくが拭いてあげるのにゃ」

今日はアイドルのみんなは事務所に寄らないみたいだし、営業に行ったPチャンより先に事務所に戻れるし。
5:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:38:53.01 ID:lDe6Yqrh0
レッスンが終わって、シャワーを浴びる。それからサンダルを履いて事務所へ戻る。ガタが来たドアを開けようとすると、ドアに鍵がかかっていた。ビルの守衛さんに鍵を借りて、みくはすぐ雑巾を用意した。きつく絞って、シャツの袖をまくる。
パソコン、電気スタンド、メモ、ペン立て、杏チャン用の飴、ぴにゃこら太の食玩フィギュア、スタドリ、決裁前の書類。灰色のPチャンの机は所せましとものが置いてあった。マウスパッドの少し上、スタドリの跡があった。頑固な水あとを執拗なまでに磨いてく。そうだ、今度コースターをプレゼントしてあげようかな。Pチャンの机の上を拭くだけでもいろんな発見があった。
パソコンのわきには、あぶらとり紙が置いてあった。たしか紗枝チャンに頼んで帰郷した時には買ってもらってるって言ったっけ。実家が京都にあるとPチャンにお願い事されたりするのか、ちょっと不公平だなって、思った。
あぶらとり紙の入ったトレーの中には爪切り、鼻毛切り、アイブロー、ワックス、いろんな身だしなみの道具が入っていた。

みく「こういうのって普通、家でしてくるもんにゃあ…」
6:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:40:08.98 ID:lDe6Yqrh0
みくは正直あきれた。ちょっと気になって、ワックスケースのふたを開け閉めしてみる。ふとリンゴの香りがして、Pチャンのにおいを感じた。

ちひろ「あら、みくちゃんお疲れ様。拭き掃除してくれてるの?」

みく「あっひゃっ!ち、ちひろさんこんにちわ!それより見てにゃ、Pチャンたらこんなに身だしなみ道具置いているにゃあ。こういうのは家でやってくるもんにゃ」

ちひろ「うーん、でもPさんはここに泊って銭湯に行くほうが家に帰るよりも多い人ですからねえぇ。第二の家みたいになっていても文句は言えないですよ。給料にもあんまり文句言わないですし」

ちひろさんはにっこり笑ってみくをたしなめた。ていうかPチャンの業務量が多いことをすでに自覚して、なおかつスタドリのお金を請求しているんだ。だから鬼悪魔って言われるんだ。納得。

ちひろ「いま何か失礼なことかんがえませんでした?」

みく「んーん、なんにも。Pチャンが帰ってくる前に終わらさにゃきゃ」

みくはまた、机の上の水あとに雑巾をこすり始めた。
7:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:41:49.59 ID:lDe6Yqrh0
P「おう、みくが掃除してくれたのか。サンキューな。そこの垢、けっこう前から取れないんだよ」

みく「Pチャン、おかえりなさい。この垢けっこーしつこいのにゃ」

30分後、みくはまだ机と格闘していた。以外と頑固者だった。どこぞの誰かさんとそっくり。

P「はは、なんにせよありがとうな」

みく「ところでPチャン、今日はレッスンも終わったし、午後はなにかミーティングあったりするにゃ?」

P「ああそうだ、みく。そういえば今度の仕事は一日バイト経験の仕事だ。ただ、先方さんから条件が合ってな」

みく「どんな条件にゃ?」

Pチャンはデスクの上に企画書を並べていく。「みくにはカフェの店員をしてほしい。バックヤードとフロア、両方やるんだそうだ」

P「まあ普通のバイトと一緒なんだけどな。ネイルが禁止なんだよ。食器とか持ってもらうときに邪魔になるって理由だそうだ…やっぱネイル、してるよな」

みく「しかたないにゃ、仕事のためだもん、すぐにはがしてくるにゃ。ちひろさんリムーバー借りてもいい?」

席を離れようとするみくを、Pチャンが止めた。

P「まて、みくはちゃんと爪磨き用のやすり持ったか?」

みく「へ?」
8:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:44:28.12 ID:lDe6Yqrh0
P「みく、爪見せてみろ」

Pチャンに手を掴まれる。みくのより一回り大きい手に、男の人の手だ、と場違いな感想を浮かべた。

P「みく、爪磨いてもいいか?」

みく「へ?」
10:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:46:42.44 ID:lDe6Yqrh0
P「いや、常々思っていたんだけれども、飼い猫の爪を切るって飼い主なら当たり前だよなって。みくなら爪とぎしたっておかしくないし」

みく「いやいやおかしいにゃ!」

Pがつかんでいた手を引っ込めようとする。

P「なんでだよ、大丈夫だって」

みく「いやそのりくつは通ってないにゃ!みくは人間!つめの手入れぐらいできるにゃ!」

P「いや、マニキュア?だっけ、ああいうの塗っちゃダメなんだぞ?やすりとか持ってないだろ。ここに丁度新品があるから磨いてかない?」

みく「うちにやすりあるし!そのちょっと寄ってかない?みたいに言うにゃ!」

P「おま、よく知ってるな客引きの事」

みく「…その筋にスカウトされたことあるから」

P「は!?」

みく「ちゃんと断ったにゃ、それは大丈夫」

P「なら良いんだけどよ…」

みく「…うん、じゃあみく、お茶淹れてくる――」

席を立とうとして、

P「逃げんなって、ちゃんと新聞紙も用意したんだから」

手を強く握られて逃げられなかった。

みく「くっ!」
11:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:47:47.17 ID:lDe6Yqrh0
ちひろ「みくちゃん、諦めたほうがいいですよ。Pさんに磨いてもらえるなんてなかなか無いじゃないですか」

みく「ちょっ、ちひろさんそのりくつはおかしいにゃ!」

P「暴れるなって、すぐ終わるから」

Pチャンはみくの手を握った。それから爪にやすりをあてる。
なんだかPチャンが跪いて手を握ってて、これって傍から見たら従者を従えてるみたいじゃない?ほんとはやすりかけているだけなんだけど。
なんだかPチャンのみくより一回り大きい手のひらがやさしく手を握っていて、簡単に抜け出せるくらいのチカラで握られているのに、その甘い空間から手を引きたくは無かった。
女の子どうしで手をつないだことはたくさんあるのに、男の人に手を握られるとどうしてこんなにどきどきするんだろう。

みく「み…、みくは決してチョロくないにゃ」

P「どうしたよ急に。爪を磨いてるだけだぞ」

みく「ひぇぅ…」

P「しおらしいなあ、借りてきた猫みたいだ」

Pチャンの顔は爪にくぎ付けで、みくの方からは見えなかった。でもその顔はきっと照れて真っ赤なんだろう。

みく「うぅ~…」

P「何うなってんだよ…、そんなに爪磨かれるの嫌だったか?」

みく「…んーん、それも恥ずかしくて嫌だけど、いちばんヤなのは照れ屋のPチャンが顔が見えないのをいいことにいろいろ言って来ることにゃ」

P「はあ~!?このやろ!」

みく「なっ、Pチャンやめるにゃ!強く手をつかむにゃあ!いたいいたいいたいいたい~!!」

12:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:49:29.34 ID:lDe6Yqrh0
P「なあみく、ごめんって」

みく「ふんだ、Pチャンなんか知らない!」

ちひろ「でもPさんも問題ですよ?年端も行かない女の子に感情むき出しにしないことですよ」

P「まあ、それは悪かったと思ってますよ…」

みく「それは、じゃないにゃ!ひとをものみたいに扱って!」

ちひろ「あら、うれしかったんじゃあないですか?」

みく「なっなっ…ちひろさん!!」

ちひろ「うふふ、じゃあ今日はもう定時ですし帰ろうかしら。Pさん鍵よろしくです」

いつものスマイルをして、ちひろさんは帰っていった。

P「あー、その、みく」

みく「……なに」

P「その、次の仕事のカフェ、今から行ってみないか?その、おごるからさ」

みく「ん、んー、まあ許してあげるにゃ!」
13:◆WQmrqzfTmTfY:2016/09/19(月) 17:53:03.95 ID:lDe6Yqrh0
以上です。ありがとうございました。
初めての投稿で、行間の事とか全然考えて無かったです。注意ありがとうございました。

みくにゃんって猫だから爪とぎとかしそうだよね、っていう思い付きから書いてみました。
これからもSS挑戦したいと思いますので、どこかでお会いする機会がございましたら、よろしくお願いします。
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9月22日 02時00分|モバマス0コメント

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