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1:SideM×シンデレラガールズ×ミリオンライブSS:2016/05/08(日) 20:57:05.14 ID:TRqCdyY20


みりあ「席決めおーわりっ!! 3-Rで……えーっと、これ3列目の右ってことだよね!」



志狼「えーっ! なおもかのんも後ろかよ! そんじゃオレ、オンナに囲まれちゃうじゃん! うぇ~マジかよ~!」

直央「ちょ、ちょっとしろうくん……」

桃子「志狼くん、そんなこと言ってたら桃子たちのファンが敵に回るよ。アイドルだったら気をつけた方がいいと思うけど」

育「そーだよっ! アイドルの女の子に囲まれるんだよー。うれしい顔したらー?」

志狼「んだよ、オレ、ベツに嬉しくねーもんっ!」

千枝「もう、志狼くんは……」

晴「志狼。あんま乗る前からケチつけてんなって。アイドルのレポだからこのジェットコースターに待たずに乗れんだぞ」

志狼「晴……まーなっ! そうだよなっ! ジェットコースターとうとう乗れんだもんな! テンション上げていくか! 晴はどこだ? オレの隣?」

晴「そうじゃねーみたいだ。二列目の右だな。お前の右斜め後ろ」

志狼「ふーん、そっか。んじゃオレの隣ダレ? 仁奈? 育?」

仁奈「ちげーですよー。仁奈はかのんくんの隣でやがりますから」

育「あたしもかのんくんの隣っ!」

かのん「一番後ろでいっしょなんだー」

志狼「じゃあ、誰だよオレの隣」

環「じゃじゃーーんっ!! しろーっ!! 環が隣だぞーっ!!」

志狼「おっ! たまき!! いいじゃんいいじゃん!! そんでもう片方の隣は?」



ありす「…………私です」



志狼「げ」
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 20:58:37.98 ID:TRqCdyY20


【765プロ】 
大神環・周防桃子・中谷育





【315プロ】
橘志狼・岡村直央・姫野かのん (もふもふえん)





【346プロ】
遊佐こずえ・佐々木千枝・赤城みりあ


結城晴・橘ありす・市原仁奈



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:00:33.94 ID:TRqCdyY20



オープンしたばかりの巨大テーマパーク。

そこの目玉とも言えるジェットコースター『ジエンドライド』。

最高速度130km/h、最高部高度100mというコースター界では“ハイスペック”なこの絶叫マシンはこのパークの人気アトラクションとして人々から注目を集めていました。



大型連休初日。この目玉コースターをさらに宣伝し、お客さんを増やすため、ある番組で特集が組まれることになりました。

そのパーク紹介の一環として、もっとも注目度の高いこのジエンドライドのレビュー役に選ばれたのは子ども達……年少のアイドル達でした。

もっとも純粋に、もっとも楽しそうに、もっとも怖そうに乗るだろうと判断されて、ファミリー層を掴むのには最適だと思われたのでしょう。


そうして子どものアイドルに声が掛けられて。それを受けたのは765、315、そして346のアイドルでした。


そう、私たちのことです。








ありす(……私も、子どもの範疇なんですね)


4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:01:46.19 ID:TRqCdyY20

志狼「お前らんとこはいーよなー、6人も連れてこれてよ」

桃子「346プロは層が厚いって聞くけど、ホントだね」

みりあ「えへへー! うん、みんなでいっしょに来れてうれしーよ!」

環「ちょっとうらやましーな! トモダチ、いっぱい作れそーだもんっ!」

仁奈「ですよー。いっぱい人がいると……さびしくならねーから、いいです」

桃子「ま、そうだよね……さびしくならないのはいいよね、市原さん」

仁奈「仁奈は仁奈でかまわねーですよ?」

桃子「えっ?」

仁奈「その代わり、桃子おねーさんって呼んでいーですか?」

桃子「い、いいけど、別に……」

仁奈「やったー!」

環「になー! やったなー! これでももこともトモダチだぞ!」

仁奈「トモダチです!」

かのん「うんっ! 友達だねぇ、えへへ」

5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:02:48.64 ID:TRqCdyY20


志狼「なんか桃子おまえ変わったなー。子役やってたころはケッコウきついヤツだったのに」

桃子「なに言ってるの……誰にだってきついわけじゃないよ、桃子は」

志狼「そうだっけ? なー、なお。おまえら共演したこと多かっただろ? 桃子きつくなかった?」

直央「え? えーっと……」

桃子「直央くん! 確かに、直央くんにも色々言ったことあったかもしれないけどあれは……!」


直央「――桃子ちゃんはすごく真面目で、一生懸命で……かっこいい人だって思ってたよ」

桃子「え」

育「でしょー! 桃子ちゃんとっても優しくて、“プロ”のお仕事する人なんだよ! えっへん!」

晴「ははっ! なんで育がいばってんだよ」

志狼「へ~、そうだったんだ」

直央「うん、すごいなぁって思ってた」

桃子「……ありがと。直央くんも……けっこう、演技に関してはすごかったって思うよ」

直央「えっ、そう、かな? あはは、ありがとうございます」

みりあ「直央くんも桃子ちゃんもテレビいっぱい出てたもんね! もう友達同士なんだー! みりあも友達になっていい?」

千枝「……千枝も、いいですか? あらためて」

直央「え? は、はい!」

桃子「いいけど……なんなのコレ」

環「トモダチいっぱい増えるなー! たまきうれしーぞ!」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:05:01.34 ID:TRqCdyY20

志狼「んー、でもやっぱ、キツかったよーに思うんだけど」

桃子「まだ言うの」

志狼「踏み台貸してー持っていったヤツが怒られたって聞いたもん」

桃子「あれは桃子の必需品だったの! ちゃんと理由を述べてくれれば考えたのに、勝手に持っていくからNG出しただけだから」

志狼「急いでたんだよ、あの時は! 持ってきてたボール使ってみんなでステージ裏で遊んでたらボールが大道具の上に入っちゃったから、急いで足場になるもん持ってこーいって言ったんだよ!」

桃子「あれ橘くんの差し金だったの!? こんな所で真相が明らかになるとは思わなかった! そんなの桃子がきついんじゃなくてそっちが悪かっただけじゃないっ!」

志狼「んだよー! みんなと遊ぶのも大事だろー!?」

千枝「……うーん、聞く限り、志狼くんの方が悪いかなって思います」

晴「ボール遊びか……それサッカーだったのかよ?」

ありす「そこが問題じゃないでしょう。……まったく、志狼くんは」


桃子「ねえ、直央くん。ちゃんとアイドルやれてる? 橘くん足引っ張ってるでしょ」

直央「そ、そんなことないよ!?」

かのん「しろうくんがんばってるよー。ワガママなとこあるけど」

志狼「そっそうだ! そんなことねーぞ! オレだって成長してんだからなー! オレはアイドル界の新世代を担う男なの!! んでかのん! ワガママなのはお前だろ!」


桃子「シンセダイを担うって、今のままじゃ無理だと思うけど。橘くん、スタッフや周りの人に迷惑かけるのなんて論外なんだよ。……ま、そこについては桃子もちょっとは反省するとこあるけど」

志狼「わ、わかってるし!」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:06:49.39 ID:TRqCdyY20

桃子「口ではどんなことでも言えるよ。結果を出さなきゃ。子どもっぽいところ武器にできないなら直した方がいいよ橘くん」

志狼「ぐ……、子どもっぽいだー!?」

ありす「ぷぷ……」


志狼「ありす、言われてるぞー!!」グイッ!

桃子「っ!?」

ありす「きゃっ!? なんですか!! 子どもっぽいって言われてるのはあなたです!!」

志狼「おまえだって橘だろー?」

ありす「私は子どもっぽくないですから! クール・タチバナなんですよ、私は!」

志狼「え、なにそれかっこいーじゃんか! オレは何!? オレはフィジカル・タチバナか!? やりー!」

ありす「いきなり話を転がさないでください! 桃子さんに糾弾されているのはあなたですからっ」

桃子「……えっと橘さん」

ありす「あ、はい?」

桃子「名前で呼んだ方がいい?」

ありす「え……そうですね、志狼くんと混同されちゃうから……」

桃子「桃子も……名前で呼んでくれたら、いいから」


育「みんな子ども扱いイヤだよね」

晴「はは、でも平常運転じゃんか、みんな。ジェットコースター乗る前なのに緊張してねーな。よしよし」

環「くらーい顔でオシゴトするより、楽しんだ方がいいよねっ!」
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:10:24.65 ID:TRqCdyY20

みりあ「ねぇねぇ、桃子ちゃんシール集めがシュミなんだよね!」

桃子「えっなんで知ってるの……もしかして育?」

育「教えてたのわたしじゃないよ?」

直央「あ、ごめんなさい! ボクが……」

桃子「そっか、そうだった。直央くんには見られたことあったんだった……広めないでよ」

直央「……ごめんね」

桃子「な、何度も謝らなくていいけど」

みりあ「直央くん悪くないよ? みりあが聞いたんだもん! 桃子ちゃんとも仲良くしたいなーって!」

桃子「え……」

みりあ「見てみてー! このページのカブトムシのシール! “れあ”なんだって!」パラッ

桃子「わっ……! シールがいっぱい!! あなたもシール好きなの?」

みりあ「えっへへー! 莉嘉ちゃんからもらってね! 大好きになっちゃった!」

桃子「そっか……シールこうかん、してみたいな」

みりあ「うん! やろうやろう! トモダチのアカシだね!」

育「よかったね! 桃子ちゃん!」

桃子「うん……」


環「りかって、なんか聞いたことあるぞ! えーっと……あー! あみとまみと、つばさと、いっしょにオシゴトやったって子だ!」

ありす「あ、そうですね。幕張でのお仕事、765プロといっしょにやったんでしたね」
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:12:04.16 ID:TRqCdyY20

直央「幕張ってドラマチックスターズとS.E.Mも行ったんだよね」

志狼「おう! ライブですっげー盛り上げたって!」

晴「お、それプロデューサーが言ってたの聞いたな」

志狼「てる達は熱いオトコだからなー! 盛り上がらねー方がウソだぜ! へっへーん!」

かのん「るいせんせいたちのダンスとってもおもしろいし、カワイイ動きもあるし、みんなも好きになってくれるよね~」

みりあ「うん! そう! 卯月ちゃん見に行っててね! 315だったって言ってたよ!」

志狼「そーだろそーだろ! もっとほめろー!」

ありす「志狼くんが威張ることでもないでしょうっ」


千枝「直央くん。千枝たちも今回以外にもいっしょにお仕事できることあるかな? これから」

直央「えぇっと……どうかな?」

環「おやぶんに頼めばきっとこれからもできるぞ!」

志狼「おやぶん? たまきのプロデューサーのことか?」

環「そう! プロデューサーのコト!」

晴「ヘンな呼び方してんだな」

環「へ、ヘン? そーかな……?」

桃子(お兄ちゃんって呼んでるけど、ダメかな……)
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:14:56.73 ID:TRqCdyY20

志狼「オレらんとこでもカントクとか、バンチョウさんとかプロデューサーのこと呼んでるにーちゃん達いるし、別にいいと思うぜ?」

晴「だな、ヘンってことはそれが個性ってヤツだろ? いーんじゃねーの、それで」

環「そっかそうだよね! おやぶんはおやぶんだもんね!」


765P「おーいっ! みんな行くぞー!」


環「あ! おやぶん! 言ってたら来てくれたー!」

千枝「準備できたみたいですね」




……



「あっ! みりあちゃんだ!」「かのんくんだー! ちっちゃくてカワイイ! 間近で初めて見た!」
「桃子ちゃん! また名古屋に来てくれー!」 「うわ! えっ……うわ! ……えっ!? うわうわ……えっ!? 尊い……!」
「どうしてアイドル達が?」「あのチビッ子たちでコースターのレポするんだって」


かのん「みんなー! こんにちはー! えへへっ」

みりあ「ありがとーっ!」

育「お仕事がんばるねーっ!」


ありす「お客さん達より先に乗るなんて少し悪いですね」

志狼「これが“ヤクトク”ってヤツだな!」

346P「ああ、しっかりなお前たち」

315P「もふもふえんはムリに表情作ろうとしないで自然なままでいいからね?」

直央「は、はい……!」

桃子「でもリテイク出すなら遠慮しないでいいからね。桃子何度だって乗るから……満足する絵を撮ってね」

346P「え、は、はい」

晴「プロデューサーなに桃子に圧倒されてんだよ」

12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:15:55.64 ID:TRqCdyY20
――

――――


【ジエンドライド】乗り場



環「ついにここまで来たぞー!」

志狼「とうとう乗れるぜ! ジェットコースター!」

直央「しろうくんとかのんくんは、ドリルランドの時は乗れなかったもんね……」

志狼「あー、あの時おまえ乗り終わった後フラフラだったな」

直央「……うん、すっごくこわくて」

千枝「わかるよ直央くん。千枝も……ちょっとこういう怖いのはダメなんです」

志狼「えー! イマサラなに言ってんだよー!」

みりあ「そーだよっ! 楽しまなきゃソンだよー! ほら直央くん勇気出してっ!」グイッ

直央「わぁ、みりあさん!?」

桃子(あ、直央くんの手を……)


志狼「へへっ! そーいうこと! 楽しまねーとな!」

ありす「え、えっと、志狼くんは……こんな高いジェットコースター怖くないんですか?」

志狼「こわくねーよ! ぜん~~~~~っぜんこわくねーよ!! オレ高いとこ好きなんだぜー!」

ありす「……なるほど」

志狼「なんだよありす、なにナットクしてんだよ? 晴! 環! 乗ろうぜーっ!」

晴「おう! 志狼! ビビって叫んだ方がクレープオゴリな!」

環「くれーぷ!? いいなー! たまきも参加するっ!」
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:18:12.18 ID:TRqCdyY20


かのん「仁奈ちゃん、育ちゃん、かのんたちも乗ろーっ!」

仁奈「仁奈ハヤブサの気持ちになってがんばるですよー!」

育「中継されるんなら、お母さん見るんだよね……きあい、いれていくっ!」

仁奈「そーです……ママ、見てくれるんなら、がんばらねーとです。それでまた遊園地に……」

かのん「うん、がんばろーね……パパにもアイドルちゃんとかわいくできてるとこ見せなきゃ……」

育「仁奈ちゃん、かのんくんどうしたの? ほらっ、行こう?」


桃子「お父さん、お母さん……」

ありす(……私も遊園地、来たのっていつぶりかな)



346P「ほら、こずえ。着いたぞ。起きて乗るんだ」

こずえ「ふぁぁ~……あれー? この のりもの、てんごくからのおむかえー……?」

ありす「縁起でもないですよ……こずえさん」

15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:18:52.22 ID:TRqCdyY20


志狼「あれ? こずえじゃん。今までどこにいたんだよ?」

346P「朝早くから来たもんで、睡魔に襲われててね……少し仮眠を取らせてたんだ」

こずえ「こずえのばんまで……まってるー……すぅ……すぅ……」

ありす「もう順番来てますよ!」

千枝「お仕事だから特別に乗せてもらえるんだよ、こずえちゃん」

こずえ「こずえ……おしごとー……? わかったー……なにするのー……?」

桃子「この子お仕事のことわかってないよ! お兄ちゃん!」

346P「いや、ごめんなさいとしか言えない……」

765P「……う、うちにも、自分の世界持ってる子がいるからな……苦労は分かるよ」


こずえ「ねむねむー……」


仁奈「羊を数えてる気持ちになってやがりますねー、こずえおねーさん」

千枝(大丈夫かな、これ……)
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:21:39.99 ID:TRqCdyY20

ノリコメー! ノリコムー… ワー!

――……


環     晴    みりあ  育
志狼   こずえ  直央   かのん
ありす  桃子   千枝   仁奈




「……以上が注意点になりまーす!」


志狼「はーいっ! うしっ! 一番前だぜ……!」


スタッフ「今の気分は!」

環「すっごく、すっご~~~く! わくわくしてる!」

志狼「オレも! オレも!! たまきの3倍はワクワクしてる!!」

晴「んじゃオレは10倍!」

環「あ、ずーるーいーぞー!! たまきはそのミリオン倍!」

桃子「子どもっぽいやりとりばっかりしてないでよね……」


スタッフ「みんな元気だねー!」

直央「……ボクは、ちょっとこわいです」

千枝「うん……直央くん、下見ない方がいいんだって。それで背筋を伸ばして背中をぎゅーって椅子にあててればちょっと怖くなくなるんだって……」

スタッフ「怖がってる子もかわいいね! がんばって!」

直央「はい……! みんながいるから大丈夫、です……!」

みりあ「いえー! パパ、ママ! これからみりあ100mお空に行ってきますっ!!」

ありす「…………………」



スタッフ(なかなか良いリアクションだ……流石だね)
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:27:34.87 ID:TRqCdyY20

ありす「このジエンドライドの一番の見せ場はなんといっても地上100mからの急降下にあります」


スタッフ「ん?」


ありす「この高度は国内を見渡してもなかなかないもので、それが生みだす速度、そのGこそ、このジエンドライドの大きな個性です」

ありす「巻き上げ式のジェットコースターはその重力を存分に生かす構造にすることが一般的ですが、この最新のコースターは油圧モーターを使用し、更にコースに配置された装置によってその到達点からの速度をより上昇させ、コース全体をスリリングに駆け巡るのが特色となっています」

ありす「速度のコントロール、コースターのバランス制御、それはコンピューターによって操作され、最上級のスリルはこのコースター界屈指の技術力によって支えられているんです」

ありす「言うなればこれは積み重ねた技術の果てにある一つの到達点。この国のエンターテイメントの一つの終着……まさしく、ジエンドなんです」

ありす「夢の終着点とも言えるこのジエンドライド。アイドルである私たちも……また夢を魅せる存在。どちらが素晴らしいか……これは勝負です!」


スタッフ「え……う、うん……! すごいね!」

直央「……」

桃子「……」

千枝「……」

ありす(よし! 出発前のコメントで他の事務所に差を付けました!)


志狼「あー、ありすなにタブレット見てんだよ!」

ありす「あっ! か、返して下さい!? 原稿書いてたのに!」

346P「あー、預かっておくな? 乗り終わったら返すから」



こずえ「ふわぁ~……ねむいのー……」

桃子「やれやれ」
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:29:03.23 ID:TRqCdyY20

――ガコン!!

ゴトンゴトン…!



志狼「おぉーっ!! 動き出したぜー! ほら! 動いてるぜー!! 今動いてるんだぜっ!?」


ありす「わ、わかってますから! 最初からはしゃぎ過ぎですっ」

志狼「なおー! かのんー! オレらアイドルになってよかったな!! マジで良かったなー!!!」


直央「う、うん」

かのん「うん! とっても楽しいねっ!」

みりあ「むーびんぐ、むーびんぐ! なーうっ!」


桃子「ちょっと! 志狼くん感極まり過ぎ! まだ出発したばっかりでしょ。後ろ見てないで前向いててっ!」



765P「いってらっしゃーい」

346P「しっかりなー」

315P(志狼くん、はしゃいでるなぁ。まあ怖がるよりはいいか)
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:30:33.01 ID:TRqCdyY20


かのん「プロデューサーさんまたね~!」

育「しっかりやってくるから、見ててっ!」





ガタタン、ガタタン……





765P「ふぅ……環も、育も、桃子も……なんだかんだ楽しそうで良かった」

315P「ですね。少しでも同年代と友達とはしゃぐって経験、埋め合わせることができたでしょうか」

346P「ええ、きっと。それで……お互いに良い刺激を受けてくれたらそれ以上のことはありませんね」


765P「しかし、これ、すごい高さのコースだ……」

315P「プロデューサーもいっしょに乗ろうって誘われるかもしれませんね」

346P「こっちもです……」

765P「その時は」

315P「はい」



765P・346P・315P「口裏を合わせて逃げましょう」


765P「いやカクゴ要りますもんね!? この高さ!?」

346P「体重ある方がGもすごいっていうし、これオトナの方が三段階ぐらい怖くなるって聞きましたもんね!?」

315P「というか一回ならいいけど、あのテンションだと何度でも乗せられそうですもんね!?」
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:32:02.46 ID:TRqCdyY20


――――

ガタタン、ガタタン…


ありす(しかし、志狼くんを隣にしてジェットコースターに乗るなんて……人生ってわからないことばかりです)


桃子「ねえ直央くん。聞きたかったんだけど346プロの人たちとは知り合いだったの?」

直央「えっ? うん……番組でいっしょになる時とかあって、ドッジボールとかいっしょにしたことも……」

みりあ「虫捕りもしたよね!」

直央「そうですね、しました」

桃子「ふーん……よろしくやってたんだ」

直央「えっ……?」

みりあ「桃子ちゃんもこれから思い出いっぱいいっぱい作ろうね!」

桃子「え、あ、うん……。よろしくね」

千枝「……」

直央(やさしい女の子たちでよかった……ちょっと怖いの紛れるや)


千枝(桃子ちゃん、子役時代に直央くんと共演したことあるんだよね……だから、ちょっと気になるのかな? それだけ……かな)

21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:33:15.09 ID:TRqCdyY20

ガタタン、ガタタン


志狼「お、あれって……」

環「おおー、前方に洞窟発見ー! ほらほらっ! いく! ももこ! 見える!?」

育「見えるよー!」

桃子「見えてるよ。確認しないでいいから」

環「ありすも、はるも! こずえも、ちえも、みりあも になも! 見えてるー!?」


晴「おーうっ!」

みりあ「うん!」

千枝「見えてます!」

仁奈「ふっふっふ! もうコーモリの気持ちになろーとしてるですよ-! でもむずかしーです……」

こずえ「かぜー、きもちいいー……かみがばたばたー……」

ありす「……私も一番前です。見えてますもちろん」



環「くふふふふっ! しろう! なお! かのんもー!?」

志狼「見えてんに決まってんだろー! ていうか一番最初に洞窟見つけたのオレだしっ!!」

直央「うん! 見えてるよ!」

かのん「ドウクツ、なんだか映画みたいだね~!」


環「くふふふふふっ! くふふふふふふふっっ!!」

桃子(環……はしゃぎすぎっ! でも、たまにはいいか。めったにないもんね、こういうの)

22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:34:11.98 ID:TRqCdyY20

環さんの堪え切れない笑い声が、私の心を少し和ませました。

絶叫マシンには今までほとんど縁がなく、怖がっている所を見せないよう気を張っていたのですが…

ここに来て、本当の余裕が、楽しさが芽生え始めていた……と言えるかも知れません。



ありす「ふふ……」



環「おおー! 洞窟抜けたーっ!」

千枝「わっ……! コースが上に伸びてますっ」

育「いよいよ昇るんだー!」

みりあ「うんっ! 育ちゃん! 地上ひゃくめーとるにいくんだよ、みんなで!」

桃子「………………これ、高くない? ねぇ……」

ありす「えっ……そ、そうですね。これが遠近法というものでしょうか……意外と、高い、ような……」


志狼「なんだぁ? ありす、桃子ー! びびってんのかー?」

桃子「なめないで。桃子、こういう修羅場慣れてるんだからっ」

ありす「そうです。情報収集をしっかりしていれば、こんなの怖がらなくていいものなんです。このジェットコースターは最新のコンピューターで全体管理されているんですよ。『絶対安全』とのキャッチコピーが付けられているのを見ましたし」


ありす「まぁ……子どもだましです」


直央(……あれ? これって台本でよくある前フ)

千枝「……!」ギュッ

直央「あ……え、っと」
23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:35:29.15 ID:TRqCdyY20

ガタタン、ゴトトン

ガタタン、ゴトトン…!



仁奈「のぼれー!」キャッキャッ

かのん「のぼれー♪」キャッキャッ

直央(ぜんぜん怖がってなくてすごいなぁ……)

千枝「……」


晴「おいっ! 右見てみろよ! 海が見えるぜ!」

環「あっ! ホントだ! やっほー!!」

桃子「海に叫んでも山彦は返ってこないよ」

育「もーぅ、桃子ちゃん。海に叫ぶのも気持ちいいんだよ!」

桃子「え、そうなんだ……」


みりあ「このパーク、ぜーんぶっ見下ろせちゃうね! あっちのウォーターエリアとか、向こうのファンタジーエリアとか! お仕事終わったら行きたいね!」

志狼「お、おう!」

ありす「どうしました、こわいんですか? 声がちょっと震えたように聞こえました」

志狼「こわくねーってつってんだろーが!! 信じろこのやろーっ! オレは遊園地マスターしろうさまだぞ!! これはムショグラシ!!」

ありす「むしょ……っ? 武者ぶるいと言いたいんですか?」

志狼「そー、それ!!」
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:37:02.14 ID:TRqCdyY20


桃子「ちょっとみんな。はしゃぐのいいけど、ちゃんと感想言えるようにしとかないとダメだよ」

仁奈「はーいっ!」

かのん「りょ~か~いっ!」

桃子「もぅ。わかってるの、ホントに……」



環「のぼれー! もっと高くーっ! くふふっ!!」

志狼「オレをテッペンまで連れて行けーっ!!」

桃子(オオカミ2人もテンションあげっぱなし。自然体で撮ってもらうしかないかな)

桃子(でもやっぱり、コレ高い……!)


ありす「子どもだまし、子どもだまし、子どもだまし…………」

晴「橘……っと、おいありす。まぶた開けてろよー?」



みりあ「どれだけスピード出るのかなぁ? 楽しみだねっ!!」

直央「……うん」

みりあ「みりあ、怖くなってしがみついちゃうかもしれないけど、そうなったらゴメンね?」

直央「えっ!?」

千枝「みりあちゃんは大丈夫だよ……私たちよりずっと元気ですから」

みりあ「? 千枝ちゃんも怖いの? あはは! じゃあみんないっしょだ! いっしょだったら怖くないね!」

千枝「みりあちゃん……うん。そうだね」
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:37:58.37 ID:TRqCdyY20

ガタタン




志狼「おおーっ!! テッペン!!」

ありす「い、いよいよですね……!」

晴「わかってんな! 志狼! 先に叫んだらクレープオゴリだぜっ!」

環「何味にしようかな~♪ なやむぞ~!」

志狼「あー! なに勝った気になってんだよたまきは! バスケでりょう達に勝ったみてーだけど、オレはそーカンタンにはいかねーからなっ!」



ガタタン



仁奈「すげー高いし! 風がごーっ!! っと吹いてやがります! すげげげげ」

育「あはは! 仁奈ちゃんほっぺた風で震えてる~!」

かのん「鳥さんより高いね~!」



ガタタン


ありす(3分もしたらもう私たちはこのコースターから降りているんです。すべてが終わるまで5分もかからない)

ありす「……え、あれ」

桃子「どうしたの、ありすさん」

ありす「え? 今からこの高さから滑り落ちるんですよね? 今から、なんですよね?」

桃子「そうだよ、なに言ってるの……?」

こずえ「げんじつー、とらえろー……ふわぁ~……」
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:38:43.80 ID:TRqCdyY20


ガタタン


直央(わっ……、コースの傾斜が終わって、ちょっと水平になった)

千枝「いよいよ……だね。がんばります……!」




ガタタン


志狼「よーしいけーっ!!」

晴「ゴー!!」




ありす(昇り終わって速度がゆっくりに、そしたら……緩急をつけて)


……私たちは天から墜ちる。



ガタタン



ありす「……!」



コースが視界に入らなくなったその時。眼下にテーマパークの全貌が広がりました。


遥か先の街の風景、海の景色、青々とした空とそこに緩やかに漂う雲たち。

それらが全部パノラマとなって私たちを包んでいて、私は無意識に「そうだこの光景のことを感想にしよう」と決めて、目を大きく見開きました。


この数秒だけの光景を、思い出にしようと。


27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:40:21.89 ID:TRqCdyY20


環「いっくぞー! みんなー!!」



「「「おーっ!!!」」」



ありす「……!!」




みんなの声が空に散って。


そして。




―― ガ  タ  タ  ン  !! 







そう一際大きな稼働音がしたかと思うと、私たちは高速で滑り落ちて

28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:40:54.18 ID:TRqCdyY20





――――いきませんでした。




29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/08(日) 21:41:21.38 ID:TRqCdyY20


・ ・ ・ ・ ・ ・ 。






晴「おっ?」

みりあ「あれ~!?」



環「ん、ん、ん~~!?」

桃子「え、なになに」



かのん「どーしたの?」

育「どうして……」







     「どうして止まりっぱなしなのー?」








こずえ「ふわぁー…………Zzz…………」


59:1:2016/05/18(水) 02:09:47.52 ID:uBjgKxuX0

――

――――




765P「あれ……、止まった」

346P「滑り落ちていくはずでしょう……? どうして、止まったままなんですか?」

315P「どういうことですか!?」




「なぜ停止してるんだ!? 原因は!」

「わかりませんっ! まっずいなぁ、なんでよりによってここで!」

「機器に異常がないか調べないと……! 多分安全のための緊急停止が作動して、そのままになっているのだと……」

「こんなアイドルの子達が載っているタイミングでシャレになりませんよ!」




765P(騒いでいる……! 意図的じゃない。もちろん番組側からの要請でもない。これは……)

346P「……事故。ちょっとカメラ止めてもらいましょう!」

315P「そうですね!」

60:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:11:09.21 ID:uBjgKxuX0



ザワザワ…


……


スタッフ「まことに申し訳ありません。やはり、不具合だと。根本の原因は現在確認中でして……」

346P「不具合、ですか。そんな……!」

315P「いつ動き出すんです!? もふもふえん……子どもたちは一体どのくらいあのままなんですか?」


スタッフ「そ、それは、その……安全上の問題がクリアされていないとの表示が出ているので、まずは点検を始めないといけないのです……今、責任者と技術者に連絡を取って対応しておりまして」

765P「具体的な時間が分からないということですか」

スタッフ「はい。他のアトラクションならこうした事態があれば、安全バーを上げて非常口から出て頂けるのですが……このジエンドライドだけはこういった構造のものですから……その……まことに申し訳ありませんっ!!」



346P(アトラクションにアクシデントが起こることはままある……しかし、なんで今、あいつらが乗ってるここでなんだ!)

315P「安全確保のために止まっている状態……逆走させて始発点のここに戻すこともできないんですね?」

スタッフ「お客様が乗っている状態で戻すことができるのは平面にコースが続いている所までなんです」

346P「まあ地上100mから後ろ向きに傾斜を滑らせるわけにはいかないですね……でも、子どもたちが心配です! 本当に一刻も早い解決をお願いします!! 」

スタッフ「はいっ!!」


315P「連絡手段も考えないと……パニックになってないか心配です」

346P(パニック……くそっ!! 今はあいつらの精神力を信じることしかできないってことか。なんて俺は無力なんだ)


765P「……桃子、育……環……!!」
61:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:12:18.84 ID:uBjgKxuX0

――

――――


【地上100m・in ジエンドライド】





志狼「……ん~、やっぱ原因があるとすりゃ、ありすじゃね?」




ありす「いきなりなに言ってるんですか!? なんで私なんですか!! 名誉毀損ですっ! 弁護士立てて戦いますよ!?」


志狼「いやいや、だってよ! ありす出発前タブレットいじってたじゃん! あれのデンパかなんかでキカイがくるったのかもしれねーじゃんっ!」

ありす「えぇ……!? そんなはずないと……思いますけど……! 並んでいたお客さん達もケータイいじってましたし、私だけが原因のはずないです」

晴「んー、でもよ。ケータイとか、セーミツキカイっての、乗る前に預けるルールがあるってことは、そういうキケンがあるからなんじゃねーの?」

ありす「そんな、晴さんまで……!?」

晴「いや、ルールから考えただけ。オフサイドがないと、ゴール前に放り込んでシュートばっかでつまんなくなるだろ?」

千枝「サッカーで例えなくても……」



桃子「志狼くん、昴さん」

晴「え、すばる? オレ結城晴っていうんだけど」

桃子「……間違えたごめん。口調そっくりだったから。……あのね、タブレットからの電磁波かなにか知らないけど、それで動かなくなるわけない。大体止まるとしても出発のその時のはず」

桃子「そんなのが止まる原因になっちゃうっていうなら、そんなヤワなもの作った方がワルいよ」

桃子「ちっちゃな原因で止まるぐらいだったらコレは危険なノリモノにアイドル達をのせてレポさせた、パークの方の責任問題。むしろこっちが事務所を通してうったえないといけないんじゃないかな」


志狼「あー、それもそーか……ありすのタブレットに負けたってんなら、ジェットコースターの方がわりーんだな」

62:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:13:23.10 ID:uBjgKxuX0


ありす「桃子さん……! そうですよね! 電波や電磁波なんかに負けるように作ってるわけありませんよね! 芸歴が長い方は頭のいい方が多いんですね」

桃子「べ、別に……当たり前のこと言っただけだし、そんなほめなくていいから」


直央「し、しろうくん、こんなところでダレがワルいとか決めても意味ないよ……。なにもわからないし、たしかめようもないし」

志狼「あー、わかってるってー! でも、ほら、原因がわかればカイケツできるかもって思ったんだよ! ありすのコト責めるために言ったわけじゃねーからっ」

ありす「あ、そうだったんですか?」

志狼「そうだって! じつはドッキリでしたーってテンカイとかも考えたし!」

みりあ「どっきりー?」

桃子「ああ、ドッキリね。……子ども相手に悪趣味。でも、やるとしてもこんな地上100mに放置じゃなくて、もっとほほえましいのにするはずだよ、こんなの業界でも常識外れ」

かのん「このジェットコースター人気なのに、かのんたちだけがずっと使うのわるいもんね~」

育「あ、そうだね。あんなに待ってるお客さんがいたのに、ドクセンしちゃうわけにいかないよね。そういうのだったらプロデューサーさん断るはずだよー」

ありす「では、ドッキリ説は却下できますね。そうなるとやっぱり不具合でしょうか」

かのん「止まったままだとつまんない~。ジェットコースターさんはやく起きて、動かないかなぁー……」



環「……たまきのせいかな」


志狼「あん?」

桃子「……環なにいってるの」
63:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:14:48.47 ID:uBjgKxuX0

環「たまき、さっきまではしゃいじゃって、がっくんがっくん揺らしたから……とまっちゃったのかもしれない」

みりあ「えっ! そんなことないよー! 私だってはしゃいだよ!」

環「でもねー、マエにもこんなことあったんだー……はしゃいで目の前の楽しいコトおいかけてたらみんなにメイワクかけちゃったこと」


育(あ、前の公演の時のお話かな……?)


環「ハシゴあって、ちょっとのぼってみたいなーって思って、ガケ登ったらね、降りられなくなっちゃったんだー……うみがきてくれたおかげで助かったけど」

志狼「ふ~ん。まー、ハシゴあったら登るからなフツウ。しょーがねーよ」

桃子「志狼くんちょっと黙ってて。……環、前にそんなことあったかもしれないけど、今は関係ないよ。さっきも言ったけど環が揺さぶったぐらいで止まるんなら、ジェットコースターの方がダメダメってことなんだから」

環「でも、たまき、“あくしでんと”にみんなまきこんじゃうから……いまも、そうかもって思っちゃうんだ」


晴「なに勝手に気にしてんだよ。 大体アイドル活動ってかなりアクシデントが多いもんだろ! なんでも環に原因があるわけねーって!」

みりあ「そうだよー! 私だって莉嘉ちゃんときらりちゃんとライブ会場に間に合わなくなるかも! ってトラブルあったもん! でも大丈夫だったから! モンダイがあったってのりこえられるよ!」

環「そっかな……みんな助かる、かな?」

志狼「助かるって! とうまと、すざくのあにきたちなんてライブ会場が停電になってもライブ成功させたんだからよー!」

ありす(ライブでの失敗……)

ありす「そうです……こうしたトラブルの際は冷静な判断と……周りのフォローが、大事なんです環さん。今回だってきっと大丈夫なはず。そもそも環さんに原因があるかなんてわかりませんから、気にすることは無意味ですよ」


環「みんなー……! そっか! そうだよね! 気にしてもしょうがないよね、ヘンなコトかんがえちゃってたっ! ごめんったまき、元気になるっ!!」
64:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:16:56.57 ID:uBjgKxuX0


志狼「そーだそーだ、弱気な考えはノー! だぜ!」

桃子「環は、問題を前にすると思い悩んじゃうことあるから」


千枝「みんな、トラブル乗り越えてきたんですね」

直央「うん、ウェディング会場でのお仕事したときも、ちょっとしたトラブルがあって撮影始められなかったんだけど……しろうくんとね、ミニライブやって、みんなを元気にさせて」

かのん「お料理作るスタッフがいなかったんだよね~。だからアスランくんたち呼んで、なんとかしたんだよっ!」

晴(停電直したとか、料理代わりに作ったとか。アイドルのトラブルって一体なんだろうな……)



みりあ「アスランさんって、蘭子ちゃんみたいなあの人だね! あの人のお料理おいしいんだってね~」

桃子「本番でのトラブルか……こっちも奈緒さんたちがセンチメンタルビーナス歌う時音楽がストップしたけど、ファンのみんなの力を借りて切り抜けたってことあったよ」

志狼「あん、なおがせんちめんたる? そんなの歌ったことあるっけ?」

桃子「岡村直央くんじゃなくて、765プロにも横山奈緒って“なお”さんがいるの」

ありす「あ、奈緒さんならこっちのプロダクションにもいます。偶然ですね」

志狼「へー! なおなおなおでユニット組んでみたらおもしろいかもなっ!」

みりあ「それちょっと見てみたーいっ!」

直央「ええっ……ボクは、子どもだし、男だし……合わないよ」

環「だめだめっ! やって! ちょーせんするの、ダイジだぞー!」

育「あははははっ!」




ハハハ、アハハ……




仁奈「…………」
65:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:17:28.87 ID:uBjgKxuX0


かのん「あれ~? になちゃん、さっきから黙っちゃってるけど、どうしたの?」

千枝「仁奈ちゃん?」


仁奈「ぐるぐる~……」


かのん「わっ! になちゃん目がぐるぐる!」

千枝「え、今度はおにぎり食べ過ぎたわけじゃありませんよね!?」

育「だいじょうぶっ!? どうしたの」


仁奈「仁奈……下をのぞきこんでたら……すいこまれそうで、落ちちまいそーで、アタマがぐらぐらになっちまいましたのでそうろうー……けいぐー」

ありす「候? 敬具? 言語能力が異常がでてますっ!?」

かのん「になちゃーん、下ばっかり見てたらこわくなっちゃうよ? かのんたち見て、それでおしゃべりしてよ?」


千枝「下……」チラッ



ゴオオォォ…




千枝「ごくっ……う……うぅ、やっぱりすごく高い……」

千枝(目を閉じてようかな……でもこんな高さにいて、なにも見えないのもすごくこわいし……どうしよう)
66:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:19:05.64 ID:uBjgKxuX0


直央「大丈夫ですか? せめて席替わることできたらいいんですけど……」

千枝「え、そんな」

直央「安全バーのせいで動けなくって……ごめんなさい」

千枝「あ、謝らなくても。でも直央くんもこわいの、ニガテなんです……よね?」

直央「うん。こわくって……足が震えちゃって、ビクビクしちゃうんです……。だから、こわいって気持ちは分かるから、他の人がこわい目にあってるのもニガテで……」

千枝「……直央くん」


桃子(……相変わらず気を使いすぎ。そんなだからハッキリ自分の考え言えなかったんでしょ、直央くん)



千枝「ううん。大丈夫です。ありがとう……千枝だけじゃないって思ったら、もうちょっとがんばれそうです」

みりあ「そーだよー、千枝ちゃん! 私もいっしょだよー!」

ありす「千枝さん、えっと高いところが苦手だというのは、重力ある地球で生まれた歩行動物の宿命だそうです。……ですから、人間である私もその本能的な恐怖を感じています。す、少しですが!」


千枝「みりあちゃん、ありすちゃん……」

67:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:20:05.01 ID:uBjgKxuX0


桃子「……」


桃子「桃子も、こわいよ。ちょっぴりだけど」



千枝「桃子ちゃんも…………ありがとう、ございます」

千枝(みんなのやさしさ、うれしいです)



志狼「オレ、ぜんっぜんこわくねーけどな―!」

ありす「ちょっと黙っててくださいあなたは!」


千枝「あはは……っ」




環「下、ずぅ~っと見てたらアタマ、くらくらってしちゃうよねっ! 木登りしたときも、タマになるぞっ」

晴「まー、そりゃな。…………ん? 下のあれなんだ?」

志狼「晴どーした?」

晴「いや、なんかこっちを見上げてる人、多くてよ」

志狼「……おっ! ホントだ! なんかお客のミンナが集まってるな! こっち見てんのか?」


ザワザワ、ワーワー…


ありす「…………そ、そのようですね。こんな所で止まってしまったから、やっぱり注目を集めているんですね。私たちはアイドルだし……」

みりあ「みんな見てるー!? おーいおーい!」ブンブン

ありす「みりあさん?」
68:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:21:41.77 ID:uBjgKxuX0


みりあ「私たちは元気だよー! って伝えないと!」

桃子「そうだね。不安にさせちゃダメだよ」


志狼「プロデューサー見てるかな~? おーい!!」ブンブン!


育「そういえばプロデューサーさん、今私たちを見てくれてるはずだよね」

かのん「うんっ! きっとカイケツするために、いっしょうけんめいガンバってくれてるよ~!」

みりあ「じゃあすぐ動くはずだねっ!」



仁奈「――思ったんですが、これって動く時はいきなりぎゅごーっ!! っていきなり前に滑り落ちてくってことですか?」


晴「あっ」

桃子「うっ」


志狼「そうじゃねーか? オレたち動くタイミングわかんねーし!」

ありす「心の準備ができないのはその……非常に困りますね。電話誰か持ってないでしょうか! 地上との連絡手段を!」


千枝「え、でもみんな出発前に預けちゃいましたし……」

晴「持ってねーよな、誰も」

桃子「そうだよね……これはしょうがないよ」

環「あっ!!」

ありす「え、環さんなにか」


環「どんぐりなら持ってるぞ!」


ありす「…………どんぐり」
69:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:22:51.51 ID:uBjgKxuX0

ゴオオォ――……




地上100mで停止した私たち。

連絡手段もなく、何が起こっているかも把握できない状態に私たちは置かれました。



空は晴れ渡り、強まり始めた日差しが私たちに浴びせられ……風も強いせいで会話の際は気持ち大きめに言葉を叫ばねばならないような、そんな環境。

その中で出てくる問題もあります。



停まってから10分以上はとっくに過ぎた頃でしょうか。

その異変について声を上げた人がいました。


いえ、みんなが同様にその体の異変には気付いていたのだと思います。


ただみなさんきっと、ここでは解決できない類の問題だと思われたので、黙っていたんでしょう。
70:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:24:19.08 ID:uBjgKxuX0




仁奈「あっちー……です……なんかのどがカワいたでごぜーます……」



……渇き。


71:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:24:55.61 ID:uBjgKxuX0

ありす「私も……です。少し、ノドが……渇いてます」

かのん「かのんもー……なにか飲み物がほしいなーって」

晴「太陽なんか近いんだよな! じわじわ暑くなってきたし」


桃子(やっぱりみんなも……。出発前にトイレには行かされたけど、ドリンクの準備もしておくんだった)





みりあ「おしゃべりしたからかな? ノドからから~……」

晴「チッ、ガム噛んでまぎらわすしかねーかな。あーもー! いつ動くんだよコレ! 誰か飲み物持ってねーよな?」

ありす「荷物は預けましたし、電話もできないし……少し危ない状況です。せめて飲み物ぐらい、ほしいですね……」


千枝「直央くん持ってる?」

直央「持ってません……こんなことになるとは思わなくって」

育「そーだよね。そんな準備してないよね。誰も」

72:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/18(水) 02:25:41.26 ID:uBjgKxuX0


環「ドリンクはないけど、どんぐりじゃ……だめ?」

桃子「環。ダメだよ」

環「だよねぇ……うあー! 役に立てなくてごめんだぞー!」

千枝「そ、そんな環ちゃん」

こずえ「すやすやー……」


ありす「やっぱりそうですよね。だれも責められない話ですけど……」




志狼「あ、バイタルゼリー上着のポケットに入れてたんだった! ラッキー! 飲み物みっけ!」ジャーン!


ありす「はっ!?」

87:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:29:33.00 ID:NPlaKkWU0
――……

地上




346P 「あいつら大丈夫なのか……心配だ」

765P「同じ気持ちです。ただ……あいつらは繊細なところもありますが、タフなアイドルです。きっとへこたれることなく耐えていると……信じています」

346P 「……ですね。信じましょう。しかし、暑くなってきています。水分も食料もあいつらはもっていない。なぜ止まっているのか状況も分からない……」

765P「ヘビィだな……」


Prrrr Prrrr


346P(さっきから電話やメールがひっきりなしだ。この事をつぶやいている人たちがいる……ネットでそれを見たアイドル達も何かできないかと頻繁に連絡を寄こしてくる)


765P「いや、だから……そうだな、十分に人の目に注意して来てくれ」

765P「降りて来た時、見知った顔があればきっと桃子達もほっとするはずだ」


315P「対応できるはしご車が無いと……そうですか。いえ! そんな! ……わかりました、きっともふもふえんも喜びます」

315P「でもお仕事はきちっと終わらせてからお願いします! はい、近くにいたという人たちも来てくれるとのことですので……!」



346P (765プロも315プロも同じような状況か……)
88:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:42:40.77 ID:NPlaKkWU0


315P「ふー、報道のコトも詰めないと……765プロさん346プロさんとも協議して……」


「……プロデューサー殿」


315P「えっ」


忍「懐かしきご尊顔を拝し光栄の至り――――しかし、危難にある様子とお見受けする」


315P「あっ! あなたは……風間忍さん……!?」

忍「無沙汰をして申し訳ない。次こそは必ずやアイドルとして御前に侍る所存――」

315P「あ、いやいやそんな、かしずかないでくださいっ!? というかどうしてここにっ!?」


風間忍(候補生)




・・・・・



315P「なるほど……パレードための特殊メイクのお仕事でこのパークに来ていたんですね」

忍「如何にも。プロデューサー殿。我は助力を惜しまぬ。なにかできることはあるだろうか」

315P「いや、こちらでも安全ロック解除の他の対応策を練っているところなんで……子ども達の状態は把握したいですが」

忍「承知した。では我が軽業にて…………いや…………おほん」


忍「まさか忍者でもない我があそこまで登るというのもいかないので、遠見の道具を調達して参る」

315P「え?」
89:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:44:12.26 ID:NPlaKkWU0


忍「審査の時にて得た縁がある。彼の者ならばきっと適切なカラクリを所持しているであろう。――然らば」フッ


765P「あれ? 誰かと話してたんですか」

315P「え――あれ? 忍さんが消えてる?」

346P 「忍……? うちの工藤ですか?」

315P「いえ、346さんの方の工藤忍さんじゃないんですけど……というか今の時点ではアイドルじゃなくて……」

315P「いや、もしかしたら本当は特殊メイクアップアーティストですらないのかも……」


765P「また理由(ワケ)ありな人ですか?」

315P「ええ、はい、まあ……」




315P(……協力、してくれるのかな?)



346P 「上は今どうなっているんだ。何か話してるみたいだけど双眼鏡じゃいまいち状況がわからないな……」
91:↑訂正:2016/05/29(日) 12:45:48.84 ID:NPlaKkWU0

――

――――


ありす(……よりによって飲み物を持っているのが志狼くんだなんて――)




志狼「ほいっ、そんじゃ仁奈飲めよー。桃子、後ろに回してやってくれ」

桃子「え、うん」


ありす「あれっ!?」


志狼「なんだよ?」

ありす「いえ……意外だったので。一人占めするのかと」

志狼「し、しねーよ! へっへー! ま、トシウエのヨユーをここはみせねーとだろ!」


直央(しろうくん……成長してるんだね)



千枝「仁奈ちゃん、はいっ!」

仁奈「ありがてーですっ! 志狼おにーさんありがとーごぜーますです!!」


志狼「はっはー! もっとカンシャしろよなー! あ、でもぜんぶ飲むなよな! オレだってノドかわいてんだから!」


仁奈「りょーかいですっ! ごくごく……っ!」


仁奈「もーいーです」

育「え、それだけでいいの?」
92:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:47:02.00 ID:NPlaKkWU0


仁奈「仁奈はちゃんと約束したぶんしか食べねーし、飲まねーですよ。冷蔵庫開けてコーキュー食材勝手に食べて怒られるとか……ねーです! ゴハンについては一人でできやがりますから!」

育「へえ! 仁奈ちゃんいい子なんだ~!」

千枝「……仁奈ちゃん」

桃子「ふぅん、強く生きてるんだね」



仁奈「かのんくん、飲みやがりますか?」スッ

かのん「うん、ありがとー! ごく……っ!」



桃子「えっ! ちょっと!?」

みりあ「わー!」

志狼「あーっっ!!!!!」


千枝(間せ……)


志狼「かのんまで勝手に飲むなよーっ!!! 一回、オレにきけよー!! カンシャしろよー!!!」

ありす「そっちですかっ?」
93:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:48:10.66 ID:NPlaKkWU0


かのん「ごめんしろうくん。かのん飲んでいい?」


志狼「んー! 許す! ぜんぶはダメだぞ!」


かのん「わかってまーすっ! ありがとー」




かのん「それで、かのんは飲んだからはい、次は育ちゃんだね!」

育「……えっ! いいのかなー?」


志狼「育10歳だっけ? トシシタだなっ! なら飲んでいいぞっ」


育「んーそういうことじゃなくって……あ、でも、ここでそんなこと気にするのも子どもっぽいよね! 飲ませてもらうねっ!」


環「いったいなに気にしてるんだー?」

志狼「なー? わかんねー」

千枝「……」

直央「……」


桃子「まあ、角度と高さで下の人たちもわかんないか……」
94:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:48:55.45 ID:NPlaKkWU0


育(かのんくん、かわいい子だし別にいっか。キンキュウ事態だし)

育「ごく、ごくっ……はい、育も飲んだよっ! 次は誰?」


志狼「あっ! いったんオレにもどして! オレのマイバイタルゼリーなんだからよっ!」


育「はーいっ、えっと、直央くん前に回してくれる?」


直央「あ、はいっ!」

千枝(良かったよね、きっと。次は前の列の私たちの番ってならなくて……)


直央「えっと、こずえさん……?」

こずえ「ふわぁぁぁ~……なにー?」

直央「このバイタルゼリーを」

こずえ「わかったのー」ヒョイ

直央「え」





こずえ「ごくごくー、ごくごくー」コクコクコクコクコクコク



桃子「え!?」

晴「おい、こずえ!?」


志狼「あーっっ!!??  そんな飲むなーっっ!!!!」

95:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:49:29.30 ID:NPlaKkWU0

――……



志狼「うぉー、減っちまったー!」

ありす「こずえさん……」


こずえ「ごめん寝ぼけてたのー……ふわぁ~……」

桃子「よくこの状況で寝ぼけられるね。ちょっと尊敬するよ」

こずえ「こずえはねー、おひるねがとくいなのー……だれにもまけないよー……」

桃子「ねえ、この子本当に大丈夫なんだよね!?」

晴「多分な。アヤさんと絡んでる時も、こんな感じだし」

こずえ「アヤ? あそんであげるー……」ムニムニ

晴「へゃ!? ほっぺいじくんなってー! オレはアヤさんじゃねー!!」



志狼「しょーがねーな、もー! うまく分けねーといけねーな! ま、まずはオレから」

ありす「志狼くんストップです!」

志狼「あん?」

96:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:52:10.17 ID:NPlaKkWU0


ありす「これは貴重な水分です。残量に応じた、適切な分配をしなければいけないと思います」

志狼「そんなん、わかってるよ」

ありす「わかっててくれてたなら、話が早いです。……それでは、そのバイタルゼリ―を渡して下さい」

志狼「えっ!! なんでだよ!?」

ありす「残りが少ないんです。慎重に分けないと。その配分は私が考えるのが一番いいと思うんです」

志狼「ええっ!」

ありす(そうです。私も……美波さんみたいなリーダーに)



ありす「算数、志狼くん得意じゃないって聞きました」

志狼「はぁ!? 算数はかんけーねーだろ!?」

ありす「関係ありますよ。割り算で配分を決めなきゃいけないんですから」

桃子(割り算って、重さとか量とか具体的にわからないんじゃ意味ないんじゃないの)



ありす「私、クラスでも……成績いいんですよ、これでも。いっぱい100点取ってますし。配分するのは私が適役だと思います」

志狼「なぁに~……!」

ありす「それでは渡して下さい」
97:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:52:49.45 ID:NPlaKkWU0


志狼「やだ!!」

ありす「えっ」


桃子・千枝・直央(こうなると思った)




志狼「ってか、よ~~く考えれば、このバイタルゼリーオレのなんだから、配分決めるケンリはオレにしかねーじゃん。そもそもありすが勝手に配分とか決められねー!」

ありす「うっ、確かに一理ある、かも……でも! 今は緊急事態なんです! みんなのために……」

志狼「それにありす、いつだったか忘れたけど、オレがドリンクやるよって言った時断った気がするんだよなー。2回ぐらい」

ありす「け、ケースバイケースです! 欲しい時だってありますからっ」

志狼「いるのかよ?」

ありす「それは、まぁ、はい。私も……喉が渇いていますので」



志狼「しょーがねーな。そんじゃフタを使ってっと」クイクイ

ありす「?」


  チョロ…


志狼「ほらよ。ありすの分」

ありす「な……っ! こんな時にふざけないでくださいっ!!」
98:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:53:44.09 ID:NPlaKkWU0


みりあ「志狼くん、ありすちゃーん、仲良く仲良く!」

育「ケンカはだめだよー!!」



ありす「つきあってられません! 早く渡してください!」グイグイ

志狼「がー! やめろー! オレのだぞー!?」ガタガタ


桃子「ちょっともう! いいかげん落ち着いてっ」


環「……しろう!」

志狼「えっ」

環「スキありだぞっ!!」パシッ!!

志狼「なー!?」



仁奈「おお! たまきおねーさんが取りやがったです!」

99:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:54:47.23 ID:NPlaKkWU0

ありす「環さん、機敏な反応です!! 流石はダンスタイプですね!」

環「えっへっへー!」

志狼「あー! 返せよたまき! このー!」

環「ふふーっ! 届かないもんね! しろうー、これはみんなで同じ分だけ」

志狼「横腹ががら空きだ!!」コチョコチョコチョ!!


環「きゃっはーぁぁんっ!!?」




      ポロッ




晴「あっ」

直央「あっ!」

みりあ「あーっっ!!」



こずえ「いんざすかーい……」



桃子「ちょっとっ!?」

直央「そんなっ!! バイタルゼリーが……!」
 
みりあ「落ちちゃったー――――っっ!!!!」
100:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:55:41.02 ID:NPlaKkWU0

環「ひどいぞ志狼ーっ!!! こしょこしょするからーっ!!」

ありす「なにしてくれてるんですか!! バカですか!?」

晴「水分補給大事だってのにー!! 貴重な水分を、お前ー!」

桃子「言葉もないよ! ばかばかっ!! 愚か者! 下郎! 三下! 大根! ハム!」


志狼「だーっ!!!! 765も346もうっせー!!!! 四方向から攻撃してくんなー!!」


ギャーギャー!




直央「しろうくん……! あ、あのあの、みなさん落ち着いてっ」

みりあ「そうだよーよけいノドかわいちゃうよ!?」 


育「桃子ちゃんがこんな大声出して怒るなんてめずらしいねっ?」

桃子「目の前でバカなことやられるとイライラするの! ……桃子もノドかわいてたのに!」

志狼「オレだけのせーじゃねーだろ!? そもそもありすがエラそーにオレのゼリーをどうこうしようとしなきゃ」

ありす「なんで私のせいなんですか!? 私はみんなのためを思って平等にですね……!」

志狼「それに環がいきなり奪ってくるからアセッたんだよ! そうだ! 環がくすぐりに弱かったのがワルい!」

環「むかー! なにそれー! くすぐった方がわるいぞー!」

志狼「晴も、たまきが落とした時、シュバって後ろから手を伸ばせば取れてただろ!」

ありす「言いたい放題むちゃくちゃを……」

晴「……そっか、気合い入れときゃインターセプトできてたかも……」

ありす「晴さん!? どうしてそんな一理あるみたいに!?」
101:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:56:48.58 ID:NPlaKkWU0


仁奈「はわわ……」


ワーワー!! ギャーギャー!!


千枝「みんなやめてくださいっ!!」


晴「っと……」

環「ちえ?」


直央「……いったん怒るの、やめよう?」

千枝「そうです。千枝はこれ誰も悪くないと思います。志狼くんのゼリーだったんだから、まずは志狼くんを納得させてから分配しなくちゃいけなかったと思います」

ありす「……まあ、それは」

環「うーん」

志狼「へへっ」


千枝「志狼くんも、ケンカになるようなことやっちゃダメでした。フタ一杯分だけ入れたり、いきなり環ちゃんのおなかこちょこちょしたり」

志狼「うげ……」

環「そーだそーだ!」

ありす「そうです!」
102:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:58:15.27 ID:NPlaKkWU0

直央「みんな暑くって、ノドが渇いて、こんな高いとこにずっと停まったままでイライラしちゃってます。まずは落ち着くことが大事だと思います」

千枝「うん。気持ちは分かるけど、今はケンカしてる場合じゃないと思う」

みりあ「そうそう! きっとプロデューサーたちももそう言うよー!」


環「……」

志狼「……」

ありす「……」



晴「……だな」 

環「はる?」

晴「せっかくの水分が目の前で落ちてったから動揺しちまってた。落ちたもんはもーしょーがねー! 環も橘二人も気にすんなよ。そんでもうケンカやめよう……ヨケイ暑くなるし!」


桃子「いま争ってもどうにもならないのはその通りか……。じゃあ桃子やーめたっ。体力のムダだもん」

こずえ「きりかえはやーい……まいぺーすだー……」

桃子「こ、こずえさんには言われたくない……」
103:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:58:48.15 ID:NPlaKkWU0

志狼「…………みんなノドかわいてるってのは、オレだってわかってたよ」

直央「しろうくん」


ありす「思い返せば、私も少し強引に進めようとしてしまいました」

環「ちょっとね、楽しかったんだ。しろうからゼリーうばうぞーって考えた時。遊びみたいで」



志狼「みんな……まぁ、なんだ、あれだ」

ありす「えっと……その」

志狼「……」

ありす「……」

環「たまきが落とさなきゃよかったんだよ。遊びみたいに考えてたから……落としちゃったんだ、きっと。ごめんっ!」


みりあ「はい、たまきちゃんの勝ちー!」

志狼「へっ?」
104:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 12:59:19.69 ID:NPlaKkWU0

環「え、勝ち?」

みりあ「ごめんなさいって先に言う競争! 環ちゃんが一番早かったよ!」

かのん「えらーいっ、たまきちゃん!」

仁奈「たまきおねーさん流石でやがります!」


環「え、え~っ。そうかな? くふふふ、そっかー、一番かー」


志狼「ごめんっ!!」


桃子「わっ!」


志狼「ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん!!! はいっ! オレの方がゴメンの量多いっ! オレの勝ち!!」

環「えー! 数はカンケーないぞー! なんでしろうが勝ちなんだーっ!」

桃子「いつのまにごめんなさいが勝負になってるの」


ありす「そうです。謝る気持ちに勝敗なんて無いです……」

千枝「ありすちゃん!」

ありす「みなさん。その……ゼリーが落ちてしまったのは、私にも責任の一端があります。もうしわけないです……」

直央「お、怒ってませんよ! 傍から見てれば、事故みたいなものだったから……」
105:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 13:00:00.28 ID:NPlaKkWU0


桃子「……そもそもこんな状況に追い込んだ、おにいちゃんにも原因あるよね」

育「えっ」

桃子「降りたら、お詫びにおにいちゃんにたくさんジュース持ってきてもらわなきゃ。みんなも飲んでいいよ、その時は」

志狼「え、まじで! やったー! オレこの遊園地のスペシャルドリンクっての飲ませてもらおーっと!」

みりあ「あはは、志狼くんちょっと意地汚いよーっ。でも、そっか、降りた時の楽しみにしておくねっ! ジュース飲むの!」



直央「はぁ……良かったですね」

千枝「うん! ふー…………こんなところでケンカは、ダメですもんね」


ありす(周囲が混乱した時に導くリーダーの能力……千枝さんはLMBGの中心にいますし、直央くんはもふもふえんの奔放な二人をまとめている)

ありす(しっかりした大人になるためには、リーダーの経験が必要……?)


育「んー……? ん……うぅ~ん?」

かのん「いくちゃん首の運動してるの?」

育「ちがうよっ、ラジコンかなぁって」

みりあ「えーなになにっ?」
106:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 13:00:35.54 ID:NPlaKkWU0


みりあ「……あー! ホントだラジコンだー!!」

晴「あん? ラジコンって?」





フィィィイイン―!


ババババババババ…!!



ありす「ひゃっ……!?」




唐突に“それ”は現れました。


環「わっ!? ちっちゃいヘリコプターだー!!」

志狼「うおっ! なんだこれなんだこれ!? かっけー!!」

ありす「これ知ってます! ドローンです!」
 


そう。現れたのは4枚羽の銀色のドローン。


その小さな飛行物体は上空の風に四苦八苦する様子で、細かな上昇下降、前進後退を繰り返し……

やがてなんとか安定し、最前列の席の先に陣取りました。
107:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 13:03:06.07 ID:NPlaKkWU0

晴「おい、なんかモニター付いてるぜ! スマホみたいなヤツ」


晴さんが放った言葉に、みんなの視線がドローンに集中します。

確かにスマートフォンを横向きに張り付けたようなモニターがありました。




――――【み / / 大 / / です / 】




志狼「あっ、なんか映し出されてる! 質問みてーだ!」

育「う~っ! 後ろだから見えない~!! 」

かのん「かのんにも教えて~! なんて書いてあるの~!」

環「『み……大……です…』 うー、ゆらゆら揺れてるから読みにくいぞ~!」


晴「“みしろ(346)大活躍ですね”じゃねーの?」

桃子「どうしてここで346プロ先行ヒーローインタビューなの。そんなわけないからっ」


環「“みかん大好物ですか”かなー?」

ありす「この状況で好きなフルーツの話題っ!?」
108:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/05/29(日) 13:04:16.59 ID:NPlaKkWU0

かのん「あーはいはいーいっ! “みみが大きいですか?”だよ! きっと」

桃子「誰の耳が大きかろうと、この状況でそんなこと聞いたら、桃子自分の目と耳こそを疑うよ」


みりあ「“みくの大ファンですー!”かも?」

ありす「みくさんのファンの表明はここで無いところでお願いしたいんですけど」

志狼「“みくは大学生ですよ”だったら?」

晴「あっはっは!! だったら年齢サバ読んでんじゃんか、こっちのアイドルでそんなヤツいねーよ!」                         ウサミンミン

晴「……いや、オレも思いついた! “みくは大変身できる!”って書いてんじゃねーの」

みりあ「きゃははは! みくちゃん変身できるんだー! 魔法少女かな? かっこいいなー、見てみたーいっ!」

志狼「んじゃ次は……! えーと、みくのー」

ありす「みくさんで大喜利をはじめないでください!」


仁奈「みんな……みくおねーさんを楽しい人だとわかってやがるんですねー。すげーです、みくおねーさん」

桃子「みくさんって人、ネタキャラもいけるタイプなんだね……って! ちょっとみんな、マジメにやってよねマジメに!」




直央「普通に『みんな大丈夫ですか』って聞いてるだけだと思う……」

千枝「そうですよね……」




――【みんな大丈夫ですか】



――【笑顔を確認。ひとまず元気のようですね】
127:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:30:40.44 ID:/X4YZgOo0


マキノ「うぅん、やはりブレの調整機能が甘い……集音機能も持たせないとダメね……」

八神マキノ




ロコ「デザインもよりアーティスティックなものに変えましょう! デンジャーな状況にある子ども達の心に華やぎを与えなければ!」

マキノ「デザイン?」

ロコ「そうですね、まずはボルガーなボディをクラシカルに、インテラルなウィングブレードをぺダンティックに――!」

マキノ「……待って。言語の解読が追いつかないわ」

ロコ「そうですか? しかしデザインに関してはロコに一任させていただければ!」


ロコ




マキノ「………………」

マキノ「伴田路子さん。ここひとまず、実務面での機能を改善するのが優先よ」

ロコ「なーっ!? ロコはロコですよ!?」

マキノ「あら、失礼……アイドル詳細にあったものだから。そういえばすぐに名前を訂正するとあったわね。諜報したのに失念していたわ」

ロコ「アイドルでありながらなんともディテクティブな! むむむ……流石は346プロの人材。アメイジングですね……!」
128:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:36:02.83 ID:/X4YZgOo0

マキノ「で、どうするのかしら? まだ復旧のめどは立ってないんでしょう?」

瑛流「僕がちょイと見てみようか? 制御用コンピュータァっての。頑固にコースターを止めたままのへそ曲がりくんをさ」

マキノ「さっき聞いた話では、システムの不具合……ソフト面の問題だと思ったのだけど。あなたはどちらかというとハード面が専門ではないの?」

瑛流「大丈夫大丈夫、大概のものはチョチョイノチョイで直せる」

マキノ「まぁ、なにが原因で止まっているかわからないものね……」


765P「専門的な技能があるのなら見るだけ見てもらいますか?」

315P「そうですね……では、スタッフさん達に話を通して……」

瑛流「ついでに一味つけたして、面白くしてやるから、どうだい?」

ロコ「おー? メンテナンスにプラスアルファ?」

瑛流「あと、心配する必要はねェと思うけど爆発しちまったらお慰みだァ! はっはー! なぜかよく爆発しちまうんだよなぁ」


346P 「爆発!?」

マキノ「……抑えて。やっぱりあの人抑えて」

ロコ「レックレス! マッドなエンジニアでしたかー」


瑛流「おぉう!? なぜだァ!? 修理のときゃァ爆発させねェってば!」

315P「すいません瑛流さん。リスクはとれません……少なくとも今の段階では」


ロコ「こうなればロコが代わりにロコナイズをっ!」

765P「だからやめろってば! 改造が主題じゃないからっ!」
129:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:37:48.41 ID:/X4YZgOo0

マキノ「――おほん。とりあえず、今は子ども達をフォローしなくてはね」

マキノ「手短に情報を……」



――

――――





【――――現在の状況はこのようなものになります】



ありす「復旧のために努力してくれてるんだ……」

晴「やっぱ、かなり心配してくれたんだな」

桃子「で、いつ動くの? そこの具体的な情報ぜんぜんないじゃない」

志狼「向こうにもわかんねーんじゃねーの?」


みりあ「心配してくれた人たちが駆けつけてくれてるんだって! 誰が来るのかなー!」

千枝「こんな大騒ぎになっちゃったのはやっぱり残念なことだけど……そこは、ちょっと嬉しいです」

直央「うん。誰が来てくれてるのかな」

志狼「FRAMEのにーちゃん達が来てくれてたらいいよなー! あ、でもすざくのあにき達にも会いてーな!」

かのん「そうだねー! 解決してくれそう!」

育「765プロもすごいんだから! こっちは時間旅行とかもやっちゃえる人いるんだよ!」

千枝「え、じ、時間……!?」

直央「お芝居とかの話だよね……?」
130:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:39:47.43 ID:/X4YZgOo0

環「うみみ~♪ ひびき~♪ くふふふっ! ダレが来てくれるのかな?」

ありす(文香さんと美波さんは……今日はお仕事。……都合つくかな)


桃子「誰かが来てくれるっていうのは……ま、うれしいけど。桃子としてはそれよりも早く地面に降ろしてほし……――くっ、……ぅんっ!」

こずえ「ほし、く、んー……?」

桃子「こほんっ、くふんっ! ……ああもう! クチもノドもからから! 飲み物持ってきて!」

晴「おい大丈夫かよ。気休めかもしれねーけど、ガムやるよ」


志狼「そーだ! のどかわいたー! なんかドリンク持ってきてくれー!」

ありす「そういえばドローンでも物資を運べるんですよね? 災害の時に活躍できるようにしてきているんだとか……飲み物が欲しいです。お願いできますか?」



――【飲み物ですね】


――【少しだけ待っていて】



ババババババ…



環「あ! 下におりてった! のみもの持ってきてくれるんだ!」

仁奈「やったー!」
131:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:40:22.55 ID:/X4YZgOo0


……

…………


マキノ「これでとりあえず、双方向の情報伝達が可能になったはず……」

瑛流「ちょろィもんさァ! そんじゃァ……誰が飛ばすんだい!?」



132:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:41:39.48 ID:/X4YZgOo0

――

――――



志狼「おせーなー! ぜんぜんこねーじゃんかー! 『ライブ』!」

ありす「……やっぱり難しいんでしょうか。物を運ぶのって。……『ブーイング』」

桃子「ちっちゃかったよね、あのドローン。もう、どうしてもっと大型のを使わないのかな。『グリー』」

こずえ「『りみてっどがちゃ』ー……」

晴「あん?」

こずえ「ちがったー……。えっとねー、『りはーさる』ぅー……」

晴「『る』、だな。『ルーキートレーナー』。――こんなことになると誰にもわからなかったんだから、大型のドローンなんて用意できねーだろ」

みりあ「えーっと、な、な……えー? な、な、な……『ナーンナーンっっ』!!」

直央「え、なんですかそれ!?」

千枝「みりあちゃん、それ“ん”がついちゃってますよ?」

みりあ「あ、ほんとだー! 今のなーしっ! 今のなーしっ!!」


桃子(どうして今の奇声で杏奈さん思いだしちゃったんだろ……)


志狼「あー、しりとりもいいかげん飽きたなー」

133:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:43:04.11 ID:/X4YZgOo0

晴「やることねーからやってるだけだしな。ノド渇くけどちょっと気をまぎらわしとかねーと、恐くなっちまうヤツが出てきちまうし……」



ババババババ…!



育「あー! きたよきたよ!」

仁奈「どろんだ、どろんだー!」

かのん「仁奈ちゃん、どろーん、だよ?」


桃子「遅い、もう……! 待ちくたびれたんだから」

環「あ、でもなんか、かっこうが変わってるぞー! パワーアップした感じ!」

ありす「目がいいですね。改造したのかな……? このアクシデントにより対応するために……」

みりあ「デコってるね! なんだろ?」



バババッ

ババッ


ギュィン! ギュア!!


ヒュルルル…フィィィイイイイイィィィン~ッ!



志狼「おー! なんかアクロバットやってる! すげーかっけー!」

千枝「え、どうしてここでそんな動きをするの……?」
135:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:45:21.28 ID:/X4YZgOo0

ありす「どう考えても意味ないですよ……何遊んでるんですか。早く飲み物がほしいです」

桃子「ていうか、あれただフラついてるだけだと思うんだけど」

環「おお! たまきの横まで上がってきた! おーいおーい! のみものを――――」




ババババ…!




環「あ」



環「これだめだ!!!  あたまひっこめてー!!!!」

ありす「え――?」




フィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィン!!!!




環「はっ!」サッ!

志狼「おっとー!」サッ! グイ!!

ありす「ひゃわっ!?」ガクッ



――――ィィィィィィィン…!




こずえ「ないす、ぱりぃー……」
136:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:47:02.57 ID:/X4YZgOo0

環「ふー! あぶなかったー!」


志狼「なんだよ!? 突っ込んできやがったぞ!? 敵か、敵なのか!?」

ありす「あの……」

志狼「ずりーぞ! こっちは動けねーのに!」

ありす「あの」

志狼「さっきのドローン、悪の組織に改造されてきたのかもしれねーな……!」

環「悪のソシキ! なんてひどいことするんだー」

志狼「ひょっとしてこのジエンドライドが止まったのもなにかのインボーで……」


ありす「あの志狼くん!!!」


志狼「うわ、なんだよ!?」

ありす「あなたいつまで私の頭を掴んでいるんですか! 髪の毛ぐちゃぐちゃにして……!」

志狼「おっと、わりーわりー……! でもカンシャしろよ。ありすのハンシャシンケイじゃぜってーよけらんなかったんだから!」

ありす「べ、べつに助けなんていりませんでしたっ! 一人でもちゃんとよけられました! 余計なことしないでください!」

志狼「んだよ、その言い方! じゃーオレもう二度とオマエを助けてやんねーから…………おっと!!?」サッ!!


ギュアッ!!!


桃子「またかすめていった! やめてよ、もう!」
137:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:48:42.72 ID:/X4YZgOo0

みりあ「本当にコーゲキされてるのかなー?」

晴「いや違うと思うぜ。さっき接近した時見えたけど、ちゃんと飲み物が載せてある。志狼のゼリー飲料みたいなヤツ」

直央「わぁ……動体視力すごいね」

晴「へへっ、まーな。だからあのドローン、きっとちゃんと飲み物届けようとしてんだと思うぜ」

千枝「え、じゃあどうして突っ込んできたの?」

かのん「あ! わかった、きっと操縦がへたっぴなんだー!」

育「練習ぶそく?」



――ギュアアアアアア!!



みりあ「わっ! またきたー!」

桃子「みんな頭を低くして!!」

こずえ「ふわぁー……みんなたいへんー……ねむねむ……」

桃子「だからなんでこの状況で眠くなれるの!」

晴「こずえオマエまじでスゲーな」
138:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:49:55.60 ID:/X4YZgOo0

ヒュン!!

フィィィィン!!!!


ゴオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!



環「うぉう!? あぶなーいっ!!」

桃子「殺意すら感じる……!」

志狼「誰だよ! 操縦してんの!! ヘタすぎだってのー!!」





……





地上


日野茜「ぬぬぬー!!! なんとまたしても失敗!! しかし、心は折れません!! もう一度……トラァァァアイッッ!!!」

野々原茜「お、おう……なんとゆーほとばしるパッション! 共犯になる前に逃げられるのは今だけだと茜ちゃんの本能が叫んでいるぜ……!」


日野茜


野々原茜

139:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/14(火) 00:51:16.46 ID:/X4YZgOo0


日野茜「うおー!! いけー! ファイヤー!! ボンバー!!」

野々原茜「日野チャン、センサイさってのも大事じゃーん? 人生長いしここはちょっぴりローギア入れるのが美少女のたしなみってやつでは? ねえねえねえねえ!? ねーねーねー!?」

日野茜「え! すいませんなんですか!? 聞いてませんでした!!」ガチャガチャガチャガチャ!!!!

野々原茜「なんちゅー気合い入ったガチャプレイ! 乙女はいつだって全力であるべきだってことを体現してらっしゃる!」


マキノ「ちょっと……操縦は丁寧に! 子ども達が今必死にかわしてるのよ! 追いこんでどうするの!」



――『またきたーっ! かわせー!!』

――『みんなー! だいはっけん! 目をつぶった方が風と音がはっきりして避けやすくなるぞ!』

――『ふざけんなっ、なんでこんなとこで心眼の修行をしなきゃなんねーんだよ!?』



346P 「茜! やる気に満ち溢れてるのは分かるけども、これはただ運ぶだけだぞ! ゆっくりやるんだ!」

315P「どうして茜さんに任せたんですか……?」

346P 「いや……『任せてくださいっ!!』 ってめっちゃ目をメラメラさせて言われたもので。パッションを感じてしまって……」

315P「そんな、うちの社長みたいな理由で!」



日野茜「私、ちょっとクールダウンした方がいいですか?」

ロコ「あなたのボンバーパッション、素晴らしくアーティスティックですが、あんな乱暴なマニューバではせっかくのロコデコが見えません! チェンジお願いします!」

マキノ「そこが問題ではないから……ああもう、あなたは学業成績優秀と聞いていたのに! 結局バカとハサミのハサミじゃない方ばかりじゃないの……!」

346P (すまんなマキノ)
154:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:37:06.95 ID:6mH8XlQK0

マキノ「モニターの調整と機体状態の管理を他に任せられたらいいんだけど……」カタカタ

瑛流「ここはちょイと専門的な領域だからねェ」カチカチ


日野茜「わかりました! 人命第一です! …………野々原茜さん!!」

野々原茜「おぉ!? なんじゃらほい!」

日野茜「私のパワーを全て託します!!! どうか私の分の想いをあの太陽にぶつけてやってください!!」

野々原茜「なんと!? なんとッ!? ここで茜ちゃんご指名~!?」


日野茜「そうです! 茜さん! 今まさにここで! “茜”の力が一つとなりました!! 今の私たちは…………最終兵器茜です!!」

野々原茜「そこはかとなく鬱展開の波動を感じるけども!? ……しかし、この情熱……アイドルとして拒否するわけにも……」

日野茜「茜さん!! あなたは『やる茜』ですか!? それとも『やらない茜』ですか!? 私はもちろん『やる茜』です!!」

野々原茜「――!」


野々原茜「……ふふっ! 言ってくれるじゃぁないか、茜ちゃん。わんだほーな情熱だ! ナデナデしてあげよう!!」ナデナデナデナデ

日野茜「わうっ!? な、なんと……ありがとうございます……!?」

野々原「茜ちゃんは、いや……茜ちゃん達は、『やる茜ちゃん達』さ!! とーぜん、もっちろん!!」


765P(どういう会話だこれは)

155:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:39:09.33 ID:6mH8XlQK0

野々原茜「……プロちゃん! 日野々原茜、いっきまーす!!」

765P「名前を合体させてる!?」

日野茜「今なら3倍の速度が出ます! きっと!」

346P 「いや出さなくていいからな!?」



野々原茜「てやー! はー! 茜ちゃんのいいとこ見のがすなよぉ~!?」クイクイ

マキノ(あ、でも操縦は意外と堅実)


ロコ「ロコデコ・ドローンを駆るアカネ……これはミッション“fruity love”ですね!! アカネ、ビビッドかつセンチメンタルなマニューバをお願いしますよ!」

マキノ「絶対に墜落だけは避けて。コースターの下に人はいないけれど、風で流されたら誰かに当たってしまうかもしれない」

日野茜「さぁっ! もっと素早くズバババーッと行っちゃってください!!! 給水は速さが命!!」


野々原茜「あれれ~? 我が双肩にかかる想いが積載過多ギミだぞ~!? だが、茜ちゃんは負けない! なぜならここはスーパーアイドルだから……! おりゃー!」クイクイ



   バババ…



346P 「おお! ゆっくりコースターに近づいていってる!」

765P「やるな茜。さすがよく空飛んでるだけのことはあるな!」

野々原茜「いえ~すっ! どっきりフライトは十八番、天翔ける戦姫茜ちゃんとは……この茜ちゃんのことさ! 大事なことなので茜ちゃんを二回言いました!」

315P「え、空って……どういうことですか」
156:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:40:29.03 ID:6mH8XlQK0

日野茜「ナイスコントロールです!! 日野々原茜さん! ゲームとかお得意なのですか!」

野々原茜「楽しいコトは大好きさ! もちろんゲームも…………ゲーム?」

日野茜「はっ?」

野々原茜「4月1日……宇宙の正体…………秒間420億の茜ちゃん…………うっ! アタマが~~!」

日野茜「おぅ!? どうしたんですか!? ゲームについてなにかキケンな記憶が!?」

野々原茜「いや、おっけーおっけー……なんでもない大丈夫。ちょっと任天堂の倒し方を忘れただけさ……!」


マキノ「何の話をしているの」

瑛流「一人でもにぎやかなお嬢さんだねェ!! アイドルってやつァこれぐらい個性をアピールしねェとダメなんだな!」

346P 「個性という面では、あなたも才能あると思いますよ……」

瑛流「へえそうかい! うれしいねェこりゃあまた気合い入れてアイドル目指さないと……っとそこでいい! その位置なら飲み物を渡せるぜ!」

野々原茜「ほよ?」




……




バババババ…



志狼「……お、お?」

ありす「……大丈夫ですか?」

環「うん。今度はあんまりあばれてないぞ」
157:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:42:39.69 ID:6mH8XlQK0

白石瑛流(候補生)




瑛流「正面じゃねェけれども、まぁ斜めからでもOKだろ。そんじゃァ、こっちの操作で発射といこうかねェ!」

315P「発射!? なにを」





……






晴「あれ? ドローンなんか……」



――ガチャガチャ…

――キュィィイン

――ガシャキーン!!!



志狼「おおー!! すっげー! なんか変形した!! 大砲みたいなのが出てきたぜ!」

環「うわーうわー! カッコいい!!」

ありす「いや、なんですか……あの銃口は? また攻撃を仕掛けてくるつもりじゃ……」

桃子「桃子、そろそろ展開にツッコミ入れるの疲れてきたんだけど」
158:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:47:05.09 ID:6mH8XlQK0

瑛流「はっはー! やっぱこういうギミック熱いよなァ! ぽちっとな!」ポチッ





……


――バシュ!!



――べちーんっ!!



志狼「べっ!?」


直央「しろうくん!?」

みりあ「わー! ゼリーが飛んできたー!」

千枝「だ、だいじょうぶですか? 志狼くんっ?」

志狼「痛くはねーけど、びっくりしたー!! そーか! こうやって渡すのか!!」


かのん「そっかー近くだとプロペラとかこわいもんねー。離れたトコロから撃ってくれるんだね!」

ありす「いやいや……! どうして銃弾みたいにするんですか!? マジックハンドとかないんですか!?」

志狼「わかってねーなありす。こっちのがかっこいーじゃん!」

環「“ろまん”だな! わかるぞっ!」

直央「ぎ、技術的にマジックハンドとかはむずかしくって、こういう形になったのかな?」

桃子「……桃子は単に趣味だと思うけど」
159:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:49:25.89 ID:6mH8XlQK0


……


マキノ「飲料の支援は完了よ。みんなに行き渡ったわ」

765P「やった!!」

マキノ「でもあんな非合理的な変形をする以外にも、受け渡しの方法はあったのではなくて?」

瑛流「あのドローンは僕のだぜ? のっけたいギミックあふれてたンだよ! とりあえず変形機構ぐらい備えとかなきゃだ!」

日野茜「変身グッズみたいです! 光ちゃんとか喜びそうですね!!」

瑛流「お! 魅力が分かってくれる人がいるのかい!? うれしいねェ!」



マキノ(この人は候補生であって、情報が少なかった。元おもちゃ屋……にしてはエキセントリック。うちの晶葉博士と同じような方向かしら)



――『ごくごくごく! あーうめー! やっと飲めたー!』

――『うぇ、苦……これグレープフルーツ味か。別のにしよ。直央くんあげる』

――『桃子ちゃん、カンシャして飲まないと』

――『う、育……』


765P(……桃子はちょっと好き嫌いなくさなきゃだな)


マキノ「向こうが飲んでる間に、一旦ドローンを地上に降ろして野々原さん。充電しなきゃ」

瑛流「だな、荷物積んであんなアクロバットやっちャぁ、減りが速ェや」

ロコ「こういうのは着陸させる方がベリーディフィカルトです! アカネ、ノーミステイクでお願いします!」

野々原茜「のォう!? やっぱり茜ちゃん選ばれし者なの!? 難題が特盛りサービスで降りかかってきてるよー!?」
160:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:51:33.20 ID:6mH8XlQK0
346P 「しかしマキノよく来てくれたな。連絡手段を整えてくれて助かったよ、感謝する」

マキノ「日課の情報収集をしていたら、ここの騒ぎがネットで目についてね。……たまたま一番早くに気づけただけ」


765P「ロコも、うん、来てくれてありがとうな。オフだったのにわざわざ」

ロコ「ノープロブレム! 個人的にここには来てみたかったですしね!」

765P「え?」

ロコ「ここのパレードのフリークス達のメイクアップ、非常にハイセンスと評判で! マーべラスなインスピレーションをいただけると思うのです!」

765P「そうか。センスを磨くのは大事だよな……育達を元気づけてやってくれ」


瑛流「しっかし、アイドルたァ大変な商売だねぇ。こんなエレぇトラブルに遭っちまうなんてな」

315P「ええ……すいません。こんなトラブルに遭ってるところを見ればアイドルに対しての悪い印象持っちゃいますよね」

瑛流「何言ってんのさァ、こっちゃァ罪はないじゃないか! いずれは同僚となるかもしれねェ子どもたちだ。僕でよければもっと手伝わせてくんな!」

315P「瑛流さん……ありがとうございます!!」








野々原茜「あの! 現在進行形でドローンを下ろそうとガンバってる茜ちゃんをナデナデしてくれる素敵な方はおりませぬかー!? プリーズ応援! ギブミー労い!」カチカチ クイクイ


161:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:53:04.75 ID:6mH8XlQK0

日野茜「野々原さん!!!!!  いえ、“茜”ちゃん!!!!!!」


野々原茜「うわぅ!? 耳がー!?」キーン!!

日野茜「任せてください!!!! あらんかぎりの大声で!!!! あなたを応援させていただきますす!!!!!!」ゴオオオオオ!!!

野々原茜「うーん! 美人薄命!! 茜ちゃん今日生きて帰れるかな!」





……



―ファイヤー!!




ありす「今、なにか茜さんの声が聞こえたような……?」

環「え? あかね!? あかね来てるの!? どこどこー! あかねの“ぼけ”また聞きたいなー!」

ありす「……? あの、茜さんっていうのは……あれですよ。熱血ぎみでウェディングドレス姿で街中を走りまわる方の茜さんですよ」

環「え!? バレンタインのプレゼントは自分だって言いきったのに、みんなにギャグにしか見られなかった方のあかねじゃないの!?」

ありす「多分そちらの方ではないですね」


直央「エピソードがおかしいような……」

162:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:55:22.01 ID:6mH8XlQK0

――

――――――


ミーティングルーム


「現状は?」

「相変わらず『安全上の問題がクリアされていません』と出て、復帰させることができません」

「安全上の問題って何だ」

「ずっとセルフチェックさせていますが具体的なものは表示されません……」

「言うことを聞かないんなら、一度コンピュータの操作を切るのはどうだ?」

「一度電源を落とすということですね? それはできなくもありません。……が。ご存知の通り、このジエンドライドはコースターをここで制御・管理しているわけですから、電源を切った後は、動かすことが……」

「やはりできないのか?」

「単純な再起動ではまず解決しないでしょう。しかし、動かすこと自体は出来ます。手動なら。保守点検作業の領分ですが」

「動かせるのか?」

「はい。少しでも動かせば、後は地上100mからの坂道。仕様書によると、位置エネルギーの変換で十分にコースは完走可能です。そもそも巻き上げ式コースターの発展形ですからね」

「そうした前例はあるか」

「全くなしですね。というか、そもそもこのジエンドライドは稼働して日が浅い。緊急停止というトラブルもこれが初めてと言っていい」

「コースターからなら、動かせる。方法は上にスタッフを派遣するか、あるいはアイドルの子ども達に作業を……高リスクすぎて話にならんな」
163:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:57:43.14 ID:6mH8XlQK0

「セーフティレベルを最高にしたのが裏目に出ましたかね……。恐らく原因は事故が起こらないよう、司令塔のコンピュータがおせっかいになりすぎていることです」

「警告が発せられている以上、性急に動かすのもリスクではある。安全確認作業とシステムの再調整、両面を続けていくしかないな」


「そもそも上に責任がありますよね。番組のスポンサーになってアイドル使って宣伝するって決めたのは上の広報ですもん」

「子ども達、コレ嫌な思い出になっちゃうだろうなぁ……それが残念だ」




忍「…………」


―― フッ




……



315P「まだ復旧のメドが立たないらしいですね……」

765P「子ども達のフォローを続けるしかないな」


――Prrrr


346P 「電話か。今度は誰だ……? ちひろさんか。――もしもし?」



――『プロデューサーさん、お伝えしたいことが! そちらに報道ヘリが向かっています!』
164:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 00:59:02.76 ID:6mH8XlQK0

346P 「報道ヘリ……!? はい……はい、はい!」


346P 「スポンサーと番組Pからも連絡が? それでどういう……」

346P 「…………謝意を表明していると。そうですか」


346P 「いえ。それは考えさせて下さい。あの子たちは、まだ頑張りたいと思ってるはずです……少なくとも、俺はそう思います」

346P 「はい……そんなに時間があるわけではないのは分かっています。ですが、346だけで決めていい問題ではないし、大人だけで進めていい問題でもないはずです」


――ピッ


315P「――はい! 任せてください! パ、パッションでがんばります」ピッ!

765P「まぁ、765プロではよくあることですね……いつも通り、あいつらのやりたいことを聞きますよ。では!」ピッ!



346P 「お二人も事務所から連絡がきたんですね」

765P「ええ。スポンサーと番組側から、めずらしく率直な謝罪が。被害者が子どもだってのが効いたのかなぁ……」

346P 「報道ヘリが向かっているとは知っていますか?」

765P「はい。小鳥さんが言っていました」

315P「え? こっちの事務員はそんなこと……」
165:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:00:09.35 ID:6mH8XlQK0


――Prrr!!

315P「はい」ピッ


――『すいません! 言い忘れました! 報道ヘリがそっちに行ったそうです!』



315P「山村さんんんんっ……!! ――すいません、確認しました」

346P 「そうですか。それでこれからの対応を話したいんですが」

765P「対応?」

346P 「346プロダクション……上は、パーク側、番組側の方の落ち度だとこのトラブルを捉えています。そして、報道ヘリは止められないと言っています」

346P 「仕事はもはや中止。ならばこれからの対応は……このトラブルをドラマとし、同情を集め、それを糧とすべきと上は提案してきています」

315P「それはつまり、どういうことですか? 同情を集めるとは」


346P 「報道のことを考えると、『被害者として振舞った方がいい』ということですね」


315P「…………な」

765P「…………被害者、ですか」
166:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:02:02.48 ID:6mH8XlQK0


346P 「ヘンな言い方ですが『被害者』路線を推すなら、カメラに映る全員がそうじゃないと意味がない」

346P 「子ども達に指示を出すなら今のうちです。――どうします?」


315P「……」

765P「……」


315P「あんな状況の子ども達にそんな事をやれというんですか。私は、憐れみなんかであの子たちに人気をとらせるつもりはないです」

346P 「――!」

765P「被害者かぁ……俺もあいつらに悲劇のヒロインなんて路線は取らせたくありませんね、今のところは。……笑うようになったんだから」



346P 「では?」


「「却下してください」」


346P 「………………」



346P 「ですよねぇ……!!!」


167:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:04:50.09 ID:6mH8XlQK0


346P 「我々のプロデュース方針からして、合いませんよね、そんなの」

765P「取るにしても、まずは……あいつらの意見を聞いてからです」

346P 「その通りです! そう伝えておきます」


315P「事務所が大きいと色々、物言いがつくから大変ですね」

346P 「……まぁ、これでも自由な方だと思いますよ」

168:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:06:55.01 ID:6mH8XlQK0

――……




――『……ということで、報道ヘリがしばらくしたら到着し、あなた達の様子を映していきます』

――『あなた達はどうしたい?』



みりあ「どうしたいって…………みんな、どうしよー?」

環「カメラがくるんなら、撮られるしかないんじゃないの? どーいうこと?」

桃子「どういう立場で、どういう桃子達を見せるのかってことだよ。シリアスな悲劇にするか、もうちょっとマシなものにするかは桃子たち次第……そうだよねお兄ちゃん?」


――『……そうだ。桃子。流石だな』


環「あ! おやぶんモニターに映った! おーい!」

志狼「ってことは! おーいプロデューサー! オレら見えてるー!?」


――『う、うん。見えてるよ、志狼くん』


直央「プロデューサーさん……! あ、あの……ボクたち、指示がないまま動いてもいいんですか?」


――『うん……これはもう、仕事とは違うからね』


千枝「お仕事じゃ、ない……」
169:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:08:37.66 ID:6mH8XlQK0


――『もちろん、自然体でもいいよ。……怖い目に遭ってるんだもん。本当は口出しすべきことでもないから』


直央「…………」

みりあ「みりあたちが怖がってるとこ映されたらどーなるの?」

育「うん。このジエンドライドさん、あぶないのりものだーってことになっちゃうんじゃないの? いいの?」


――『……なるな。いや、隠さないで言うぞ。おそらく、ジエンドライドというアトラクションはしばらく運転休止には追い込まれるだろう』

――『そして悪評が世間に広がれば、再開する目すら消えてしまうかもしれない』


ありす「悪評……ですか。確かに。テーマパークはイメージでもっているものですからね」


――『あなたたちは、ジエンドライドに捕まっている。しかしあなた達もまた、このジエンドライドの生殺与奪の権利を握っている。この際、そう思ってくれていいわ』


志狼「せ、せーさ?」

ありす・桃子「生殺与奪!」

直央「え、えーっと思い通りにできるって意味だよ、しろうくん」

志狼「それなら、そー言ってくれよー……」
170:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:12:57.04 ID:6mH8XlQK0

かのん「ジエンドライドが、本当にジ・エンドになっちゃうの~?」

仁奈「ちょっとおかしーですよー! あははは!」

育「笑うところかなぁ?」

桃子「それで、みんなどう? なにかやりたいとかある? 怖いならそのまま映ってもいいってお兄ちゃんは言ってるけど」


晴「オレはまぁ……まだ平気だぜ。そりゃ、ちょっとウンザリしてるし、体が頼りなくフワフワしっぱなしなのが気持ちワリーけど、まだ耐えられる」

こずえ「…………ぐー」

みりあ「あー、こずえちゃんとうとう寝ちゃった! お話がタイクツだったのかな?」

志狼「すげーな、ヨユウじゃん、こずえ」

ありす「で、でも余裕な方ばかりじゃないでしょう。この際、怖いなら怖いって言っても…………えっと、そう生理的な反応というものなんですから」


直央「…………」

千枝「…………」


直央「みんな、聞いてくれますか?」

桃子「直央くん?」

直央「ボク……」



直央「このジエンドライドに悪いイメージを持ってもらいたくないです。守れるなら、守りたい」
171:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:14:57.78 ID:6mH8XlQK0


晴「お……?」

みりあ「なおくん、守りたいってー?」

直央「はい、あの……ここで、被害者みたいに映って……こわい、あぶないって思われて、ジエンドライドがなくなっちゃうっていうのはボク、いやなんです」

志狼「なお! オマエ昨日からコワいコワいって言ってたのにダイジョーブなのか?」

直央「しろうくん……うん。こわいよ。でもね、ドリルランドの時よりは、今不思議にこわくないんだ。もうちょっとがんばれそう」


桃子「ふぅん。ジエンドライド、直央くんが守りたいって思えるほどのなにか、今までであったっけ?」

直央「まだ、ないよ。ボクたちこのアトラクションのコト、まだぜんぜん知らないから……」

かのん「クライマックスはここからだもんね?」

直央「うん。だから、まだ……なくなってほしいとは思ってないんだ」


直央「わ、わがままなんだけどね? まだ何にも魅力がわかってないのに悪いイメージが付いちゃうのは……いやなんだ。」

みりあ「えーっと、フェア? なんだね! なおくん!」

直央「は、はい」

桃子「それだけ? そこまでコワくないし、面白さを知っていないまま、ジエンドライドをつぶす様なコトをしたくないってだけなの?」

直央「……え、うん。そうです」


桃子「うそ」
172:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:16:33.66 ID:6mH8XlQK0

直央「へっ?」


桃子「桃子ちゃんと直央くんのコト見てたんだから。後ろの席でもね」

直央「……ええっ!?」

千枝「……!」

桃子「ガタガタふるえて、キッと気合いを入れて……表情ぐにゃぐにゃ動くからわかるよ。ちょっとムリして提案してるでしょ。……他の理由あるね」

志狼「えっ! なお、なんか隠してんの!? なんだよショージキに言えよ、ショージキに!」

直央「……あぅ」

志狼「仲間だろ! なんか理由あんなら言えよ! やりてーことがあるんなら付き合ってやるって!」

かのん「かのんも知りたいな。なおくんがこのジェットコースター守りたい理由! 教えてくれたら、チカラ合わせられるって思う!」


直央「しろうくん、かのんくん…………」

桃子「桃子を忘れてるよ」

直央「あ、ごめん……! 桃子ちゃんも。皆ありがとう」


みりあ「はい、岡村直央さん! 守りたい本当の理由とはなんですかー?」

直央「えっと……言わなきゃ、だよね。ホントに、個人的なコトなんですけど……」

173:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:17:34.25 ID:6mH8XlQK0
直央「――お母さんが、言ってたんだ」


直央「このお仕事が決まった時、聞いたんだ。お母さん病院で働いているんだけどね、その病院でずっと入院してる子がいるんだって」

直央「その入院してる子は、遊園地大好きな子で……退院したらぜったいにこのテーマパークに行きたいって言ってるんだ。ボクのお仕事もうらやましいって」

直央「特にこの……ジエンドライドに乗りたいって話してて。乗れたら長く病院で過ごした分、楽しみたいって言ってて……だから、その……」

直央「ボクはコワいって思ってたんだけど、それ聞いて……じゃあ、がんばらなきゃってなって……」


千枝(直央くん、顔真っ赤だ……恥ずかしがってる)

かのん「それでそれで!?」


直央「……うん。お仕事やる気にさせてくれたのは、その子のおかげだから。それでちょっと成長できたと思うからから……」

直央「だから、ボク、その子にはこのパークが楽しいところだって思っててほしいんだ。ジエンドライドもとっても面白いものだと信じててほしい」


直央「守りたいって言ったのはそれが理由です……ご、ごめんなさい」


志狼「ニューインしてるヤツのため?」

直央「うん……」



志狼「なんだよー! それなら先に言えよ~~! 協力してやったのに!」

直央「わっ……! しろうくん」
174:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:19:08.54 ID:6mH8XlQK0

かのん「なおくんこわがってたのに、このお仕事やる気になったの、そういうワケがあったからなんだね~!」

直央「ふたりとも……」

志狼「乗ったぜ。なお! たのしそーに映ってやろうぜ!」

晴「へへっ、オレも乗った。入院してっと体動かせねーからつまんねーよな! せめて楽しそうな想像はさせてやんねーと! それがファンタジスタの仕事だ!」


みりあ「みりあも乗ーる! 私にも同じような理由あるもん!」

晴「お、みりあどうした」

みりあ「私もねー、このお仕事受けた時思ったの。いつか大きくなった妹といっしょに、この遊園地に来て遊べたらいいなって!」

みりあ「それでね……えへへっ! その時、『お姉ちゃんはここでこーんなステキなお仕事したんだよ!』って教えられたらカッコいいって……そう思ってたの!」

仁奈「おおー! それはカッコいいですねー!」

千枝「……みりあちゃん、やっぱりスゴいです。千枝なんか、自分のことで精いっぱいでしたから……」

みりあ「え、そんなことないよー。私千枝ちゃんがまわりにイッパイ気をつかってくれてるの知ってるよ!」

千枝「そ、そうかな……? 千枝も他の人のために、動ける、かな」
175:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:19:47.71 ID:6mH8XlQK0


志狼「お、千枝も乗るんだな!」

環「たまきもー! というか、たまき、そもそもあんまりキズついてないもんね!」

志狼「オレも! そもそもこわがってねーし、むしろ楽しんでるし! シゼンタイでいくけどな!」

ありす「ほ、本当ですか」


ありす(恐くないって、傷ついてないって……)

ありす「……」チラ



  ゴオオオォォ…



ありす(やっぱり、高すぎです……!)



176:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:20:15.33 ID:6mH8XlQK0

ありす(……でも)

ありす(この状況で、人のコトを考えて動くことができる……その視点は、“大人”のもの……)


育「じゃあみんな、方向が決まったね!」

こずえ「よきにはからえー……」

千枝「えっと、ありすちゃんは」

ありす「……」


ありす「私たちは被害者といえますけど……ま、まぁそんなに恐くないし、そこまで被害も受けてませんし……アイドルとしての大きな器をここで見せておくのもいいですね」

志狼「お、ありすもだな! なんだオマエ結構いいヤツじゃん!」

ありす「いまごろ気付いたんですか……!? 今までどう思ってたんです! 私は良識を備えています!」
177:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:22:04.09 ID:6mH8XlQK0

直央「桃子ちゃんは……」

桃子「このお仕事の内容覚えてる?」

千枝「え?」

桃子「ジエンドライドのレポ。桃子達がここにいるのはアトラクションの宣伝のためなんだよ」


桃子「桃子は一度受けた仕事、途中で放り投げたりしないよ。宣伝はバッチリ決めないとね」

直央「桃子ちゃん……!」

環「ももこー! かっこいいぞー!」ガタガタ!

桃子「ちょっと! 環、こんな状態で抱きつこうとしないで!?」






――『了解した! お前らならそう言うと信じてた』

――『…………燃えてきた。お前達の気持ちは受け取った。こっちでも後押しに動く! カメラはあるからな!』


178:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:23:40.27 ID:6mH8XlQK0


モニターからプロデューサー達の熱い声が伝わり。

そうして、このミッションは動きだしました。


――『ジエンドライドを終わりにするな』



空高くにいる私たちと地上のみなさんが、イメージを守ろうと事務所の垣根を越えて動き始めたのです。

――動き始めてしまったのです。






――……



マキノ「こちらが先に状況を伝えるか……番組側は?」


346P 「中継させてくれるって! 向こうも願ったりだろう……!」

ロコ「このアトラクションの存亡をかけたイメージ・ウォー。イメージといえばアイドルのフィールドですね!」

日野茜「ホームに戻ってきましたね!」

765P「ああ、仕事内容に変更なし。さて……誰が出ます?」

179:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:26:00.17 ID:6mH8XlQK0


――……


志狼「んーっと、ここか? こうか?」クイクイ


――ゴハンヤマモリタロウノ レシピヲ オシエマース!!!


環「わぁ!?」

ありす「それは音量調整のツマミです! 貸して下さい。せっかく渡してもらったモニターを壊されたくありません」

志狼「ちぇっ、なんだよー」

みりあ「これでテレビ見れるんだよねー?」

ありす「はい。プロデューサー達、先にこの状況をテレビ中継して、“悲劇化”に歯止めをかけるって言ってくれましたけど……どうなるんでしょう」

直央「下に事務所の人たちが駆けつけてくれてるっていうから、その人たち使うのかな……?」


晴「えーっと。下で中継して、オレたちのメッセージを伝えるんだよな」

育「その後、報道ヘリにも元気まんまんだよってアピール!」


環「この時間は何すればいいの!」

桃子「下のみんなに手を振ってればいいんじゃない。元気な様子は今から見せておくべきだと思う」

180:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:28:35.60 ID:6mH8XlQK0


千枝(みんなすごいね。勇気ある)


千枝(千枝も、みんなを笑顔にするようなアイドルになりたい。……そうだ、このジエンドライドを楽しみにしてる人達を守ろうっていうのは……私のアイドル活動なんだ)

千枝「だから、まずは千枝が笑顔でがんばらないと!」



仁奈「誰がリポートしやがるんですかね~?」

育「今、急いで決めてるみたいだけど」
181:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:29:20.60 ID:6mH8XlQK0


――


――――


――――――





都内・某スタジオ



――ハイ オツカレサマデース!!


美嘉「おつかれさまでしたーっ!! じゃっ、失礼しまーす!!」ピュー!!

スタッフ「は、はいおつかれ……」



スタッフA「今日の美嘉ちゃん、すごかったね……ノーミス、ワンテイクで全部決めちゃった」

スタッフB「一瞬で終わらせる気迫を感じたな。何か理由があるのか」



城ヶ崎美嘉


182:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:30:28.75 ID:6mH8XlQK0

莉嘉「お姉ちゃーんッ!! はやくーっ!」

美嘉「オッケー!!! 今行くよ、みり、莉嘉!!」


城ヶ崎莉嘉



美嘉「本当に大変なことになってるね! みりあちゃんたちは大丈夫なの……!!

莉嘉「わかんな~い! プロデューサーはまだ元気だって言ってたけど……」

美嘉「いい。直接確かめに行く……元気づけてあげなきゃ!!」

莉嘉「うんっ! 行こうお姉ちゃん」

美嘉「晴ちゃんも千枝ちゃんも……仁奈ちゃんも、こずえちゃんも大事な仲間だもん!」

莉嘉「お、お姉ちゃん、今日ちょっと恥ずかしい台詞堂々と言うね」


美嘉「……志狼くんも環ちゃんもシンパイだし!」

莉嘉「へっ?」

美嘉「直央くんも桃子ちゃんもかのんくんも育ちゃんも! 地上100mでオビえてる……ここでいかないと、何のための人生かわかんない――――っ!!」

莉嘉(お姉ちゃん小学生アイドルの名前コンプしてる!)


美嘉「急ぐよ莉嘉! ついといでっ!」

莉嘉「え? あっ、はい」

美嘉「ヘイタクシーっ!!」



――キキーッ!
183:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:31:40.33 ID:6mH8XlQK0


美嘉「乗り込むよっ!」

莉嘉「ラジャ!」


――どてっ


美嘉「…………はっ」

莉嘉「わ! お姉ちゃんダイジョーブ!?」

美嘉「え、なんで私転んだんだろ、なんにも無いのに。――いや! 今は急がないと」


――ばたっ


莉嘉「え? お、お姉ちゃん? また転んで……」

美嘉「あれ?」


――ぺたんっ


莉嘉「え、え、え?」

運転手「お客さん?」


美嘉(……あ、コレは……LiPPSの時感じたアレだ)


美嘉「カラダが、向かうのを拒否してる…………」

莉嘉「えーなにそれー!?」
184:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:32:16.52 ID:6mH8XlQK0


莉嘉「ど、どーしたの? ホントに」


美嘉「わかる。これ以上進んだら――“ツッコミ”で私は斃れる」

莉嘉「は?」



美嘉「これほどのプレッシャーなんて……! 一体あのテーマパークでなにが起こってるワケ……!? わからない……!!」

莉嘉「アタシはお姉ちゃんがわからないよー!?」


185:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:33:55.21 ID:6mH8XlQK0

――

――――

――――――


【地上100m・in ジエンドライド】




――『なるほど。ハイテク化するほど、システム調整での不具合は大きくなると……』


ありす「あ、この番組ですね……」

志狼「まだチューケイ始まってねーじゃん! このままじゃ報道ヘリの方が先にきちゃうじゃん!」


――『中継が入りました! 子ども達と同じ事務所に所属するアイドルの方たちが、現場の状態をお伝えしてくださるそうです!!』


晴「お、今始まったんじゃね?」

仁奈「見せてくだせー! 誰が出てやがります!?」

かのん「下の方もごたごた~ってなってるみたいで、詳しいことゼンゼンわからなかったよね」




――『みずきさんお願いします』



ありす「川島さんでしょうか? 元女子アナですし、うってつけの……」





瑞希『はろはろーいぇーい。この遊園地めちゃくちゃ楽しいぜえー』


桃子「っ!?」



真壁瑞希


186:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:36:26.00 ID:6mH8XlQK0

――……



瑞希「不覚……あまりに心がウキウキしたもので思わず喜びの言葉を口走ってしまいました。ステイ、私の中の童心」

瑞希「さて地上100mの子ども達からのメッセンジャーを任されていますので、気合いを入れねば…………入れました。キリッ」


瑞希「おーばー。それでは自己紹介をば。私、真壁瑞希と申します。……川島ではありません」


瑞希「この遊園地すごく楽しいです。本当です。嘘じゃありません」

瑞希「伝わってますか。この私からあふれるウキウキ感」


瑞希「……」

瑞希「伝わりませんか? それならもっと、張り切っていくぞ。ごー」




野々原茜「プロデューサーちゃん。人選と人生、後悔してない?」

765P「し、してないぜ!」

765P(このパークのイメージを守れっていったけど、どうしてそう魔球みたいなストレートな物言いで……!)

瑛流「喋りがエレぇ特徴的な人だねェ! はっはァ!」


――……



晴「なんかヘンな人きたっ!?」

桃子「ちょっと、瑞希さんはヘンなトコロあるけど、……えーっと……! それだけじゃないからねっ! 優しい人だし、マトモな方なんだから!」

育「そうだよ、ちょっとだけヘンだけどすっごくいい人だよ!」

直央「ヘンっていうのは否定できないんだ……」
187:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:38:22.22 ID:6mH8XlQK0


フレデリカ「よばれてとびでてフレデリカ~! あれ、まだ呼ばれてなかったっけー? まーいいやー、呼ばれたってことで♪ タイムパラドックス的な~」

類「Hey!! なんともpassionに溢れているBoy&Girlたちだね! オレもvery very freshなmoveとspeakでこのトラブルをミラクルに変えてみせるよ! まかせてっ☆」



宮本フレデリカ



舞田類




――……



ありす「ふ、ふ、フレデリカさん!? どうしてよりにもよって……!?」

志狼「あ、るいせんせーだ、相変わらずなに言ってんのかよくわかんねーけど、楽しそーだな!」

桃子「なにコレ……『喋らなければカッコいい人選手権』でもやってるの」

こずえ「こんとんよー…きたれー…」

188:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/06/28(火) 01:40:15.48 ID:6mH8XlQK0


――『アナタの口調、もしやロコナイズの継承者……!? ノン! ロコはまだ退くつもりはナッシングですよ!』

――『おや、伴田さんまでこちらに来てしまいました』

――『Oh! これはso cuteでUniqueな女の子だね! 俺は舞田類。Call me マイケル! よろしくね伴田さん!』

――『なうっ!? コールミー、ロコー!!』

――『なーうっ! なーう! あははー、みりあちゃんヒョーイ系、みたいなー? エクソシスト・フレちゃん!』



千枝「す、すごいですね」

桃子(不安がブーストされてってる……!)



晴「あんなアイドルしかいねーのかよ」

志狼「そっちだってヘンじゃんか!!」

ありす「というか来るんなら、FRAMEとか来てくださいよ!!」


直央(バラエティのお仕事みたいだ……)

育「でも、楽しそーなフンイキだせば、悲劇っぽくなくなってくよ! きっとコレまちがってない……ハズ!」



――……


765P「これでいいはずだ……。初手で場を呑むコトができれば、イメージの醸成に繋げていける」

315P「ちょっとやりすぎな気もしますけど」

346P 「……ちょっとだといいですね」
219:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 20:52:39.86 ID:hByFf2sb0



瑞希『みなさん、ここは楽しいのではしゃぎたい気持ちは分かりますが、任務を忘れてはダメです。ステイ、ステイ』

フレデリカ『ステイ~♪ ん、ステイホーム? 帰れってコト~?』

瑞希『帰れとは言った覚えはありませんが……どうしよう、バッドなコミュニケーションを選んでしまった感じがするぞ』

類『Stay homeは“家で大人しくしときな!”って意味になるからね! でもミスまかべは、大人しくしてくださいって言ったんじゃないかな?』

瑞希『そうです。アメリカンな訳では挑発に聞こえるのですね……反省。宮本さんすいません。フカブカ』

フレデリカ『ん~いいよー? ミヤモトさんも許してくれると思うし! ……あ~! そっか、宮本ってフレちゃんのことだった! 忘れてた! ゴメン~』

瑞希『フレンドの証としてフレフレとお呼びしましょうか?』

フレデリカ『お~、フレンド・フレデリカってことかなー? ふふふーオッケー!』

類『よぅし! これでミスまかべと、ミスフレデリカはfriendだ! 仲良きことはbeautiful!』

220:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 20:54:04.35 ID:hByFf2sb0


瑞希『それでは。改めて、宮本さんステイです』

フレデリカ『そんじゃー、おとなしくしよーっと、両手を頭の後ろにつけて!! ……おおー! なんかこの姿勢モクヒケンがある感じがする~♪ 大発見!』

瑞希『それでは先生、おねがいします。やっちまってください。――へっへっへ』

類『Oh! Costume dramaのセリフだね! 苦手な日本語の勉強によく見てるよ!』


ロコ『フレキシブル? なランゲージ・センスですねみなさん』




環「あははは!! なんかおもしろいぞー!! みんなジブンのリズム持ってるっていうのかな!」

桃子「もうどこからツッコめばいいのかわかんない……」

こずえ「もんだいー……ここまででツッコミどころはいくつー……?」
221:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 20:56:47.22 ID:hByFf2sb0


――……



346P 「……」カキカキ

【マキノ、子ども達に準備をさせてくれ】


マキノ「……」シャカシャカ! ―カタカタ

【了解】



765P「どうして筆談を?」

315P「マキノさん、集中力が削がれるから雑音をシャットアウトするってヘッドホンをつけましたからね」

瑛流「いや、ありゃァツッコミから逃げたんじゃないのかい? カシコいお嬢さんだね」




マキノ「聞こえてるわよ……度し難い」スッ

マキノ「あなたたち、準備はいい? こちらの合図で切り替えるから。ドローンのカメラの位置はそこで固定しておいて」


――『は、はい!』

――『いつでもいいよ。映像の切り替え、ミスっちゃダメだよ』


マキノ「ちゃんとやるわ、周防さん……そっちこそあのエキセントリックな人たちの“パス”をちゃんと処理するのよ」

222:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 20:57:42.90 ID:hByFf2sb0

――……


直央「すーはー……」

みりあ「みんなジュンビ、ジュンビ~!」


桃子「パスね、どういうフリが来るんだろ。もぅ、ちょっと緊張してきちゃったじゃない」

ありす「……予測できませんからね」


千枝「子役の経験があっても、やっぱり緊張するんですね」

桃子「当たり前だよ。コワいのがなくなるわけじゃないんだから」

千枝「……そうですよね。でも、桃子ちゃん達も緊張するってわかったら、私たちは逆になんだか少しホッとしちゃいます」

桃子「そう。ま、役に立てて良かったよ」

育「でも、バッチリ決めるから! お母さん達にも元気ですって伝えないとだもん!」

仁奈「………………………………………………そーです! 仁奈たちはバリバリの、ムキムキだって伝えるんだー!」

ありす「がんばりましょう。画面見てタイミング測ります」

223:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 20:59:45.15 ID:hByFf2sb0

瑞希『――ということで、心配しなくてもいいと伝えてほしいそうです』

フレデリカ『ありすちゃんとかブルブルでブルーになってそうって思ってたけどイガイ! カナデちゃんから聞いた話じゃジェットコースター、ニガテって感じだったのに!』



ありす「って! フレデリカさん……!! ブルーになんか、なってませんからっ!」

環「顔色はどっちかっていうとレッドだもんね!」

志狼「なんだよ、ありす! やっぱジェットコースター怖いんじゃん! あははははっ!!」

ありす「私は平気です! い、今までだって全然怖がってなかったでしょう!?」




類『やっぱりまだ子どもだもんね。こんなトラブルに遭ったら怖がるのもムリはないよ。もふもふえんもプロ意識をもったboysだけど……ロケの前にお守りをねだってたもんね!』


志狼「いっ!?」

ありす「あっ! みなさん、静かに!」

晴「おっ、大事なとこだな。もふもふえんがビビってたかどうか。志狼~、オマエお守りねだったのか?」

志狼「バッ……!」



瑞希『ほほう、お守りですか』

類『折り紙だけどね! wolf、sheep、rabbitの形に折られたヤツを大事に持ってったよ!』

224:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:01:57.09 ID:hByFf2sb0

桃子「ウルフってオオカミだよね」

環「ももこ、よんだ?」

桃子「環の名字を言ったワケじゃないよ。オオカミってことは……折り紙のお守り、志狼くんもねだったってことだね」

志狼「ち、ちげーかんな! アレだぞ! なおがこわがって! かのんもカワイイからってほしがったから、じゃあしょーがねーな、オレもモラってやるかってなっただけだかんな!!」



フレデリカ『ほほー折り紙のお守りをソービしてきたんだー』

類『一人、“オオカミのお守りモットくれー!”ってその後もねだってて、ふふっ、It was a heartwarming scene!! とてもほほえましかったよ。名誉のためにねだったboyのnameは伏せるけど!」


環「あ、でも、もっとねだったって!」

かのん「あはは、オオカミだったらしろうくんだ~!」

みりあ「ゼンゼン隠せてな~いっ!」

志狼「るいせんせい~~!!! こらー!!」

ありす「なんだ、あなただってお守りたくさんねだるくらい怖がってたんじゃないですか……あはっ」
225:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:03:21.57 ID:hByFf2sb0

志狼「ほら! もー! ありすみてーに勘違いするヤツでてくるじゃんか~!!」


志狼「ちげーかんな、チガう! からな!!」

ありす「慌てるところを見るとより疑いが深まります。怖いからお守りで防御バフですか、いや全然いいんじゃないですか? ……ぷぷ」

志狼「あのなー!! だからー!!」



瑞希『なるほど。一体ねだった人は誰なのか。そして……その子がこのトラブルを怖がっていないかどうか。気になるところです』

瑞希『ではここで、カメラを上空の本人達に送ってそれを調べてみるぞ。カメラさんゴー』



晴「ぶっ!?」

みりあ「えー! ここでこっちにパスー!?」

桃子(なにこのタイミング)




志狼「ちげーんだって! 折り紙オオカミのフォルムがカッコよかったからもっと欲しくなっただけ! な! なお! オレ怖がってなかったよな!」

直央「えっ? ……うん。しろうくんは、ずっとはしゃいでたよね」

志狼「ほらな! みんな勘違いすんなよ!! ほらこれ! このオオカミの折り紙かっけーだろ!? こっちが吠えてるポーズ! こっちが飛びかかってるポーズ!!」

志狼「みんなももっと欲しくなるだろ!!」

環「おー! ホントだカッコいい!」
226:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:04:17.62 ID:hByFf2sb0

――……



志狼『だろだろ! よし! たまきには1コやる!』

環『えっ! いいの!? やったー!!』

志狼『わかったろ! オレがお守りほしがったのは、こえーからじゃなくて! あれだ、タンジュンにフォルムがかっけーっておもったから!!』

桃子『はいはい。わかったよ、もう』



志狼『お守りありすにゃやんねーぞ! すぐ、間違ったコト信じるからなー!』

ありす『なっ! あなたが怖がってないというのが全て真実だと立証されたわけではないでしょう! 論戦を展開するというなら受けてたちますよ!』

志狼『怖がってねーったら怖がってねーの! ……あ~わかったぜ! ありすやっぱりジブンがこえーから、オレの方が怖がりだってことにしてーんだろ!』

ありす『私だってこわくありませんよっ! こんなのは、そう、子どもが喜ぶ遊びの乗り物なんですから!』

志狼『あっそー! じゃーオマエも絶叫ガマンゲームに参加な!! ヒメイあげたヤツがクレープオゴリだ!!』

ありす『えっ』

晴『お、橘二人そろって参加か!?』

環『ありすもやるのか! ライバルが増えたけど――くふふふっ!! たまき嬉しいぞ! 負けないからね!』

ありす『え………………いえ! か、賭けごとはダメだと思います。ほ、ほら! カメラ回ってます! 私たちはアイドルとしてクリーンにいかないと!』

志狼『あ、マジだ、回ってんだった。いえーっ! オレは元気でーす! ありすはしらねーけど!』

ありす『この……っ! 私だって元気です!! みなさん、心配ありませんから!』

環『たまきだって! めちゃめちゃゲンキ!! やっほー!!! テレビの前のみんなもゲンキー!?』
227:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:06:23.58 ID:hByFf2sb0


…ワーワー!!


マキノ「っ~…………! すごい入り方してきたわね。これはなに、流石というべきなの」

野々原茜「予想をはるかに超えるハツラツっぷりだー! 茜ちゃんちょいとばかし意表を突かれちゃった!」

日野茜「全国のみなさんに元気な姿をお届けしてますねー!! いいです、これぞアイドルです!」



類「Wow! childrenはこのシチュエーションですら楽しんでいるみたいだね! wonderful!」

フレデリカ「ん~、でもちょっと興奮ギミ? 志希ちゃん風に言うならアドレナリンどばどばー? どしてだろ?」

瑞希「確かに。元気ですが落ち着きがありませんね」

フレデリカ「あ、もしかして、フレちゃん達の話を聞いてたからかなー?」


マキノ「そうでしょ……」





――『みなさん、心配おかけしてます。ご迷惑もおかけしてます。』

――『ですけど、この通りボクたちは元気です!』




315P「あ、直央くん」
228:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:09:02.79 ID:hByFf2sb0

――……




直央「スタッフのみなさんがたくさんフォローしてくださって……水分補給もできています。おかげで体調について不安はありません」

直央「とてもあぶない状況になっているように見えますけど、ボク達はむしろこのスリルを楽しんでいるくらいです。って言ったらさすがに言いすぎかな? えへへ」


直央「それと! コレ言わなくちゃ! ジエンドライドのこのてっぺんは、このテーマパーク全体を見渡すことができるんです」

直央「集まってくれて、ボク達を元気づけようと手を振ったり、声を上げてくれてる下の人たちの姿もしっかり見えています」

直央「とっても心強いです。ありがとうございます!」


直央「あ、でも! ジエンドライドがこわくないってわけじゃないですよ!? ちゃんとこわいですからね! スリルもちゃんと味わえますからっ!」

直央「うぅ~言ってることがバラバラかもです……」

みりあ「あははっ! 直央くんダイジョーブ! 言いたいこと伝わってるよ!」

直央「そ、そうかな?」




志狼(なお!)

桃子(……空気を和ませた。ちょっと拙い感じのところさえうまく使って。流石にやるね、ジョサイないっていうのかな)

桃子(そうだよね。カメラを向けられれば、直央くんばしっとやってたもんね……)

志狼(まけねえぞ!)
229:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:10:35.83 ID:hByFf2sb0



――【こちらと応答してもらえますか。モニターでこの放送は見えていますね? カメラ部分を少しだけ上向きにして――準備をお願いします】



ありす「あ、指示が。応答……? とりあえず言う通りに」クイ

桃子「下の人と応答か。インタビューみたいなやつかな」






フレデリカ『みんな元気かーい? あ、コースター・タチバナちゃんみっけ! フレちゃんだよ~!! 会いたかったよぅ~!!!』パッ


ありす「わっ、フレデリカさん。あの、えっと……来てくれたんですね。ありがとう、ございます……一応お礼は」


フレデリカ『えっとえっとねー! 話すことができたらフレちゃん、歌を贈ろうと思っていたのだよ~! 生存本能高まってもらいたいなーって思って~』


ありす「は?」


フレデリカ『伝えたい思いがあるのだよ! じゃ、早速~! ――いきのこれーむねがーはりさけそうなよるもこえてー! いつかのちかいをだいてー! ♪ 』


千枝「え、生存本能ヴァルキュリア?」

230:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:12:17.12 ID:hByFf2sb0

ありす「え、え、なんですか、生きろっていうメッセージですか……?」

育「応援の歌?」

志狼「か、カッコいいなこの曲! くそ! ありすずりーな!」



フレデリカ『 きみがーフンフフーン!! フンフフフー! フンフフンフレデリカー!! ♪ 』


晴「って、うろおぼえかよ!」

環「つたえたい思いがあるんじゃなかったのー!?」


フレデリカ『ごめん、ちょっと歌詞飛んじゃった! レッスン不足~! これ以上はレッスンルームのレベルを上げてください! でも、新曲ってことで! 生存本能フレデリカでしたー! ぱちぱちー!』


ありす「全開本能フレデリカの方がふさわしいと思います」

みりあ「あははは!」


フレデリカ『ん、かたそーな顔ちょっとやわらか~くなったねー! ミッションクリア~リザルト画面へゴー! がんばりすぎないようがんばって~!』


晴「それで終わりかよ! なにしに出てきたんだよ!」

千枝(フレデリカさん、私たちの緊張をほぐすために……?)
231:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:13:45.09 ID:hByFf2sb0



瑞希『――周防さん。ちゅっちゅるっちゅ~ぱやぱ~』パッ


桃子「え゛、瑞希さんなに、なんでいきなりCut.Cut.Cut?」


瑞希『好評発売中です。よろしくお願いします……あ、違う、宣伝じゃなかった』


桃子「……なに」

環「みずき! げんきー!?」


瑞希『元気です…………いえ、ウソです、少しだけこの役目に緊張しています。責任重大。気張れ、瑞希』


桃子「さっきあれだけフリーダムに話してたじゃない……ムリしてたの」

仁奈「緊張してやがりますか? そーは見えねーですけど」

育「顔にでないんだよー。よく見てるとわかるけどね!」


瑞希『………………あの、周防さん。よろしければこういう時の対処法などご教授いただければ』


桃子「桃子たちの状況分かってる!? ……はぁ、もういいよ、いつも通りだね」

かのん「いつもこんな感じなんだー」

育「765プロはね、みんながみんなを助けあってるの!」
232:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:18:07.28 ID:hByFf2sb0


直央「あのあのっ、落ち着いて深呼吸をしたらいいと思います」

桃子「そうだね、落ち着いてやれば大丈夫なんだから、しっかり集中して」


瑞希『すーはー……』


かのん「後はくすぐってもいいから思いっきり笑うと緊張がとれるよ~!!」

みりあ「あ、それやったことある!」


瑞希『ありがとう年下の先輩方。くすぐりですか……では、失礼します野々原さん』

野々原茜『え、あれー茜ちゃんがナゼ』

瑞希『思いっきり笑うといいと』コチョコチョコチョコチョコチョコチョ!!

野々原茜『きょっはぁー!!!!????』



みりあ「ええっ! ちがうよー! 自分が笑わなきゃー!」

環「あーっあかね! しろうにくすぐられたたまきとおんなじに!」



瑞希『本当だ、なんか緊張が取れてきた……すごいぞ』

野々原茜『私の笑顔で全人類を救えというのかー!!! いや、できるけどねっ!? できるけどー!!! きゃははー!!!!!!!』



千枝「仲いいね……765プロさんって」

育「でしょー! えへん!」

直央(よ、よくわからないや……!)
233:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:19:18.23 ID:hByFf2sb0

野々原茜『ぜはー…………茜ちゃんは、神にささげられた救世主である…………』

瑞希『ふう、緊張が取れました』


ありす「あれでとれたんですか」

志狼「ま、よかったじゃんか、ねーちゃん!」

環「みずきがんばったね!」

桃子「……がんばったのは茜さんだと思う」


瑞希『みなさんありがとう』


かのん「どーいたしましてっ!」

千枝「あはは……」



瑞希『では、舞田先生にバトンタッチ。最後のコミュニケをお願いしましょう』


直央「えっ、ここでひっこむんですか!? 緊張ほぐした意味は!?」

桃子「……直央くんそういうツッコミ、キリないよ。桃子はもうわかったもん」
234:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:20:08.31 ID:hByFf2sb0

類『――Hello everyone!!』


かのん「Hello!! るいせんせい!」


類『How are you?』


かのん「It's Great~! How's it going~?♪」


類『Oh!! I'm very well !!』



環「え、なに英語!?」

ありす「ですね……英語の授業が始まる時みたいです」


志狼「かのん英語できんのか! やるじゃん!」

かのん「英会話やってるも~ん!」

仁奈「すげー……! これならるいせんせーと話せますですよ!」

育「お話通じなかったら困っちゃうところだった」

直央「あの、るいせんせいは、日本人だから……」



類『boys&girls!! こんな状況で、君たちはとても強いね。すごいよ、まず褒めたい!』
235:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:21:17.30 ID:hByFf2sb0


志狼「あ、るいせんせい! なんかゴカイあったみたいだけど、オレこわいからお守りもらったわけじゃねーんだからな! そこんとこ間違えないでくれよ!」

ありす「まだ言いますか、意地っ張りなんですから……」


類『そうなのかい? イエッサー! 了解したよ! ただ、お守りはお守り、しっかり持っていてくれだってさ!』


志狼「ふぅん? わかったけど」


類『さて、それじゃInterviewを始めよう! みんな、伝えたいことはあるかな?』


みりあ「あ、はいはーい!」


類『はい! ミスみりあ!』


みりあ「パパとママと……赤ちゃんの妹に! ――みりあは元気だよ! 仲間のみんながいっしょにいてくれてるし、大丈夫! ゼッタイに無事に帰るから心配しないでね!!」


類『ミスみりあ! excellent !! きっとその想い伝わっているよ! さあ、他の皆は!?』


志狼「とーちゃん、かーちゃん、にーちゃん……んーなんか伝えんのハズいな!」

桃子「……………………別に親に限定することないと思うけど」

236:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:26:41.51 ID:hByFf2sb0


千枝「大丈夫ですっていうのは直央くんが代表して言ってくれましたし……」

晴「あと冒頭の口ゲンカで、元気だってまー伝わってるだろな」

ありす「そうですね……ヘンな形でしたが」

みりあ「あーみんな恥ずかしがってる! でも大事なことだよ? みんなパパママありがとうって言おう?」

育「はずかしいことじゃないよね。んー、でも子どもって見られるかなぁ」




類『んー! shyなのかな! じゃっ、元気だって十分伝えられたと思うなら、俺たちのLiveでも見るかい?』


直央「へっ? ライブ?」


類『Yes! 視聴者の人から提案が来たんだ! 心をhappyにするeventをしたらどうかって! Nice ideaだね!」


桃子「え、ライブやるの? そこで?」


類『もっともっと元気をプレゼントしたいんだ! タイクツだよね? 空の上は!』


環「確かにタイクツ! 立てないし! 走れないし! 跳べないし! ダンゴムシもいないし!」

ありす「環さん……。でも、ちょっと待ってください、いきなりそんな」

桃子(インタビューの答えをためらっちゃったから、テレビ的に間ができた……それを埋めるためのライブ? いや、そんなこと考えてないか)
237:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:28:48.19 ID:hByFf2sb0


類『――紹介しよう! こちらミスターはざま役は任せろと言ってくれたミスまかべ!』

瑞希『舞田くん、よろしく頼む……キリッ。トレースできてますか』

類『OKOK!! それでこちらは俺、舞田類役ミスフレデリカ!』

フレデリカ『ハローエブリワン! マイネームイズ宮本フレ舞田! シルブプレ~?』

類『nice!! 俺っぽいよ!! それで俺が舞田類をやる舞田類だ! ヨロシク!』



志狼「じろうせんせい役ぬけちゃってるじゃん!」

直央「どうして舞田先生が2人体制なんですか!?」 

桃子「というかよりによってS.E.Mを選択するの!?」

千枝「ソロじゃダメなのかな……?」

ありす「そもそも色々事務所とレーベル的に問題がありそうですけど本当にGOサイン出てるんですか!?」




―― HEY!

瑞希『一体どんなこと!』


―― SAY!

瑞希・フレデリカ・類「…………」



――さあ!

フレデリカ・類『はじめようぜ!』



――――『レッスンを!!!』



晴「始めた!! レッスン始めちゃったよオイ!?」

直央「じろう先生のところ無言なんだ……」
238:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:31:34.96 ID:hByFf2sb0
――

――――

――――――




ワーワー!!

『――!! ――!!』


美嘉「ありすちゃん……。ちっちゃい子達がツッコミをがんばってる……」


美嘉「ゴメン……5秒に1回ツッコミどころが発生する設定の練りこみが甘いダメ漫画みたいな空間から助けられないアタシを許して」

莉嘉「え、地上100mだから危ないんじゃないの?」

美嘉「莉嘉もマイペースと天然には気をつけな……」

莉嘉「お姉ちゃん、なにがあったの」




…………
地上



765P 「そこらへんでストップストップ! それ以上は流石にやりすぎだー!」


ロコ「進化したネットワークとトゥーウェイなコミュニケーションツールは地上100mからのツッコミを可能にしたのですね」

マキノ「ええ。あの様を見てると人類が進歩しているというテーゼに疑問を投げたくなるわ」

ロコ「しかし、ティーチャー・ルイのトレースはロコでもできそうですね……ロコもユニットメンバーになれたでしょうか」

マキノ「血迷わないで」

瑛流「エゲレス語教師3人体制はチィっとやりすぎじゃァないかい?」
239:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:33:28.69 ID:hByFf2sb0


日野茜「そうですね! 次郎先生役が要りますよね! やっぱり!!」

マキノ「問題はそこじゃないから……っ」


346P 「化学教師か。化学――志希連れてきてたら、もっとフリーダムになってたな、危ない危ない……」

315P「こっちもキリオさんが『猫の手をお貸しするでにゃんすよ?』と言ってくれましたが、保留していて良かったです……」

765P「空気を変えるなら765プロにも切り札はいますよ。確固たる信念で自分の世界を持ち続けるまつりや、ほとばしる天然宮尾美也がね……」



346P 「…………あー、でも呼べるなら、のあさんや芳乃を呼んでも空気は変えられたかもですね」

315P「…………そうですね、インパクトを与えてムードを持っていくなら、アスランさんや咲ちゃんがいたら良かったかもです」

765P「…………でも、君臨する自由人北上麗花が来てたら収拾ついてなかったな、きっと。危なかったー」



315P・765P・346P「…………ははは」




マキノ「なに対抗心を燃やし合ってるの。プロデューサーのサガかもしれないけど、こんなところでマウント取り合っても仕方ないわよ」

346P「あ、いや」

240:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 21:52:40.33 ID:hByFf2sb0

野々原茜「おぉ~? プロデューサーちゃん! うちの子自慢合戦かな~! 茜ちゃんのいいところ、65535個までならプレゼンしてもよいぞ~?」

765P「……いやいい」

野々原茜「のぉう!」


765P「なんか負けたくないって気分になってしまった。いかんな。……悲劇化を食い止める狙いはとりあえずうまくいったけれど、ここで気を抜くわけにはいかない」

315P「ですね。しかし悲劇的な空気を変えてほしいとは言ったけど、ここまでとは……」


マキノ「笑いの記号“w”がつけられたつぶやきが爆発的に増えてきている。間違いなくここのせいね」


346P 「元気な姿を見せられて、安心感は与えられたってことだな!」

マキノ「不謹慎の誹りを受けかねない、と危惧はしていたけれど、あまりに自由すぎてそんなの吹き飛ばされた様ね。カオス過ぎて」

765P「しかし、こっちは危機感を持って構えていないと。まだなにも解決していないから。……まだ動かないのか」


315P(子ども達をあんなところでずっと座りっぱなしに縛るリスク。ストレス過多、エコノミークラス症候群、熱中症……なにより――)


241:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 22:12:20.71 ID:hByFf2sb0

――――『このパレードすごい……! 見てみたいなぁ』

――――『おー! めっちゃ光ってる!! なっ! なっ! プロデューサー仕事終わったら見にいっていいだろー!? ヨユウで間に合うし!』

――――『パークで遊んで過ごしてー、いっぱい遊んだ後にこのステキなきらきら見にいけたら……えへへ! すっごく幸せな一日になるね!!』



315P「パレードに間に合わなくなる……見せてあげたいのに」




忍「………」

忍「――」フッ!!




マキノ「っ!?」

マキノ「影が……」

ロコ「どうしましたか、マキノ?」

マキノ「いえ、今……あれ? 一瞬現れて消え失せた……?」
242:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 22:21:21.54 ID:hByFf2sb0

――

――――


【地上100m・in ジエンドライド】


みりあ「あははははは……はーはー……!」

かのん「みんな、とってもおもしろかったね~!」


ありす「そうですか……? 振りまわされた感じがします」

桃子「あそこから、歌は止められてひっこんでって……」

晴「それで休むヒマなく報道ヘリが来たもんだから、元気に手振って……」

こずえ「ちょっとおつかれー……」

環「こずえはずっとねてたぞー! もー! たまきがこずえの分まで手を振ったんだからね! こう! ばばばばーって!」シュバババババ!

桃子「あれ千手観音の舞かと思った。こずえさんの分まで振ってたんだ」

晴「環、体力あるなー。タッパもあるし、うらやましいぜ。サッカーでも役割持てるな」

243:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 22:27:18.57 ID:hByFf2sb0


ありす「サッカーはともかく、元気さはちゃんと見せられましたね」

千枝「うん! アイドルの振る舞い、ちゃんとやれましたっ」

志狼「元気なすがた、見せつけてやったぜー!」

育「みんな安心してくれたよね!」

直央「うん、きっと」

みりあ「ふー……っ」





「……………………」





仁奈「でもまだ動きやがらねーんですよね」

ありす「……日差し、傾いてきてるのにまだ熱いですね」
244:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 22:48:32.08 ID:hByFf2sb0


ありす「………………」


ありす「いくらなんでも長すぎですよね、止まってるの。絶対安全だと聞いていたのに……」

千枝「ありすちゃん?」


ありす「いや、安全に気をつけすぎたからこそ起こった事態だとは知ってますけど……緊急の脱出装置ぐらい用意してほしかったというか……」

晴「おい、ツッコミでつかれたのか? 文句なんかイマサラだろ?」

ありす「いえ、文句じゃないんですけど……はぁ……」

桃子(一番前だと“崖っぷち”を特に感じちゃうよね。オオカミ2人はまぁ、大丈夫でも……普通はゲンナリしちゃう)

直央(ありすさん、よく後ろを振り向いて喋ってたのは目を逸らすためだったのかな。ボクも一番前だったらきっと、もっとこわくなってた)



志狼「よっと、んっ」ゴソゴソ

晴「っと志狼なにしてんだ?」

志狼「くそ、安全バーのせいでひっかかる! おらぁ!!」スポッ!!

環「上着ぬいだ! なに! なんかするの!?」

志狼「あ、あ~! ベツに! ――ほら、ありすかぶっとけよ!」

ありす「え?」

志狼「日差しあついんだろ。日よけにしろよ!」

ありす「志狼くん……」

志狼「…………モンク言うなよ、こっちまでヤなキブンになっちゃうじゃん」
245:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/07/23(土) 23:43:52.40 ID:hByFf2sb0

ありす「……あの――――」

志狼「……」


ありす「…………」

志狼「…………」

ありす(――からかってる顔じゃない)



ありす「じゃあ……借りておきます。少しだけ」

志狼「おう。風つえーから飛ばされんなよ!」

晴「…………へえ」



かのん「しろうくんやさし~い! えらいね! プロデューサーさんに伝えとくねっ!」

志狼「おい、かのん! オレはずっとえらいの! まー、新時代を背負う男っぷりはプロデューサーに言ってもいいけど!」




千枝「ふふ……」

育「桃子ちゃんは大丈夫?」

桃子「大丈夫だよ、外でもっと長い収録もしたことあるし。――とはいっても、そろそろ本当に降りたいけどね!」


桃子「お兄ちゃん、何やってるの。早く何とかしてよ。ほんとにもう!」
261:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:31:20.26 ID:BEQwBlO10

忍「…………」

忍「――」フッ!!




――――

――――――

スタッフルーム


「やるんですか!? やらないんですか!?」

「上に打診している! こんな騒ぎになっているんだ。こちらだけで判断するわけにもいかない」

「こんな状況で、こんな前例もないアクシデントですから躊躇するのはわかりますが……慎重になり過ぎでは」

「わかっている。しかしリスクはできるかぎり無くしていかなければ。ここで急いて新たな問題を起こしては、あのアイドルの方たちの熱意を無為にすることになる」

「しかし、上も安全に万全を期して、無事に降ろせという方針しか伝えてこないじゃないですか」

「向こうは向こうで善後策の協議で忙しい……責められん」

「……でも、パレードが始まる前に解決しろという注文はつけてくるんですよね」

「…………最善を尽くそう」







忍(……船頭多し)

忍「――」フッ!!
262:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:32:18.46 ID:BEQwBlO10

――

――――


類「うん、ミスターはざま! もふもふえんのboysはとってもがんばってたよ! 俺も少しは力になれてた? ――OKOK!! こっちは任せて!」

類「おっと、北斗からもmessageがきてる。Jupiterも心配してくれてるんだ」


野々原茜「そーだね麗花ちゃん、ぷっぷかプリンの力いまこそ求められている時かもだね! でもここはあえて少し待ってほしい!」

野々原茜「その場しのぎと時間稼ぎのプロですけどもー、まつりちゃんにマシュマロ地獄……もといマシュマロ天国を味わってもらう時間を稼いだ実績がありますけどもー! これ以上ボケを増やすと宇宙の法則が乱れるとの危惧が!!」




マキノ「……早くこの事件を収束させないと。子ども達もだけどこちらのツッコミの負担が増えすぎている。」


マキノ(しかし、なぜこうも進展がないの)

マキノ「宣伝してまで魅力を伝えたかったアトラクション。レスキューは非常に呼びがたい……そもそも物理的にはしご車も届かない位置。ヘリからの救助の方がまだ現実的か」

マキノ「だが、それをしていない。ということは、こちらだけで解決できるから? その道筋が見えている……? 今は、見えていながら躊躇している状況なのかしら」


忍「――然り」


マキノ「っ!?」

忍「賢察である。八神殿」

マキノ「あなた、いずこから。いえ、そもそもここは関係者のスペースなのにどうやって……」

忍「我は、メイクアップアーティストである。そも、ここに赴いたのは稼業が為」
263:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:33:49.57 ID:BEQwBlO10

瑛流「おっ! よォやく戻ってきたね!! なんだいなんだい、一人だけ仕事しちゃってさァ! 僕だって金を稼がなきゃならない境遇だってのに!」

忍「失礼をした。助力については感謝している」

瑛流「はっは! まぁいいってことさ! ベツに立腹してカミナリ落としてるわけワケじゃなし。こっちもこっちでエレぇ体験させてもらってるよ! っと、バッテリーの形状変えなきゃいけないんで失礼!」


マキノ「関係者ではあったのね。風間さん」

忍「如何にも」

マキノ「それで光栄なことに賢察とのお言葉を頂戴したけれど。その言葉の意味するところは……私のひとりごちていた仮説の、その真理値が1だったと、そういう了解でいいのかしら?」

忍「如何にも」

マキノ「そう……ありがとう。反復させてごめんなさいね」


マキノ「やはり迷っているか。この危難の乗り越え方に」

忍「みな、遅疑逡巡のあり様。大綱は万全を期すこと。しかし、万全たると言い切る判断ができる者。その分水嶺を識る者がおらぬ」

忍「否、判断できたとしても、最後の責を負う覚悟をできる者がいないのだろう。しかし拙速もまた必要な状況である……判断の為に、プロデューサー殿との話し合いがまた行われるであろうな」

マキノ「…………」


マキノ「危惧に配慮……危難を排したいと思うがあまり行動に転じることができていない。即ち、ルビコンの川を渡る決断をしていないと」

忍「然り。病膏肓である」
264:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:34:50.13 ID:BEQwBlO10



マキノ「確かに今回のトラブルは変数が多すぎるものね。地上100m、初めてのケースでしかもアイドルの子ども達が搭乗中。仕事先の相手としてパーク側との折衝もある」

マキノ「余計なセクションが多いということは即ち、意志決定のその速度が鈍ることと同義。長引くのも当然か」


忍「左様である。賢しいな八神殿」

マキノ「しかし、その込み入った事情を勘案したところで……くだらないとしか評せないけれど」

忍「その意は」

マキノ「あの子たちが元気を見せた。おかげで今のところイメージの急落は避けられている。しかしそれは懊悩して浪費する時を稼ぐためではない。悩むぐらいだったらそれこそ救助ヘリを呼ぶための準備でもした方がよほど建設的」

忍「成程。一刻も早く降ろすべきだと……そうでなくては甲斐がないと」

マキノ「そう。手段があるのなら、即時行使すべき。子ども達をあの空の檻に縫い付けたままではいけない。負荷をかけ続けているリスクを考慮すれば当然ではないかしら」

マキノ「このトラブルは時が解決しないのよ。しかも逆に事態が悪化するリスクは、時が経つにつれ上がり続けている」

マキノ「熱中症、脱水症、ストレス過多による心理的外傷。etc……――まさかそれを無視しているわけでもないでしょうに」


忍(義心尊く、かつ合理なる思考。喇叭の素養があるようだ)
265:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:36:18.69 ID:BEQwBlO10

マキノ「なにか」

忍「失礼した。――――では八神殿。そう思召されるならば、協力していただけるだろうか」

マキノ「協力? なんの話かしら。……この流れだと救助に貢献できる提案を期待してしまうけれど」

忍「その通りである。斯く我の現れたるは、子ども達の助けとならんがため。ひいてはプロデューサー殿の恩義に報いるためである」


忍「我は――諸事情勘案し、コースター側から動かす方法を採るのが上策だと考える」

マキノ「コースター側から?」

忍「まずは中空に縛られし子どもらの、その意志を確かめたい。――そして、今一度彼ら自身の決定で以て、この現状を打破したい」







……

…………








スタッフ「あの、お話がありますのでみなさまはこちらに」

765P「はい」

346P 「とうとう動かせるんですか?」
266:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:38:09.39 ID:BEQwBlO10

――

――――




エンジニア「この圧倒的な浮遊感を出すために、コースターと軌道レールは特殊な結びつきをしています」

エンジニア「進行方向に対応した逆張りの引力を発生させるための革命的なギミック……いわば限定的かつ小規模なジョビアン・プルトニアングラビティ――――まぁ、あれはデマでしたが、コレは実際に」

765P「……あの、つまり?」

スタッフ「専門的なギミックの話はいい。率直に伝えてほしい。……動かしていいのかどうか」

315P「そうです、知りたいのはそこなんです。」

エンジニア「失礼しました。――動かせるでしょう。問題はないはずですから」

765P「動かせるんですか!?」

エンジニア「安全レベルを最高に高めた状態では、ギミックが他の部品に干渉する危険があった時点で警告を発し、停止します。初めてのケースですが、今回はそれが原因である可能性が高いです」

エンジニア「セルフチェックでも具体的な原因が表示されないのは、器具や部品に本当に負荷がかかっているわけではないので検出がなされないためでしょう。……レアケースです」

346P 「初めてのケースか……」

765P「対応策についても前例がないんですね。やっぱり」

スタッフ「……はい」

エンジニア「とにかくこちらの見立ては強制的に動かしても大丈夫だというものです。恐らく」
267:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:40:23.97 ID:BEQwBlO10


315P「恐らく……恐らくなんですね」

エンジニア「前例がないから断言しようがないんです。万全を期すなら、軌道部分まで含めたコースターライド全部を目視・触手・聴音して安全確認しないといけないでしょうが」


スタッフ「ですがそれは流石に時間がかかりすぎます。今でさえすでに止まり過ぎだと言えるのに」

スタッフ「……それにパレードとの兼ね合いもある」

346P 「じきにパレードの開始の時刻ですね。その時、また報道ヘリが来て映されたら……」


765P(止まった目玉アトラクション、そしてそこに置き去りにされている子ども達。その際上空からカメラはパレードの様子も画面に収めてしまうだろう)


346P 「一枚の絵にパレードと事故現場。これほどわかりやすい天国と地獄もないですね……。対比されて『不謹慎』、『非常識』。必ずそう言った意見が噴出する…」

スタッフ「上も危惧しています」

315P「パレードもまた、ここの目玉ですもんね」

スタッフ「上がどう判断するか解りませんが、この場合はやはり中止……になるのでしょうか」

315P「それはやめてほしいです! ――あの子たち、楽しみにしてたんです。ここのパレード」

スタッフ「楽しみに……そうでしたか」


346P 「では、ほぼ大丈夫であろうという認識の下、動かすというそういう方向なんでしょうか?」

スタッフ「それしかないと、こちら側としても思っているのですが……」

765P「本当に安全なんですか?」

エンジニア「少なくとも、通常であれば動かしています。そのレベルです」
268:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:41:47.86 ID:BEQwBlO10

765P(騒ぎになってしまった。しかも問題がクリアできているか、完全な確証が持てない……責任の所在を気にしているのか)

765P「――表示は」チラッ



【安全上の問題がクリアされていません】



765P「相変わらず変化なしか」

315P「どうしますか。私たちもアイドルの子ども達を預かっている身です。こちらも意志統一をしないといけません」

346P 「…………」

スタッフ「346プロさんは6人も乗っていますが――」

346P 「いえ、数は関係ないです。心配する気持ち、救いたい気持ちに優劣はありませんから」

スタッフ「そ、そうですよね。失礼しました。では、そうですね。本社と協議する前に、こちらで決めなければならないコトを協議しておいて――――」




マキノ「……こちらから強制的に動かす、というのはすぐにできるものですか?」

エンジニア「いえ、例外的な措置なんですぐさまというわけにもいけません。申し訳ありませんが」

エンジニア「まずはコースターをコンピュータの制御から完全に切り離して、その後に緊急停止を引き起こした原因となったプログラムを改善するか、迂回するようルートを付けるかして……」

エンジニア「まぁ、このコースターの特性もあって複雑な処理ですよ。簡単であってはまずいものですから。コースター側から物理的に動かす手段もありますが、それは流石に」
269:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:44:22.29 ID:BEQwBlO10


マキノ「やっぱり時間がかかるか……そうしてあちらから動かした場合、完走は可能ですか?」

エンジニア「もちろんです。地上100mから滑り落ちるなら、電源を切った状態でも慣性でコースを踏破しますよ」

ロコ「コンピューターが稼働している状態であちらをムーブさせたとしてもノープロブレムですね?」

エンジニア「テスト済みですよ。保守点検でコースターを動かしたのちでも、制御システムはその位置のコースターを捉え安全なライドを……」

瑞希「ほほう。ちなみにコースターからはどうやって動かすのでしょうか」

エンジニア「あ、瑞希さん。ファンです。後でサイン下さい。動かし方は……点検の担当者を向かわせることになっています。まぁ、今回は地上100mですからそれも容易にはいかないんですが」

マキノ「そうではなく、実際の方法論です。どのような操作をすれば動かせるのでしょうか?」

エンジニア「これが保守点検のマニュアルですが。まずコースターの制御パネルを開ける必要がありますね」


瑛流「はぁー、なるほどだ。たしかにこの構造、応力集中発生しちまいそうなトコあるねぇ」ペラッ

瑞希「コースターの仕様書を読んでいる白石さん、マニュアルをちょっと見てほしいです。かもん」

瑛流「へえー、これがかい? ――よしよし、予想通りだ! これなら渡したマルチドライバーで攻略可能さァ!!」


瑛流「そんじゃ、まずはパネルを開いてくんな!」

瑞希「大神さん。一番前に制御パネルが隠されています。れっつ、おーぷん」


環『いえっさー! だぞ!!』





765P「…………お、おーい。いつの間にかここにいるけど、さっきからなにをしてるんだお前達」
270:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:45:18.51 ID:BEQwBlO10


マキノ「あちらから動かすわ。手順はモニターを通して指示できる。この事件を収束させるの」


346P 「マキノ……! モニターを持ってここに来たのか? みんなを連れて?」

マキノ「意志決定を速めることに貢献できると思って」


マキノ(責任の所在についての合意形成で長引く流れでしょう、これは)

346P (…………確かにそうだが)

マキノ(度し難い遅延行為と断ずるわ)

346P (マキノ怒ってるのか?)


マキノ「怒ってないわ。私は速やかに子ども達を降ろしたいだけ。大人の都合で振りまわされるのがアイドルだとしても、今回のそれはまったくの筋違いだと言いたいだけ」

346P 「…………怒ってるじゃないか」

346P (そうか。よく考えればずっと子ども達を観察して指示を出していたのはマキノ、お前だったな…………)


マキノ「とにかく動かす。そして子ども達を助ける。その方向で進むのならばこれが一番速い。問題あるかしら?」

スタッフ「しかし、動かすといっても! まだ合意が――その方法で行くとも決まっていないのですよ」
271:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:51:35.06 ID:BEQwBlO10


マキノ「時間的制約のことを考えれば、この方法しかないと思いますが。止まり過ぎと言えるとおっしゃったのはあなたです」

スタッフ「た、確かにそうですが」

ロコ「そう! パレードのスタートをオールグリーンにするには! まずトラブルをオールクリーンにしなければなりませんっ」

765P「ロコ!? そうか、ロコも同意してるのか」

ロコ「このパレードのアート、すっきりした気持ちで見たいですから。……ノン。違いますね。3人にも見せたいと思いますから」

765P「ロコ……お前。桃子達のために?」



エンジニア「確かに。つつがなく開催するなら、今から動かなければ……どうします?」

スタッフ「む、むむ……」



男性スタッフ「本社から連絡が! このまま動かないようなら情勢を鑑みてパレードを中止にしなければならないと!!」

女性スタッフ「そしてこれ以上止まるようなら、作り直しを視野に入れた、長期の休止もやむをえないと……!」


スタッフ「なに!?」

エンジニア「はぁ!? 作りなおしって! そんな必要ないのに! 要るのはシステムの改修くらいで……あ、そうか。イメージを払拭させなきゃいけなくなるってことか……!」 


瑞希「作り直しとは。ジエンドライド、一度無くなってしまうのですか?」

エンジニア「……冗談ではないです。ジエンドライドは本当に“ジエンド”を与えるからジエンドライドなんです。作り直しなんて、ありえません」

女性スタッフ「ですよね……しかし、本社も頭を悩ませている様子で」

瑛流「ジエンドライド、前衛的なエレぇ作りをしてるけど、作り直しとあっちゃァこのピーキーな構造、廃止されちまうぜきっと」

スタッフ「え……っ!?」
272:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:56:12.83 ID:BEQwBlO10

瑛流「緊急停止の根本の原因は特殊な構造にある。採用しておく理由がないさァ。新作おもちゃで何度も失敗した僕からの忠言だ。早くしないと、ジエンドライドの未来が無くなっちまうぜ」

ロコ「ロコナイズでさえ稀に批判を受けるのです。前衛的なアートは反発と反対を生んでしまうものです」


スタッフ「…………」

スタッフ(ジエンドライドが無くなる? そんな……どれほど時間をかけて……これからこのパークと歴史を刻んでいくのだと思っていたのに)

スタッフ「……………………万全を期そうと、時間を掛け過ぎたのが失敗か。臆病すぎました」


315P「私は速やかに子ども達を降ろしたいと思っています。そして……パレードもつつがなく開催してほしいと思ってます」

765P「私もです。向こうで動かすのが最適解ならば、その答えの実行のために手を貸していただきたいです」


スタッフ「わかりました。なにもかも、ご迷惑をおかけしました」

スタッフ(……そもそもが、被害者側の人まで巻き込んで合意形成など。責任からの逃避だったか)



スタッフ「動かしましょう。子ども達にさらなる負担をお掛けしますが、まことに申し訳ありません」

765P「ああ、765プロなら大丈夫ですよ。よくあることですから」

スタッフ「は?」
273:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:57:18.81 ID:BEQwBlO10



765P「こうしたトラブルも。トラブルの際の意外なアイドル達の活躍も。予測不可能なへんてこりんな展開も。全部765プロではよくあることです」

瑞希「おお。プロデューサーの声が自信に満ちています。……かっこいいぞ」


スタッフ「へ? どういうことですか……」

765P「あいつらならやり遂げます任せてください!」

スタッフ「は!? あ、はい……自信満々に答えて頂いて、あ、ありがとうございます」


346P 「すごい。このトラブルの渦中にあってこの自信。まるでホームグラウンドに帰ってきたかのよう」

315P「これがアイドル界に轟く『765プロではよくあること』…………!」


ロコ「この他事務所のプロデューサー達のエモーションはなんなのです。一体765プロはどう思われているのですか」


315P 「こっちも負けていられませんね……!」

346P「こっちだって突飛な状況には慣れています! さあ進めましょう!」


マキノ「だから、その張り合いは一体何。アイドル事務所が勝負するところではないでしょ……!?」
274:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/06(土) 20:58:01.87 ID:BEQwBlO10



315P「そう……不安もあるけど、早く何とかしないと……!」

315P(765プロさんみたいにアイドルのあの子たちを、信じて――)


――『おーいっ! プロデューサー!!』


315P「え、モニター……」



志狼『こっちでオレたちが動かせばぜーんぶっカイケツなんだろ!! まかせといてっ!!』



315P「志狼くん…………うん。ジエンドライドを守ろう。――危ないコトをしなきゃいけないってわけじゃないけど、無事で降りてきて。こっちもがんばるから」



志狼『はっはっはー! おーけー! あのさ、あのさ……パレード見れるよな? ちょっとくらくなり始めてるけど、間にあうよな?』



315P「うん。間に合うよ。――――君達のおかげで」



――『はは! やったー!!』
――『パレード見ていいんだー! プロデューサーさんありがとー! おりたらギューッてしてい~い?』
――『降りられたら、るいせんせいたちにお礼言わなきゃだね……』
――『おやぶーん!! 見て見て“せいぎょぱねる”のフタ、開けたぞー!!』
――『た、たまきさん。フタは振りまわさない方が……』





マキノ「確かに、大丈夫だという気になるわね。この子たちを見てると」

マキノ(――――『心配召されるな。動かしたとしても大事は起こらぬ』、か)


マキノ「あの人どこにいったのかしら」
285:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:37:51.09 ID:BrpFQe7V0


――

――――


空から青の色がはがれて、夜の始まりの薄紫が空に滲みはじめました。


宵の口。蒼が支配しているようで好きな時間だと、誰だったか言っていたように思います。


ぽつぽつと灯っていくパークの照明は、神様が空から砂糖でも振りかけたようにも見えて……不思議に興奮を覚えました。


その昂ぶりは、そう、ライブ前のあの期待と緊張と高揚のようで。

いつか両親に連れていってもらったミュージカルで感じたものと、少し似ているものでした。



――――パレード。



もふもふえんがはしゃいだように期待の声を上げるそれ。

パークの看板でもあるそのパレードのことはもちろん私も知っていて(事前調査で調べました)、

叶うならば、見てみたいと思っていました。


パレードは嫌いではありません。あの熱狂は…………好き、です。
286:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:39:40.49 ID:BrpFQe7V0


だから……マキノさんから、「そちらから動かすとなったらその作業をこなせるか?」との問いに「まかせとけー!」と即答した志狼くんの言葉に、反論を挟めなかったのでしょう。


ジエンドライドを守るために。

パレードを観るために。

悲劇と呼べるものを今日このパークからなくすために。


私たちは動きたいと思ったのです。







志狼「せいぎょパネルっての開いたけどどーすんの? レバーとかスイッチいっぱいあるけど」


――『右下に赤のスイッチがありますね? まずはそこを押してください。5秒ほど長押しすれば、上部にあるランプがグリーンに変わるはずです』

ありす「えっと、そこです、志狼くん。長押ししてください」

志狼「おっけーおっけー」



晴「あー、ようやく動くのか! ったく、早く立って走りてー! 足がムズムズするぜ」

桃子「ま、なんてことなかったね」
287:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:43:00.70 ID:BrpFQe7V0


――『慎重にな。落ち着いて……ゆっくり確かめてやるんだ。作業してない他の皆は、ちゃんと安全バーに掴まっておくんだぞ。それから……』


育「もー! だいじょうぶだよっ! 子どもあつかいしないでっ!! ちゃんとやれるから!」

桃子「結局、桃子達がしっかりしないとダメじゃない」


――『悪い悪い。信じているよ』


桃子「桃子はちょっとお兄ちゃんを信じられない。どーして中継、あの人選だったの。悲劇にしないのが大事だったってわかるけどツッコミで体力を使わせてどうするのっ!」


――『……あ、あー! じゅ、熟慮したんだぞ? いつもの空気で安心しただろ!?』


桃子「むしろ気が抜けちゃったよっ!」


――『わ、わかった。桃子の意見は降りてから聞くよ』


みりあ「いつもあんな感じなんだ! そっちもおもしろそうだねー!」

直央「765プロってたしか、Jupiterともフェスで競演したことありましたよね?」

育「そうだよっ! でも伊織さんとかあんまりとジュピターさんのこと話したくないみたい……?」

晴「へー? なんでだろな」

環「あ、でもでも! みらいは、じゅぴたーのファンだって言ってたぞ!」

かのん「そうなんだー! とうまくんたち、かっこよくてかわいいから、ファンになるよね!」
288:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:46:34.88 ID:BrpFQe7V0


桃子「未来さん、Alice or Guiltyの1フレーズを口ずさんでたことあったね」

志狼「あー! あれだろ! にしし、“君を見失う……”」


ありす「――っ!」バッ!!


志狼「あり……むぐっ!」


ありす「からかわないでくださいっ! 橘です!」

みりあ「あ、ありすちゃんの『橘です』だー!」

志狼「っぷは! なんだよ、まだなにもやってねーだろー!?」


ありす「からかう気マンマンの目をしてました。確実に“Alice”で私を指さして挑発してきたでしょう」

志狼「ぬぐっ!」

かのん「あー! 見やぶられちゃってる~! しろうくん。イタズラはだめだよっ」

志狼「ちくしょー、ありす……なんかするどくなりやがって……」

ありす「蓄積されたデータがありますから。あなたの行動パターンなんて解析済みです……ふふん」

志狼「なにぃ~! なめんなよ! このデータおんなめ! オレは……ヨソウをこえるオトコだぞ!?」


晴「……おーい、作業はどうなったんだよ。最前列」
289:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:47:56.42 ID:BrpFQe7V0

環「緑のランプ、ぜーんぶ点いた! これでいいんでしょ?」


――『はいOKです! ではここからです。コースターの側面に付いているロックを外していきます!』



……

…………



エンジニア「念のためしっかり安全バーを掴んでください。……いいですか? では【補助動力】と書かれた青の枠にあるスイッチに目を向けてください」

エンジニア「あ! 【油圧系】や【電子制御系】のところのスイッチには触らないよう気を付けてくださいね! 安全バーのラチェットロックの電子解除もそこで出来てしまいますから――」


志狼『ゆ、ゆあつけー?』

環『でんしせいぎょってなに? デンデンムシとカンケイあったりするの?』


315P「志狼くん! 環ちゃん! 変なスイッチとか押しちゃダメだってことだよ!」

瑞希「はらはらしますね……ふー……ふー……はぁぁ…………!! はぁー……!」

ロコ「ミズキ! 感情移入しすぎです! そこまでディープなトレースはマストノットですよっ!」

瑞希「そうですね。冷静にならなければ……私、これからは応援に専念します。フレフレ大神さん、フレフレ」

フレデリカ「呼ばれて飛び出てフレデリカ~♪ フレフレ登場!」ニュッ

ロコ「はわっ!?」

マキノ「呼んでないわフレデリカ。ほらあなたは舞田先生とダブル茜との任務に戻って。『労をねぎらう為にお土産をプレゼントするぞ大作戦』、頼んだでしょう」

フレデリカ「そだったー! んーそれじゃ、また見に来るね! ヒマだったら! ではまた会う日まで~! フレちゃんのコト忘れないでねー♪」


346P (あまりに話がややこしくなりそうな連中は外したんだな……)

290:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:49:36.28 ID:BrpFQe7V0


ありす『やっぱり私ががんばらないとですね。モニターは私が持っておきましょう。――スイッチ確認しました。それで?』


エンジニア「内部機構のロックを外します。まずは表示された図にある……」






……

…………






ありす「スイッチ2つ、ここですね」カチッ カチッ


――ギュイイン! ガチャ!!


千枝「わ、なにか音が……!」

環「え、なになに! 実は変形ロボットだったの!?」

桃子「そんなロマンないってば環。ありすさんの座ってるところの横あたりから、なんかでっぱりが出てきた」

みりあ「環ちゃんの席の横からも出てるよ! コースターの両側からでっぱりが出現だー! ここからどうするんだろ、なんかわくわくするね!」

直央「そ、そうかな?」
291:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 21:57:56.85 ID:BrpFQe7V0



……


エンジニア「ではここから。何度も申し訳ないですが危ないので安全バーをしっかり持って、そのでっぱりの先にある取っ手を掴んで引っ張ってください。バチンという音がしたらOKです」


環『ひっぱればいいんだね! りょーかい!』

ありす『わかりました。安全バーがあるから、左手を伸ばしてもちょっとぎりぎりですね……でも私がやらないと。ん……っ!』



瑛流「はァー。やっぱちょい特殊な操作が混じってるねェ。内部機構の構造上そう帰結するしかなかったんだろうけども」

マキノ「ええ、ジエンドライドには特別な機構があるものね」


男性スタッフ「パレードの準備8割方整いました!」

スタッフ「ああ。それでいい。どうやらできそうだ」

エンジニア(……よし)

瑛流「このままスムーズにいけば、パレードが無くなって泣く子どもを出さずに済みそうだねェ」

エンジニア(そうだ、このままいけば大丈夫だ)



エンジニア「できましたか?」


環『バッチリ! ありすちょっとモニターこっちに向けてほしいぞ――――おやぶん、たまきがんばってるでしょ!』

765P「ああ、すごいぞ環!」


ありす『いいですか環さん? ――左側も、はい。できたと思います、けど』


エンジニア「そうですか! ではそのままにしておいてください。操作を進めれば自動でひっこむので。……いいですよ。本当にがんばってくれていますね。感謝します!」


ありす『えへへ……これぐらい、難しくありませんよ』
292:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:01:36.01 ID:BrpFQe7V0

…………


操作をこなしていきます。

あちら側からの言葉を聞けば、どうやら問題なく作業は進み、パレードも開催できそうだということでした。

よかったと思います。


ありす(私たちの功績、ですよね)




少し安堵の気持ちが湧いてきて、私は眼下のパークを改めて見渡しました。


薄闇が降りてきたパーク。鮮やかな園内の“街並み”に照明が点在して光っていました。

不思議に、幻想的な淡い光。

パレード開始前には花火が数分間打ち上げられるということでしたから、夜の煌めきはこれからもっともっと増していくことでしょう。


このジエンドライド周りの照明も、もうすぐ灯されます。


そう……灯されるまでの時間を私たちはここで過ごしたのです。


地上100m。

止まったコースターに乗って。



ありす(でも、そんなに怖くなかった。ふふ。飛鳥さんよりは強いかもしれません、私)
293:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:05:16.85 ID:BrpFQe7V0

……

…………




桃子『もう作業は終わり?』


エンジニア「もう少しありますね。がんばりましょう」

瑛流「後は、補助動力に気ィ入れて、コースターをシステム側からのロックから一部切り離して、自走する設定にして、速力を適当に設定して、アクセルさせるだけさァ!」

エンジニア「っ!? よ、よくわかりますね」

瑛流「いや、おもしれェ仕様書だった! 実際の操作としちゃァ補助動力枠のAPU切り替えボタン押して、電子制御系の設定をレバー引いてドライブからスタンバイにして、駆動系のとこのスイッチでマニュアル操作に切り替えたら、前面のSPD設定ダイアルを最低の5km/hのとこにでも合わせて青色のスロットルレバー引きゃァ前進するのさァ!」



ありす『え? は?』

環『うー! いっきに言われてもわかんないぞーっ!』



エンジニア「手順表も見てないのに。やりますね、同業者ですか?」

瑛流「いンや? 僕はおもちゃ屋。あ、元おもちゃ屋か? まァどっちでもいいや」

マキノ(平賀源内は、電気の知識もないまま摩擦起電機を修理復元したのだったか……同じようなセンスはあるのね)

エンジニア「おもちゃ? そ、そうなんですか。――――あ、失礼しました。いっこずつ指示するので、ミスしないように確実にやってくれたら大丈夫ですよ!」


ありす『早くしましょう。のんびりしてるヒマはないんですから』

294:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:08:28.00 ID:BrpFQe7V0

……

…………


育「やっぱりこっちがしっかりしないとだめみたい!」

ありす「そのようです。……もう」



エンジニア『補助動力に切り替えます。枠の中にあるAPUと書かれたボタンを押してください』


志狼「うげ、えいご」

ありす「私しかやれませんね。A、A……A、P、U。ここですね」ポチッ

ありす(まったく私がいなかったらどうなってたんでしょう)




シュルルル、バタン

――ガ ガ ガ ガ!!!


――ビー!! ビー!! ビー!!




ありす「っ!?」

みりあ「わー!? なになに!?」

仁奈「すげー音がしてやがります!」

295:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:10:21.17 ID:BrpFQe7V0


エンジニア『警告音!? 一体なぜ!? 左右のでっぱり、ちゃんと引っ込んでフタがされていますか?』


環「えっ!? ――うん! こっちのはちゃんとひっこんでもとどーりになってる!」

ありす「え、えっ? それじゃあ――」

桃子「ありすさんの方がダメ! なんか中途半端に引っ込んで、フタも閉じられきってないよ!」



エンジニア『駆動系に干渉が……! ロック解除が甘い!』

346P 『え、大丈夫なんですか!?』



ありす(ロック……私のミス――!? そんな!)



――ビー!! ビー!! ビー!!


ありす「ひゃっ!」

かのん「わ、わ! 音、大きくなってきてるよ?」

ありす「すいません!! ろ、ロック解除すればいいんですよね!? また引っ張って解除します!!」

千枝「え、ありすちゃん!」


ありす「くっ! えい、えい……!」


私は左手を伸ばして、再び杭みたいなでっぱりの先にある取っ手を掴み、ひっぱりました。
296:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:13:32.03 ID:BrpFQe7V0


志狼「おい、ありす! おい!」


ありす(どうして環さんができて、私が失敗してしまったの……!?)

ありす(あ、もしかして――――利き手?)


ありす「環さんって右利きですか?」

環「えっ?」

みりあ「おハシ持つ方!」

環「いくらたまきでも右と左はわかるぞー! うん、たまきは右ききだよ!」

ありす(原因がわかりました分析完了です、環さんは右側のでっぱりを引っぱるから利き手である右手を使えてそれでちゃんとロックの出っ張りを伸ばし切ることができたからOKだったんですねなら私も)


ありす「大丈夫です、みなさん申し訳ありませんでした、すぐに直しますのでっ!」

桃子「ちょっとありすさん、そんなに」

ありす(モニターは左手に持ち替えて……)



利き手の右手でひっぱりましょう。安全バーが腕の稼働域を抑えるけれど……私がやらなくっちゃ。



ありす「ふぅ……っ……ん!! ん、ん~~~っ!!」

志狼「おい! おい!!」

ありす「平気です、なんてことありませんからっ」

ありす(ちゃんとしないと――!)
297:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:15:17.99 ID:BrpFQe7V0


できうる限りの前傾姿勢をとって右手を伸ばし、取っ手を掴み、渾身の力で引っ張ります。


ありす「ん~! ど、どうですか! このまま引っ張ればいいんですよね? ひっぱる方向あってますよね!? 確認してくださいっ」


エンジニア『そうです、引っ張ればロックは外れますが、その前に一旦APUを切り替えて、内部の駆動機構をオフにした方が……えっとこっちの手順は……!』


ありす(これでロックが外れる)

ありす「大丈夫です。できますっ」



ガ  ガ  ガ  ガ  ガ  ガ ! ! !


――ビー!! ビー!! ビー!!



ありす(なんて嫌な音……!)


こんなところで、こんな所でミスなんかできないのに、時間だってないのに……!



桃子「ありすさん! モニター貸して! 片手で持ちっぱなしなんて危ないでしょ!」

千枝「そ、そうだよ。ありすちゃん、誰も責めてないですっ。落ち着いて……」
298:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:16:37.46 ID:BrpFQe7V0


……

…………

346P 「ありすみんなの前でミスしたからって、焦って……!」

ロコ「むむむ! どうしてアラーム音というのはどれもペシミスチックなイメージなんでしょう! ロコだったらもうちょっとエアリーなイメージでこしらえます!」

マキノ(地上100mというシチュエーションでのミス、不安を煽る剣呑な音……責任は自分にあると考える。焦るに決まってるじゃない。そもそもジェットコースターが得意じゃなさそうなのに)







……

…………



桃子「ほら、貸して! 桃子が指示聞くからっ!」


グググ…!


ありす「いえもうちょっとなので、確認を取りながらやります! 大丈夫です、ひとりでできますから!」

桃子「――っ!! ありすさん! 一人で何でもできる子なんているわけないでしょ!!」

直央「桃子ちゃん……っ!」


エンジニア『やはりまず内部動力を止めてください! この段階ではフタが勝手に閉まって危険――――』



――――ゴォウッッッッ! ! ! ! ! ! !



ありす「きゃっ!!?」
299:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:19:56.78 ID:BrpFQe7V0


緊迫したモニターからの声の全てが、私の耳に届くことはありませんでした。


いきなりの突風に私たちはコースターごと揺らされて。

その際身体に波打った衝撃が、私の左手のモニターを虚空へと飛ばしていったのです。




桃子「あっ!! モニター!」

志狼「げっ、オレの上着」

ありす「あ、あ……!」



掛けていた志狼くんの上着が宙に翻っています……風にさらわれてしまったのです。



ありす(そんなっ!! モニターも、上着も、一体私は)



――シュルル、バンッ!!!


ありす「つっ!?」


度重なるショックな展開に一瞬我を失いかけたその時でした。


出っ張りを掴む右手にロックが外れた感触が走ったのは。
300:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:23:45.30 ID:BrpFQe7V0


ロック解除という目的は達成されましたが

しかし、そこから予期してないコトが起こりました。


出っ張りはロック解除されれば、環さんが担当した方もそうであったように、機体内部に自動で収納されます。

フタも自動で閉まるのです。


……そこに手があろうとお構いなしに。



ありす「いた……い……!」


環「わ、ありすー!! ダイジョーブ!?」

桃子「フタに右手が挟まっちゃってる!?」



引っ込んだ出っ張りに私の右手は連れられて、まるで……ベアトラップのように。

閉じようとするフタが手を噛んだのです。



志狼「抜けねーの!?」

ありす「……う、はまった感じが……! ……はぁ! ……は!」

晴「ヤベーな! ムリな前傾姿勢のまま……。桃子、ありすの手を引っぱってやれねーか! オレは位置的にムリだくそっ!」

桃子「桃子もダメだよ、安全バーあるから前の席まで手を伸ばせない!」
301:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:25:54.89 ID:BrpFQe7V0


仁奈「モニターも落ちちまいましたし! うぅーどうすればいいんだー!」

育「えっと、えっとー! 大人だったら、ここで……ここで……どんな風に」







……



エンジニア「モニターが落下して――!」

マキノ「暗転した。壊れたわ。まずいわね……伝達手段が」

346P 「あいつらが……!」


瑞希「白石瑛流さん。モニターもう一丁、できますか」

瑛流「よしきたァ! ケータイ提供してくれりゃァもう一個こさえてやる!」

マキノ「――いいわ、これ使って。バックアップ用だから。野々原さんを呼んで、またドローン飛ばしてもらわないと。プロデューサー私たちは出るわ!」

ロコ「ロコの手……ロコズハンドもお貸します!」


スタッフ「保守点検課に連絡して準備をさせろ! ……もはや余地が無い。向かわせる!」


315P「状況確認ができなくなってしまいました! 直接目で確認しないとっ! いきましょう」

346P 「はい!」


765P(パレード中止、運転停止………………終わりか、これで? )




765P(いや、俺は信じるぞ)


765P(アイドルの可能性ってヤツを)

302:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:29:27.24 ID:BrpFQe7V0
――

――――


【地上100m・in ジエンドライド】





ありす「…………く、う……!」


手と腕と肩、そして背中の右側にしびれが走ります。

安全バーに捕らえられたまま、左側の無理に右手を伸ばした無理な体勢で私は固まっていました。


ありす(なんて、なんて……)


――なんてついてないんだろう。

(フレデリカさんが来たあたりで今日の自分の運勢を悟ってはいましたが……)こんな目にばっかりあってる気がする。


しかし、これは避けられた運命で、かわすことができた窮地でした。




ジエンドライドを救ってあげる。

被害者の立場なのにそれでも優しさをもって振舞う。

それは偉人や聖人にでもなったかのような得意げな気持ちを生んで、それで気が大きくなって、それが油断を連れて来て……

失敗です。致命的な失敗です。



忘れてはならなかったのに。

まだ私たちは『助かっていない』状態にあることを。
303:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:32:07.48 ID:BrpFQe7V0

モニターが落ちてしまった以上、指示を受け取ることはできません。

私たちはコースターを動かす術を失ってしまいました。


遥か上空に私たちは取り残されたのです。




ジエンドライドも、パレードも、守ることができなくなって。

それどころか、私の身すら危ないことになってしまって――――




ありす「みなさん……すいません」


桃子「反省会はまた後! ありすさん、やっぱり抜けないのっ!?」

ありす「はい……」

千枝「大丈夫ですか、手が痛いんじゃ」

ありす「痛みというよりは、しびれが…………腕の感覚が、なくなって……」


志狼「ありす」


ありす「え?」

志狼「ひっぱるから。いたかったら言えよ――――うりゃ!」

ありす「んぐっ!」
304:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:34:38.79 ID:BrpFQe7V0

横に座る志狼くんが、私の右腕を掴んでひっぱります。


志狼「らあああああああっ!!!」グググ!

ありす「しろ、う、く……っ!」


志狼「どうだありす!? ダメか!? もうちょっと強くいくぜ!」ググググ!!!

ありす「ちょ、ちょっと!」


志狼「このー! くそー!!」


ありす(この人の目、まだ諦めてない…………の……)

ありす(でも、でも、これ)


ありす「いたいですっ!!」

志狼「うぉ!?」


みりあ「ダメかー!」

晴「カウントナインでギブか」

桃子「プロレスじゃないんだから。……ってホントにどうしよう」
305:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:36:18.50 ID:BrpFQe7V0

ありす「もう、やめてください」

志狼「……わかったよ」

志狼(くそ! すざくのあにきみてーに、もっとでっかくて力があれば、ありすのウデだってすぽーんってぬけたのに。今の、オレじゃ――)


志狼「…………ん?」




ありす「はぁ、はぁ……」

環「ありすー! がんばれがんばれ! がんばるとちょっと楽しくなってくるんだぞー!」

千枝「さ、さすがにこれは楽しめないと思います……」


仁奈「動かし方おしえてもらえなくなっちまいましたし、仁奈たちこれからどーすればいいのかなー……」

育「んー……」

ありす「…………」


ありす「……志狼くん」

志狼「おう?」

ありす「上着、すみません。落としてしまいました…………」

志狼「……だぁっ!! なんだよ! ヘコんでんのかよ! そんなのにあわね――」

ありす「……」

志狼「――っ! カオ青いぞおまえ」


千枝「え、ありすちゃんっ!!」

晴「おいおい大丈夫かよ!?」
306:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:38:29.56 ID:BrpFQe7V0

ありす「へい、きです、ちょっとか、考え事が多くて」

直央「この状態でかんがえごとって……」


桃子「ひょっとしてジエンドライドのこれからとか、パレードのコト考えてる? ……もう気にしてもしょうがないよ。次の反省点にして進むしかない」

みりあ「そうだよ、ありすちゃん! 今回は……ちょっと、ちょーっと残念だったかもだけど! みんな気にしてないし!」

直央「はい! 気持ちをラクにしてください」

ありす「…………はい」

晴(今回は残念、か。パレードも中止でジエンドライドも……)

晴「がんばったのにな、オレたち」 



志狼「おーい、かのん。かのんの席って何番だっけ?」

かのん「席? んーとね、かのんは4-M!」

志狼「そっか。Mってなんだろな?」

かのん「ミドル、まんなかって意味だよー! レフトが左でー、ライトが右!」

志狼「ってことはやっぱ、オレの席は1-Mだな。ネンのためのカクニン完了!」
307:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:40:44.32 ID:BrpFQe7V0

志狼「そんでーえーっと、えす、えー、えふ、いー、てぃー、わい、ちょっと間あけて、びー、えー、あーる、ってどういうイミ?」

直央「え? S、A、F、E………T、YでB、A、R?」

かのん「ん~~っと、セーフティ バー? かな? 安全バーのコトだとおもう」

志狼「オッケー! えるおーしーけーは?」

晴「志狼、お前なんかしようとしてんのか?」

桃子(LOCK?)

ありす「ロック……ですね」

みりあ「あ、李衣菜ちゃんがよく言ってるロックンロール!?」

桃子「違う、鍵のロックだよ」

志狼「そっかやっぱロックか! サンキューみんな! そんじゃいってみよー!!」カチッ!!



――グワン!



ありす「え!?」


志狼くんが制御パネルのスイッチの一つを押したその途端でした。

志狼くんの席の安全バーが跳ね上がったのは。


桃子「は――?」

志狼「よっしゃー! ひさしぶりに立てたー! やったぜ!!」
308:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:42:44.67 ID:BrpFQe7V0

みりあ「わー! 志狼くんが立ったー!」

仁奈「じゆーの身ってやつですか!」

直央「ええ!! しろうくん、も、もしかして安全バーのロックはずしちゃったの!?」

桃子(確かに、解除できるって言ってた――)


志狼「おう! はずした!」

千枝「は、早く戻さないとダメです!」

志狼「もどしてどーすんだよ! こっからなのに!! ――よっと!」

ありす「あ!」


コースターの前面に登った志狼くんは、私の右手を噛むフタをのぞきこみました。


志狼「これか。オオクワガタにはさまれるよりはマシな感じじゃん」

志狼「んじゃ、いくぜありす、すぐ抜けよ! ――おらぁー! ばーにんっ!!!!」


男子の両手がフタを開かせます。

きつく閉じようとしていたそれは、少しずつ広げられていき私の右手の戒めを解いていって。


ありす「…………!」ググ…グ…


……あっ


ありす「抜けた――!」



志狼「へっへー!! やりー!!!」
309:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:45:08.22 ID:BrpFQe7V0

ありす「し、志狼くん」

志狼「どーだ、外してやったぜ! オレはまだあきらめてねーかんな!」


目の前を見上げます。

宵の風と、一番星の輝きとともに、コースターの頂点で得意げに胸を逸らす男子の姿がありました。


ありす「…………」


ありす「バカですか!? あなたは!!」

志狼「あぁ!?」


桃子「志狼くん! 早く席に戻る!!」

直央「あぶないよー!」

環「ねー! しろう、どこのスイッチでコレ上がるの? たまきにも教えてほしいぞー!」

育「落ちちゃったらしんじゃうよー!」



志狼「わ、わかったわかった!! もどる、もどるって!!」

志狼「んだよおまえら……ちぇっ」


志狼「――うお」



志狼「すっげー! パークがぜーんぶみえる! 上のホシも、下のヒカリも……すげーきれいだ」
310:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:46:24.04 ID:BrpFQe7V0

志狼(この『イチバン上のケシキ』。ずっとわすれねー気がする)

志狼(でも、やっぱ……たかすぎだぜ、ここ……!)


晴「なにやってんだよ! あぶねーって! オレを残して死んだら承知しねーからな!!」


志狼「お、おう晴。もどるってば!」




――ゴ ワ ア ァ ァ ッ ッ ! ! ! !




志狼「へっ?」



みりあ「きゃああっ!!」ヒシッ

直央(また強風が――!!)



志狼「うおっ……!」グラッ


かのん「ひゃっ!! しろうく――――」

311:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:50:06.35 ID:BrpFQe7V0


キュウキュウニョリツリョウ!!

志狼「――っと?」



環「しろう!! ふぁいとー!!!」ガシーッ!!!!

志狼「おう!? い、いっぱーっつ!!」グイーッ!!


仁奈「おー! たまきおねーさんが捕まえたー!」

晴「ちょっ!? おい!? こっちに倒れ掛かってくんな!?」

みりあ「わー!」


バターン!!

ワー! モウ! ナニヤッテルノー!!!

フワァ…


――

――――







志狼「安全バー下ろしてっと――おーけー! はー、あぶなかったぜー!」
313:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:57:22.74 ID:BrpFQe7V0

ありす「落下死の危険があったんですよ! なに考えてるんですか!! ロジカルシンキングのできない、刹那主義者ですあなたは!!」

志狼「うげ、うるせーな! オレがあんなとこで死ぬワケねーじゃん! ったく、たすけてやったのに」

ありす「たのんで、ませんよ……ほんとに、もう………………ばか」

環(ありす泣きそう? なんでだろ?)


桃子「志狼くん、わかってる? あそこで落ちたり、そうでなくてもケガでもしてたらもうジエンドライドの復活はなかったんだよ。まあそれももうあんまり関係ないかもだけど。行動する前にまず考えて!」

志狼「うー、ももこもかよ、わかったってば。……しょうがねーじゃん、なおに負けてらんねーって思ったんだからよ……」

かのん「もーしろうくんは! でも、ちょっとかっこよかったけどねっ!」


千枝「落ちなくてよかった」

直央「うん……! よかった、本当に……」

みりあ(直央くんも泣きそう……大事な友達なんだ)




志狼「だぁーっもう! オレの話はおわり!! んなことより――いくぜおまえらー!!」

仁奈「へー? いくってどこにでごぜーますか?」

志狼「決まってんだろ! このコースター動かして、ちじょうにもどるのだー!」
314:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:58:55.54 ID:BrpFQe7V0

直央「え……っ」

志狼「なんだよなお! いっただろ! ジエンドライドをまもりたいってよー! 今のうちに動かせばまだパレードにもまにあうぜ!!」

育「そっか! まだお終いってわけじゃないもんね」

みりあ「確かに、今から動かせば間に合うかもー!」

ありす「なに、言ってるんですか……指示が受けられないのに」

晴「動かし方わからねーじゃん、そこんとこどうすんだよ」


志狼「えーっと! そこは、ももこあたりが考えるってことで」

桃子「ひとまかせっ! なにも考えてないの! もう、勢いだけなんだから……こんなとこでふざけてる場合?」

志狼「んだよ、ももこはジエンドライドまもりたくねーのかよ! パレード見たくねーのかよ」

桃子「……桃子をなめないでって言ったでしょ。守りたいし、見たいよ。当たり前。…………だから今考えてるんじゃない」

環「え、かんがえてくれてるのかー! ももこー! がんばれー!」

桃子「はいはい…………そうだ。なおくん、『セリフ』覚えてる?」

直央「セリフ?」

桃子「うん、あっちから一回、動かし方を一気にしゃべってた人いたじゃない。おもちゃ屋だとかなんとか」

ありす(あ、確かに)


直央「そうだね! いました! えっとなんてこと喋ってたっけ……ダイアルとか、レバーとか」
315:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 22:59:40.94 ID:BrpFQe7V0

仁奈「おおー! それ思い出せば動かし方がわかるのでごぜーますね! おもいだせー! 聞いた時の気持ちになるですよ!」

ありす(まだ終わってない? ――繋がってる?)


桃子「えっとまず、補助動力って言ってたよね」

直央「うん、そこを切り替えをするって。ここまではやったよね」

桃子「焦らないで、いっこいっこ思いだせるもの思いだしていこう」

直央「そう、だね……レバーを引いてドライブから――――」

桃子「最後はレバーで前進。いや待って、ダイアルを回さなきゃいけないんだ。その前に」

千枝(……すごいなぁ)


直央「そう、マニュアル操作って言葉があって……」

桃子「あとは、あとは、えっと、もう! 思い出せ!」



育「桃子ちゃん……」

晴「やっぱダメか?」


こずえ「ふわぁー」ノビー


晴「っとこずえ。しゃべらねーと思ったらずっと寝てたのかよ。ったく、お前は」
316:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:00:15.94 ID:BrpFQe7V0



こずえ「うんとねー、『ほじょどうりょくわくのえーぴーゆーきりかえぼたんをおす』のがおわったらー、『でんしせいぎょけいのせっていをればーをひいてどらいぶからすたんばいにする』のー」


晴「は?」

桃子「え、こずえさん?」



こずえ「そのつぎはー『くどうけいのとこのすいっちでまにゅあるそうさにきりかえ』てー」

こずえ「そしたら『ぜんめんのえすぴーでぃーせっていだいあるをさいていのじそくごきろめーとるのとこにでもあわせてー』」

こずえ「さいごに『あおいろのすろっとるればーをひきゃーぜんしんする』のー……さぁー……」


桃子「…………」

直央「…………」

ありす「…………」




志狼「……やるじゃん、こずえ」

こずえ「もっとおもいだせるよー」

晴「お前がMVPでいいよもう」
317:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:01:17.25 ID:BrpFQe7V0

――……



ガチャ! バンッ! カチチチ―




志狼「よっしゃいくぜ!!」

みりあ「おー!」

育「しゅっぱーつ!」

桃子「ああ、長かった」

千枝「本当に、降りられるんですね……下りられるんですね」


志狼「なお! かのん! うごかせるぜとうとう!」

かのん「はーい!」

直央「うん……よかった」


ありす「…………」


周囲を改めて見渡します。

これは、本来一瞬の景色だったはずのもので……愛着というか、今から去るとなると名残惜しさが湧いてきました。

降りたいって思うのに、早く解放されたいって思うのに、奇妙な感じです……


コースの照明が灯されて、目に映る景色が薄い光のヴェールを纏います。

この景色を焼きつける。その感想を述べる。私は最初ここでそう思


環「じゃーれっつごー!!」レバーグイーッ!!

ありす「えっ、まだモノローグが途中で!」
318:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:02:57.12 ID:BrpFQe7V0

―― ガ タ タ ン !



仁奈「あっ!」

かのん「うごいてるー!」

ありす「あ、よかった。操作ミスはなかったんですね」

千枝「ちょっと心配でしたけど、上手くいったんですね……やった……」

みりあ「パレードにも間に合ったー!! えへへっ! ばんざーいっ!」

直央「ほ…………っ」

桃子「ふうっ」



育「ふふっ、ちがうよ! みんな」


桃子「育?」

志狼「ああ、そーだなっ! ほっとするのはちげーよな」

晴「そうそう」








晴「――――――絶叫タイムはここからだもんなっ!!!」


319:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:03:42.36 ID:BrpFQe7V0


地上



315P「どうですか?」

346P 「はい、照明が点いて正確な姿がわかります。ありすももう挟まれていません。みんなちゃんと座っています――――ん!?」

ロコ「おお! ――ムービング!!」

マキノ「動いている……!! 自分達でやったのね――――素晴らしい」


765P「ほらな! ほらな!! こうなると思ったんだ!! ははっ!!」

野々原茜「フフフ、茜ちゃんもわかっていたよ! こうなることは茜ちゃんがかわいいのと同じぐらいわかりきったことだったよ!」






…………

オオオオオオオッッッ!!



「コースター前進開始!!」

「動きました! パレードにゴーサインがでます!!」

「やった、やったー!!」



スタッフ「動いたか!! 通信が断たれたあそこから動かすとは。どうやったんだ」

エンジニア「下りてから聞いてみましょう――――それより、ふふふっ!」

スタッフ「うん?」


エンジニア(システムを断たないまま動かすこの方法を採ることができて本当に良かった)

エンジニア(ジエンドライドの一番面白いところを十全に味わってもらえる!! …………っと、不謹慎か?)

320:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:04:34.10 ID:BrpFQe7V0



動き始めた機体。


制御を一部切られたコンピュータはすぐさまコースターを完全に“掴み直し”、ジエンドライドのその真価を発揮させる。


321:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:05:37.14 ID:BrpFQe7V0






――――――!!!!!!!!



加速。谷底へ。

暴風のような重圧と、重圧の様な暴風と。


切り裂かれていく風の中、波のように誰かの声。


魂が置いていかれるような圧倒的な前進力。


それはどこまでも一流のジェットコースターがもたらす衝撃でした。





しかし、これは。このジエンドライドは。

それだけの代物ではありませんでした。






重力と速度の果て。


高速で“落下”し、傾斜を走破しているその最中。




すごく不思議なことですが――体にかかる重圧が散り溶ける思いがしました。


322:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:06:45.01 ID:BrpFQe7V0


飛鳥さんが言っていた言葉が私の頭をよぎります。



――『空を自由に羽ばたくのは人の夢ではあるが……あれはベルトに固定されて、否応なく振り回される別物だ』



ジェットコースターという乗り物について。


そのようなものだと私も思っていました。




だが、その認識、幻想は、この瞬間に 木っ端みじんに 砕かれて――――!!










私たちは風となりました。


323:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:07:33.73 ID:BrpFQe7V0





安全バーの拘束も、自分のカラダという重りも、その一切が掻き消えたように。




ただ私は一筋の線となり、地球に満ちる大気の動きと一つとなって、この煌めくパークの展望の中をめまぐるしく駆け巡っていきました。




夜空に花火。

ライトアップが閃いて。

綺羅星のようなイルミネーション。




視界はもはや世界であって。

世界はもはや自分であって。


その光すら、私たちと融合し、同一化され……


目を通り、身体を通り、少しの間並走して――世界の煌めきとなって散っていく。その光の気持ちすら完全に理解することができました。




光が散り散り。

箒星になったかのよう。



324:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:08:28.48 ID:BrpFQe7V0



身体は風で、視界が世界。




下が上になるような、右が左になるような、世界がハイテンションになって強烈にスピンしているような、そんな前人未踏の浮遊感と速度の中で


私たちはこの世界の決まりごとが一つ終わったような心地がして、そして……


まったく新しい未来が到来したような、そんな衝撃を受けました。








――ジエンドライド。



そう、これはきっと……今までにピリオドを打ち、新しい未来を魅せる乗り物だったのです。


325:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:09:29.42 ID:BrpFQe7V0
















「アイドルの少年少女たちが今、下りてきました!」

「全員無事な模様です!」

「まずは医務室へ! 健康状態のチェックを――――」

「一言もらいにいくぞ!!」


326:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:10:05.32 ID:BrpFQe7V0

――プシュー!!


ワーワー! ウオー!!




環「…………もどってきた」

晴「…………おー」

仁奈「ふへー……」ポケー

かのん「ふわぁー……」ポケー


みりあ「…………すごいね。これすごい。すごすぎる」

千枝「……………うん、こんなの初めて」

ありす「はぁ…………はぁ……」

志狼「………………ももこ」

桃子「…………なに」







志狼「クレープおごりな」

桃子「桃子は参加してないから」


こずえ「たのしかったー……とってもたのしかったー。ふふー……」
327:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:11:43.18 ID:BrpFQe7V0


――

――――

――――――



Jupiter


FRAME



冬馬「うっし、着いた! ここだここだ!」

英雄「信玄……バイクちょっと飛ばしすぎじゃなかったか……」

信玄「うん? 法を破るような速度を出した覚えはないが速く感じたか? すまんすまん、早急に駆けつけようとしてしまって気持ち速くなってしまったようだ」

翔太「まー、こっちのみのりさんカーもなんてゆーか“仏恥義理”な感じで高速をかっ飛ばしてたし、いいじゃないかなー」


315P「あ、JupiterとFRAMEのみなさん! 来て下さったんですね!」

龍「あ、プロデューサーさん! 本当にご苦労さまでした!」ビシッ

北斗「仲間がこんなトラブルに巻きこまれているのをテレビで見てしまったら、じっとしてられませんよ」

冬馬「そういうこと、だぜっ! ……今、諸々一段落ついたとこみてーだな。仕事片付けて速攻で来たんだけど……もふもふえんはどうしてるんだ?」

315P「もふもふえんは、今検査を医務室で受けています。問題ないようだったので多分もうすぐ……」


志狼「あーっ! とうまたち!! きてたのかー!!」


冬馬「おっ! 志狼無事だったか!! よくがんばったな! 見てたぜ!! ……ま、315プロのアイドルとしてなそれぐらいできねえと困るがな!」

志狼「へっへー! トラブルこえんの、Jupiterもやっただろ! オレたちもうジツリョク的にならんだんじゃねっ!?」

翔太「アハハ、負けないよー♪ こっちも!」
328:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:14:48.18 ID:BrpFQe7V0

志狼「あ、FRAME! もっとはやくきてくれよー! いまさらおせーよー! たすけてくれるって思ったのに!!」

英雄「お、おう。わりぃわりぃ」

信玄「助ける、か。作戦を立てるなら、我々よりも空挺部隊の方が有用な状況であるから……」

冬馬「マジで作戦立てなくていいっスよ」

龍「しっかし不運だったなー! オレがいればアンラッキー吸いこめたかもしれないけど」

志狼「あんらっきー? ……ベツにっ! ついてねーって思ったことねーしオレ!! たのしかったしな!」

信玄「はは、あの状況を幸運と思えていたか! 本当に楽しかったようだな。その笑顔を見るとわかるぞ」



「わーんっっ!!! こわかったよー!!」



英雄「お!? この声……ああ、あっちの女の子のアイドルたちの方か」

信玄「む。女性が集まっている。参ったな、やはり緊張してしまう」
329:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:17:16.48 ID:BrpFQe7V0


翔太「すごい勢いで泣いてるね。女の子はやっぱり怖かったのかな?」


「よしよし、もうだいじょうぶだから」


龍「ちゃんと慰めてる人がいる。……ふふっ、なんかいいですね、こういうの!」





このみ「うわぁ~~んっ!! 育ちゃん!! しん、ぱいっ、した、よぉ~~~~~!!! みんな、こんな、ことにっ、まきまれてぇ~~~~!!! ひぐっ! ぐすっ!!」

育「よしよし……。ありがとう、このみさん……もうシンパイいらないよ?」ヨシヨシ

亜利沙「いーです!! いーですよー育ちゃん!! 聖母の如し!! 号泣モードのこのみさんをやさしく受けとめるとは素晴らしい!! ムフーッ!」パシャパシャパシャパシャ!!!

伊織「なんで育の方が慰めてんのよッ! 逆でしょうが!」


馬場このみ


松田亜利沙


水瀬伊織






冬馬「って、なんだあの状況!」

翔太「あ、冬馬くん! 伊織さんがいるよ」
330:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:18:28.28 ID:BrpFQe7V0



765P「やれやれ……いつも騒がしいな、こっちは」

このみ「いや、来る前はちゃんと気丈に振舞ってオトナの風格っての見せようって思ってたんだけどね……育ちゃん達の顔見たらああ、よかったってキモチが溢れちゃって……」

亜利沙「わかります! わかりますよ!! トートいですもんね!」

765P「ははは……っと冬馬たちがいるな!」

亜利沙「えっ! プロデューサーさんあの最強からサイコー!へ不死鳥の如く蘇ったアイドルグループ、Jupiterとお知り合いなんですか!」

765P「まぁ、な。黒井社長とも知り合いだっただろ? 久しぶりだけどな」

このみ「知り合い? 本当なのー?」

765P「本当だって!」


765P「まったく。よう、冬馬。がんばってるみたいだな――」


冬馬「げ、水瀬……伊織!!」

伊織「ふん、名前は覚えてるみたいね流石に。にひひっ!」

志狼「しってんの?」

冬馬「志狼、こいつには気をつけろよ。延々名前を書き取りさせてくるからな……!」


765P「おーい! 冬馬。中々いい曲を貰ったじゃないか。あれはお前らの軌跡が……おい?」


伊織「ちょっ! あれはアンタがこの伊織ちゃんの名前を覚えなかったからでしょっ!! 子どもに誤解させるようなコト言ってるんじゃないわよ!!」ガルル

冬馬「それでも書き取り百回はおかしいだろーがよ!」グルル


765P「……おい! なあ冬馬! あのぅ」
331:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:19:33.56 ID:BrpFQe7V0


伊織「おかしくないわよ! 覚えさせるために反復して書かせることのどこがおかしいのよ!」

志狼「オレ、かきとりニガテ……そんじゃ!」

冬馬「お、逃げた。へへ、やるじゃねえか志狼……危険察知能力あるぜ」

伊織「爆弾扱いしてんじゃないわよ! また教育が必要かしら?」

冬馬「げっ、水瀬お前、話すとすぐ怒りだしやがって! なんなんだよ!!」


765P「討論に夢中かもしれんが無視すんなってー! ――なー冬馬ー! 羅刹!! ピピン板橋!!」

亜利沙「違いますよープロデューサーさん!! あの人は天ヶ瀬冬馬です!!! 名前間違いは学級会案件ですよ!!」ズガー!!

765P「うぉう!? いや、わかってる、わかってるけど……! 今は背中から刺される時代なのか……!」


冬馬「お、765の。久しぶりだな、なんか」

北斗「チャオ♪ ご無沙汰してました」

765P「ってさらっときたー! ……あ、うん。久しぶり」

このみ「あら、本当に知り合いだったんだ。すごいじゃない」

765P「信じてもらえてうれしいです……」

翔太「そっちは765プロのアイドル? またにぎやかになってるね!」
332:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:20:32.47 ID:BrpFQe7V0


冬馬「ん? あんた、天海と顔の造形似てんな。どことなく」

亜利沙「え!? に、似てますか!?」

伊織「造形とか言うんじゃないわよ。あんたの趣味のフィギュアじゃないんだから。キモいわよ」

冬馬「は、はァ!? 造形は一般用語だろ!? つーかなんでそこでオレの趣味とか出てくんだよ! オレはどっちかつーとメカ・特撮寄りだっての!!」

翔太「うんうん、前事務所でダンスの練習やった時に壊しちゃったのもそういう系だったね」

冬馬「翔太ァ! また壊したのかお前!!!」



桃子「お兄ちゃん、トラブルが片付いた後ぐらいもうちょっと静かに収めてよ!」

765P「お、桃子! いやー静かにするのはもう俺ムリだとわかった。――おつかれさま、桃子。よくがんばったな」

桃子「本当にね。……あ、そうだ決めてたんだった! ジュース買ってきてよお兄ちゃん! 12本分ねっ♪」

亜利沙「桃子ちゃんセンパイー!! すでに用意してありますよ~! ご苦労さまでしたーっ!!」

桃子「え!? 亜利沙さん、あ、ありがとう……!」

765P(やれやれ。来たのは伊織たち3人と……)




麗花「まてまてー!」ダダー!

かのん「にげろにげろー♪」タタターッ

仁奈「わー! あはははっ!」タタターッ



765P「あっちで童心に帰ってる麗花か……いや、普段から童心あふれてるけど」


北上麗花


333:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:23:22.38 ID:BrpFQe7V0


英雄「765プロってのもいい繋がりがあるんだな」

みのり「亜利沙ちゃんと桃子ちゃんはリコッタのメンバー! あれはとってもいいユニットだよ!! なんていうかね……家族愛みたいなものに満ちていて……!」

翔太「わ、みのりさん! 語るねー……」


渡辺みのり



信玄「む、なんだかずいぶんここに集まってきたな」

みのり「こんなアイドルがいっぱい! しかも自発的に集まるなんて貴重過ぎるよ!! これは見ておかないと!!」


亜利沙「はっ!! 同族のニオイが……! アナタは渡辺みのりさんですね!!」ニュッ

みのり「ああ、亜利沙ちゃんがここに来てくれるなんて! アイドルファンからアイドルに転身した希望の星!! はばかられる言葉だとは承知しているけど……ぜひお会いして薫陶を受けたいと思っていたよ」

亜利沙「ミートゥ―、です……知っていますよ渡辺みのりさん。あなたのアイドルちゃんのガチマニア具合は。いずれ道は交わるだろうと思っていました……!」

みのり「そっか……! じゃあ、今、ちょっとだけいいかな?」

亜利沙「なんでしょう?」


みのり「ごめんね、これだけはどうしても確かめておきたかったんだけど……涼くんの従姉の秋月律子ちゃん、765にいるよね」

亜利沙「はい」

みのり「律子ちゃんってさ、結局ゲームは得意なのかな……!」

334:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:24:45.93 ID:BrpFQe7V0

亜利沙「それはもう! 律子センパイはタイムマシン作れるレベルですよ!? プロフにもあるしゲームが苦手なわけが……!! いや、しかし、しかしですな……! なぜか最近『TVゲームってそんなに得意じゃないんです』とメールを打っているところを目撃したこともあり……ありさとしても、より調査が必要だと……!!」

みのり「そっか……!! やっぱり疑問に思う人がほかにもいたんだね。ありがとう引き続き調査をお願いするよ……! いや、設定変わったんならそれでもう、俺は、うん、別にね? 気にしないんだけどね」

亜利沙「いえ。アイドルちゃんの真実を追い求めるのは人間として自然な行為です……。ありさも……真さんのお父様について気になっていますので……!」

みのり「そう! 現役レーサーだったはずなんだよ!」

亜利沙「ですです! F3の! それがいつの間にか“元”になっててありさびっくらぽんです!! 315プロに入るとでもいうのですかっ!?」


伊織「……なに盛り上がってんの。真のお父様にもそりゃ色々あるでしょ。変わっていくもんよ」


みのり「あ、ああぁ……伊織ちゃん! 本物だ……! あっちむいてホイが強いって設定を忘れてなかったことに俺さりげなく感激してました……!! 春香ちゃんは友人に100連敗するくらいだけど、伊織ちゃんは逆なんだよね……!」

亜利沙「あれいいですよね! 響ちゃんが元卓球部で卓球強いってところが久しぶりに描写されたのと同じぐらいのクリティカルポイントでした! サスガですサスガ! いきなり料理人を目指し始めたのにはぎょっとしましたけれどっ!!」

伊織「な、なんなのアンタら……!? 何の話をしてるの」


冬馬「おい水瀬、料理の道でも負けねーからなっ!」

伊織「は、ハァ!? どうしてそんな話に――――いいわよ、かかってきなさいよ!!」

335:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:26:41.41 ID:BrpFQe7V0

英雄「料理か。そういや信玄も最近レパートリー増えてきたよな」

信玄「ああ、またハンバーグをふるまおうか?」

英雄「おう、楽しみにしてるぜ。俺は……まずパンケーキ道でも極めなきゃな」

桃子「パンケーキってホットケーキのことだよね? 好きなの?」

英雄「お、お嬢さん。おうパンケーキは大好物だぜ! 生クリームもいいけどメイプルシロップが極上だな!」

桃子「へえ中々わかってる人だね! いいね、見どころあると思うよっ♪ ……顔はコワいけど」

英雄「ぬぁっ!? ……え、えがおできてるよな?」

龍「大丈夫です! 最近自然な柔らかい笑みになってきてますよ! これからですこれから!」


麗花「あ、プロデューサーさん! おつかれさまですー! 茜ちゃんも子ども達もみんな楽しそうでしたね~」

765P「そ、そうか。麗花にはそう見えたか。恐怖の感覚わからないからしょうがないな……」

冬馬「んだよそれ……。どういうアイドルなんだよ」

麗花「料理で思い出したんですけど、どうしても来れなかったミス美奈子から“アレ”預かってきてまーすっ! はい! 満漢全席ですよー!! ガンバってタッパーに入れてきました!!」ドサドサドサドサ

765P「しまっ……!! タッパーでくるとは!! 完全に油断していた――!!」

346P 「ていうか、こんな大量の荷物背負ったまま、チビ達とオニゴッコして汗一つかいてない麗花さんおかしくないですか……?」


冬馬「765プロのシアター組っての、一件普通の女子かなって思ってたんだけどよ……ナチュラルにぶっ飛んでるヤツが多くねーか」
336:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:28:15.19 ID:BrpFQe7V0

桃子「ももこ、直央くんの様子見てくる。千枝さんとみりあさんがついてるから大丈夫だと思うけど」

志狼「オレもいくかなー。ドリルランドのジェットコースターの時よりかはゲンキだし、カンドーしてるっぽかったからダイジョーブだと思うけど」

315P「あ、志狼くん! 上着上着!」

志狼「あれ!? 上着おちたのに、なんで! ひろってくれたの?」

315P「ふふ、忍さんがね。瑛流さんといっしょにもう行っちゃったけど、また会う機会があれば……お礼、言ってね」






……




瑛流「それじゃァな! アイドル目指してお互い、はげんでいこうじゃないか!」

忍「ああ。息災で……」


マキノ「見つけた。こんなところにいたのね」

忍「八神殿」

マキノ「事後処理はまだあるでしょうけどひとまず一件落着ね。それで質問があるの……動かしても大丈夫だと言っていたわよね。どうしてそう言い切れる確証を持てたのかしら?」

忍「それは……」
337:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:29:03.87 ID:BrpFQe7V0

…………

雨彦『ああ、心配は無用だよお前さん。あのコースターに悪いものは見えねえ』

忍『承知した。天意の占断もそのように?』

雨彦『ああ。読んでみたがあの小さな先輩方の星の配置、致命的な凶星は見えねえし、病気・怪我の徴もでてやしねえ。読みとれたのは“急転直下”の意――くくっ、あからさまだろ?』

忍『成程……ご助力痛みいる。占術、巧みであるな』

雨彦『託宣のように扱われるのも気恥ずかしいもんだな。大したもんじゃあないさ、星々から聞いた声を言の葉として紡いでるだけ――ってな。しかしフォローはしてやってくれよ』

忍『わかっている。プロデューサー殿が預かるアイドル達。この命に代えても無事に収めてみせよう』

雨彦『そこまで張りつめなくてもいいさ。いざとなったら式……』

忍『む?』

雨彦『折り紙のお守りもあるからな』



葛之葉雨彦


…………




忍「…………危難を測ることに優れた知り合いがいてな。会社から繋いでいただいた」

マキノ「ふぅん。どこからかトラブルの原因でも突き止めたのかと思っていたわ」

忍「我がか? なぜそのような」

マキノ「そうね。うまく言語化できないけれど。フフッ、あなた――諜報員のにおいがしたもの」
338:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:30:51.71 ID:BrpFQe7V0

忍「ほう? 諜報員とは…………しかし、八神殿。それは我に内なる自分を投影したのに過ぎないのではないだろうか」

マキノ「投影?」

忍「八神殿の振る舞いからこぼれ出る、洞察力、論理的思考力。それは諜報・間諜の活動に必要なもの。八神殿こそ諜報員たる自分を持っているのでは」

マキノ「私があなたに己を映していると? ……なるほど。確かに思考が先走っている感覚があるわね」

マキノ「……しかし諜報員か。自家撞着を抱えた問いだけれども、私諜報員らしいかしら?」


忍「――ふむ。八神殿は忠義に厚く、人道を違えない、きっと良き諜報員になるであろう」

マキノ「なによそれ。それは能力でなく精神性の話じゃなくて? しかし、そう……そのように評してくれるのは光栄なことね」

忍「知的好奇心の果てとして諜報に興味を持たれたか?」

マキノ「まあ、ね。知識欲のままに情報を自在に収集できる存在に憧れを抱いた時もある。プロフィールの趣味欄に諜報活動とあるのは、我ながら姿勢としてどうかと自問する時もあるけれど、本質だから如何ともしがたい」


マキノ「しかし。厳密に言うならば。私があなたに見出した諜報員らしさと、私の中の諜報員の像は違う」

忍「諜報員も多様であろうからな」

マキノ「そうね。私は現代ならば電子諜報(シギント)・画像諜報(イマジント)に重点を置くのが常道だと思っているわ。しかし、あなたは接触諜報……ヒューミント派に見えるの。隠を密にするタイプね」

忍「……」

マキノ「あら? 正解なの? フフッ、そうなのかしら」

忍「――八神殿」

マキノ「ん?」

忍「口数は収められよ。喋喋とすれば相手方の警戒心が強まろう」

マキノ「……あらご忠告。…………ありがたく受け取っておきます」
339:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:31:52.12 ID:BrpFQe7V0

マキノ(…………はぐらかされたか? でも、この際直截に)

マキノ「あなたの名字。北条氏に仕えた、足柄山の……あれよね?」


マキノ「いや、いいわ。忘れてください。なにを言っているの私は」

マキノ「あまりにファンタジーね。いや、そう否定できる物証が無い限りファンタジーと断じることはできないけれど……流石にね。忍者の末裔ですか、だなんて聞くのも憚られるわ」

フッ

マキノ「まあ、あれね。あなたがいずれアイドルをやるのなら、その時は忍ドル路線も悪くないんじゃないかしら」

マキノ「うちの浜口あやめも言ってたわ。いずれ風魔の忍ドルとぶつかるかもしれないと――」



…………。



マキノ「って、いない」

マキノ「目を離したらすぐに姿を消すわね、あの人。神出鬼没……本当に忍びの者だっていうの」

マキノ(…………もぅ。正体を突き止めたくなってくるじゃないの)


野々原茜「しのび~? ふふふっ! 茜ちゃんを呼んだか~いっ?」

マキノ「の、野々原さん。いえ、ベツに……というかあなたに忍者属性はないでしょう」

野々原茜「おお、茜ちゃんが分身の術の使い手だとご存じない!? ふふふ、こりゃあれですな、ここでお披露目してあげなくてはなりませんな~」


野々原茜「――『茜ちゃん』『大忍術!』『これぞアイドル忍法!』『さあ!』『どれが』『本物の茜ちゃんだ!?』シュタタタタタ!

マキノ「反復横とびじゃないの!」

野々原茜『ヒントは』『一番』『ぜはっ』『カワイイ』『ぜひゅ!』『子だ』『ぜふ…!』『よ』!!」シュタタタタ!

マキノ「息切れしてるしやめなさいっ、これ以上ウザ……騒がしくならないで!?」
340:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:32:34.17 ID:BrpFQe7V0

……

志狼「あれー!? なんでだー!?」

直央「わっ、しろうくんどうしたの?」

志狼「見てくれよー! オオカミの折り紙がやぶれてんだよー!」

環「わ、ホントだ! なんでやぶけたの?」

志狼「しらねーよ! ポケットに入れてただけだし」


桃子「身代わりになったのかもね」

志狼「ええーっ、なんだよ、みがわりって」

桃子「志狼くんあぶないことやったでしょ。死んじゃうかもって時、助けてくれたんじゃない?」

ありす「残機1つ減らしてしまったってことでしょうか。そういえば環さんもお守りわけてもらってましたね。やぶけていますか?」

環「んーん! ほら! ちゃんとたまきのはかっこいいオオカミのままだぞー!」

晴「ってことは……、志狼は1ミス、環はノーミスってことだな! ははっ!」

志狼「んだとーっ、オレはたまきにまけてねーぞ!! …………あっ! 思い出した!! 絶叫ガマンショーブだれのまけだっけ!? ありす?」

ありす「私じゃないですよ!」


莉嘉「みんなー!! 助かってよかったよーっ!!」ダダダッ!!

みりあ「あ、莉嘉ちゃんだー!! 来てくれたんだ、ありがとーっ!!」

莉嘉「うん! こっちも大変だったんだよ、ヘレンさんがヘリから世界レベルのレスキューを披露しようなんて言ったりー! ……お姉ちゃんがここには近づけないとか言ったり」
341:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:36:20.64 ID:BrpFQe7V0

晴「美嘉ねえさん来てねーの?」

莉嘉「ううん! 来たよ! すごくがんばって来たよ!」



……


フレデリカ「美嘉様。ようこそおいでくださいましたー。こちらが当パークのVIPルームでございます……ははーっ!」

美嘉「VIPってなに! いつの間にパーク側の人間になったのっ」

麗花「美嘉ちゃん様、こちらですー! 満漢全席タッパーをごちそうしちゃいますよー! 子どもに会いに来た優しい人にはごほうびっ! です!」

美嘉「い、いらない……満漢全席タッパーという言葉もわかんない」

類「そうだね! Big sisterの方のミスじょうがさき! すばらしいHeartを持っているね♪ 子どもたちへのおみやげ、ひとつpresentするよ! はい、けん玉!」

美嘉「なんで遊園地まで来て愚直なまでに木の質感しか感じないけん玉をチョイス!? 」

日野茜「そこに、好きというハートがあるからですっ!! 遠慮は要りませんっ!! さあ燃え盛りましょう!!」

美嘉(……予想をはるかに……超えてる……っ!!)




ありす(なんて状況に……! 美嘉さん足止めありがとうございます……今のうちに離脱しましょう)


桃子「にぎやかだね。にぎやかすぎ。ここ言ってみればあっさり終わるエピローグの部分なのにみんな濃いからゼンゼン終わらないじゃない」

晴「フルメンバーでサッカーもヨユウで出来そうだな!」

桃子「サッカーか。そんなのやったこと……」

晴「え、桃子サッカーで遊んだことねーの?」
342:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:37:39.23 ID:BrpFQe7V0

桃子「……慣れ合いとか好きじゃなかったから。でもアイドルになって、仕事としてやったことはあったよ」

晴「へー! 感想は?」

桃子「中々悪くないと思った……みんなでやるなら。――なんてねっ!」

直央「桃子ちゃん、いい人たちに囲まれてアイドルやってるんだね。なんだか、うれしいな……」

桃子「ちょっ、なんで直央くんがうれしくなるの! もうっ!」


ありす(直央くんがジエンドライドをそれほど恐くないって言ったのは、みんなが周りにいて、気が紛れていたから……?)

ありす(奏さんが言っていましたね。見知った顔があるとちょっと安心する……)


志狼「アレすげー!! あははは!!! のりてー!! そーだ! “ふぐあい”があったらユーセンパスポートくれるんだ!! もらいにいこーっと!!」


ありす「……まぁ、志狼くんも、少しは役に立ちましたか」



新世代を導くなんてといっていましたが、志狼くんは元気なだけで、美波さんような気遣いや知性が欠けていると思います。

リーダー性なんて、見えません。

今回に限って言えばLMBGのリーダーの千枝さんや、もふもふえんで一番指示を聞いているという直央くんの方が……



でも……今思えば、あの男子が隣にいたから、トラウマにならずにすんだのかな。
343:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:39:07.70 ID:BrpFQe7V0

ありす「…………」


ありす「ふふ…………あははっ」


なんてこと。あの頂点での混乱を思い返した今、楽しかったなんて感想が出てきてしまいます。


あの元気さ、まっすぐな熱さ。いざとなったら自分が危なくなる道を決断できる勢い。それは……少しは褒めるべき点、なのかも、です。





桃子「おつかれ、ありすさん。はいジュース」

ありす「あ、ありがとうございます! ……おつかれさまです」

桃子「いろいろ、反省点多い一日だったね」

ありす「……それは、そう、ですね」

桃子「でも失敗は次に生かさないと失敗の意味が無くなっちゃう。だから桃子……次はもっとうまくやる」

ありす「桃子さん……! はいっ。次があればもっと効率的にもっと安全にもっとスピーディーに解決しましょう!!」

桃子「そう、その意気。 ま、桃子たちにまかせすぎ! ってなっちゃうからそこは原因となった方も反省してもらわないとだけどねっ」


志狼「おーい! ユーセンパスポートもらってきてやったぞー! すげーおレイいわれた!」

桃子「って、もらってくるの速……まだ遊ぶ気マンマンだね」

ありす「やっぱり、こういうところは子どもですね」

志狼「んだよ、ももこもありすもいらねーのか!? いらねーならいいけど!」

桃子「いるに決まってるよっ! ほら渡して!」
344:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:42:31.17 ID:BrpFQe7V0

ありす「要ります……私も、ちゃんとこのパークの魅力を覚えて帰りたいって思うので……あっ! パレードが始まってるみたいですよ! 見てから遊びに行きましょう!!」

志狼「おうっ!? なんだよ、はしゃいで! オマエも遊園地すきなんじゃん!」

ありす「……ち、違いますよ!? はしゃいでなんか……! ――そう、奏さんや文香さんがいないここは、年長者の私がちゃんとしないと……!」

環「いいよ! もっとはしゃご!! “楽しいっ! もっと遊ぼう! ずっとずっといっしょなんだよ” ――♪」

晴「元気あんなー。負けてらんねーな」

志狼「そうだな! オトコがまけてれらんねーよな! いこうぜ晴!」

晴「あ? オイ、志狼……てめーな! オレも女だからな!」

志狼「おっと! わりー、気があうから、なんかつい」

桃子「失礼なコトばっかり言わないように」

志狼「ちぇっ! ももこだってズバズバいってた時あんじゃん……」


千枝「まだ、遊べるんだ。直央くんはジェットコースターとかまだ乗れますか?」

直央「うん。みんなで乗るんだったら、大丈夫だって思います。あそこで、と、友達が横にいてくれた時はこわくなかったから……」

千枝「……そうなんだ。千枝も……横にいてくれて……」

育「そうだねっ! またみんないっしょにのったらきっと楽しいよっ!」

千枝「わ! ……はいっ、みんなで楽しむって素敵です、よね」


環「みんなで、みんなで――むむむ。……そーだっ!!」
345:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:43:37.74 ID:BrpFQe7V0

――

――――




765P「やれやれ。みんな生命力にあふれてると言うか、なんというか……」モグモグ

315P「にぎやかですね。とっても……でもトラブルを越えてこんなふうに笑えるのはきっと奇跡なんでしょうね」

346P 「今日一日でどれだけ人の想いが交錯したのか。こんな大事件そうそう起こってほしくはないですが、悪いことばかりじゃなかったと思います」


765P「765プロは……アイドル界を引っぱる存在になれると思ってました。アイドルを楽しんで、そして道を示すのは765プロだって」モグモグ 

315P「……」

765P「でも今日感じたのは――みんながそれぞれのベストを尽くした上での他と交わりは、一つのプロダクションではできなかった感動を生む、ということです」モグモグモグ


765P「これからどう影響しあうのか、どうなっていくのか。きっとそれは誰にもわかりませんが……………これからもお互いがんばりましょう!」モグモグモグモグ

765P「いつか美しい城で交差するその時、最高の輝きがあるように――!」モグモグー!


315P「ハイ!!」

346P 「はいっ!! ……あの、でもそういう恥ずかしいセリフを言う時は、食べるのやめたらどうです?」

765P「多いんですよー!! いつもよりさらに!!」

315P「分けましょう分けましょう!!」
346:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:45:39.87 ID:BrpFQe7V0


環「おーいっ! おやぶーん!」

765P「お、たまきどうした?」

育「あのね、わたしたちパレード見たら、パスポートを使って遊びにいこうと思うのっ!」

765P「遊ぶ!? ……いや、まぁそれくらいのごほうびはないとダメだよな。いいぞ! 遊んでこい」

育「うんっ それでね、プロデューサーさんもいっしょに来てほしいなぁって!」」

765P「引率か……よしわかった」

桃子「ふふ、引率だけじゃないよ、お兄ちゃん♪ いっしょにアトラクション参加だからね!」

765P「はっ?」


晴「765プロはオーケーだってよ! 346プロはどうすんだ、プロデューサー」

346P「飛び火っ!! あっちもOKとは」

みりあ「みりあねー! ウォーターゾーンの『デス・コキュートス』がおもしろそうだって思うの!」

ありす「ファンタジーゾーンの『デス・エンドレス』というのもありますが……私は怖くありませんが、プロデューサーはどうです?」

346P「なんでそんなデスばっかついてんの!? 敬語キャラなの!?」


315P「ぱ、パレードここからも見えるね!! 人が多いけどフリークのメイクすごいのがわかるよー! 職人技だねー!」

志狼「ああ、すげーなー! まもったかいがあるぜ! ――プロデューサーあのパレードさ、終着点が『ヘル・フリークス』って絶叫アトラクションなんだよ……いっしょにサイゴまでみにいかね?」

315P「そのまま乗せるコースだよね!?」

直央「プロデューサーさんといっしょなら、こわくないんですけど……」

315P「いやー! あー、うー……!」
347:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:48:54.98 ID:BrpFQe7V0
315P「……」

765P「……」

346P「……」

協定発動


346P 「そういえば、ちひろさんから事後処理の計画を練っていてくださいって連絡が来てたなー」

765P「俺たちも、いっしょのくくりで動かないとダメでしょうね。いっしょに練りますか!」

315P「ですね。とりあえず番組側とパーク側のそれぞれの対応を確かめてから……これは、いそがしくなりますね! すぐにとりかかりましょう! というわけでごめんね―――」


志狼「プロデューサーがにげるぞー! つかまえろー!」

環「遊園地またきたらいっしょにあそんでくれるって言ったよねっ! ヤクソク今つかうぞー!」


765P「速攻で追いかけてきたー!」

346P「流石だ……!」



麗花「ディーフェンス! ディーフェンスっ♪」ババッ

765P「わっ、麗花!?」

麗花「どうして楽しいことから逃げるんですか? 罰は当たりませんよ? プロデューサーに楽しんでもらうために道を塞ぎますっ!」

かのん「でぃーふぇんす、でぃーふぇんす♪」

仁奈「ふぇーんす! でごぜーます! カベの気持ちになるですよ! くっ!」


346P「囲まれたか! これは、やばいな……」

348:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:50:20.33 ID:BrpFQe7V0

フレデリカ「ディーフェンス! ディーフェンス! たまに思い出したかのようにオーフェンスっ! でもおおむねディーフェンス! ふふー!」

346P「出たなフレデリカー! 意味分からないって!!」


英雄「まぁまぁ待てよ! プロデューサー! 子どもの笑顔のためだ! 付き合ってやろうぜ!」

315P「逮捕はカンベンしてください、英雄さん! ちょっとコワいのは……」


信玄「なんだ? ここがマジノ線でもないだろうに。だが楽しそうだ……あまねの笑顔を思い出す。手を貸そう!」

美嘉「プロデューサー!! 仕事はこなさなきゃ。ツッコミという仕事をね……フフ……」

翔太「いーじゃん! いっしょに乗ろうよプロデューサー! きっと楽しいよ~」

伊織「別事務所のアイドルがいても、結局いつもの風景ね。あきらめなさい、プロデューサー! にひひ!」

765P「ぞろぞろでてきた!」

346P「みんな笑みがこわいんだけど」


亜利沙「おお! アイドルちゃんたちがここまで気持ちを一つにするとは――これは、奇跡の瞬間です!!」

みのり「う、尊い……こんな……光景を観れるなんて……!!」

315P「そこまで尊いですか!?」



――ワーワー!! ナニ!? プロデューサーヲネギラウンダッテ!! アツマレー!!!


こずえ「あそぼー……ね? あそぼー……」


765P(ああ――これは、逃げられないな)

349:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:52:08.16 ID:BrpFQe7V0

346P 「……」チラッ

765P「……」コクッ


315P「ふー! わかりましたっ!! ……観念、します。いっしょに乗りましょう!」

かのん「やったー!」

環「勝ったぞー!」

みりあ「勝負だったっけー!」


346P(まったくなんて楽しそうなんだ)

765P(これが、あるからなんだよなぁ……)


諦観のような感動とともに、あの最初の出会いを思い出す、


ジェットコースターに乗っていたのは一体、どっちだったのだろう。

行き先を知りたい。いっしょに未来を見たい。

そう思わせたのはどちらだったか。



まるでパレードへの期待のように。

この道の向こう。進んだ先を――――どこまでも、見てみたいと思わせたのは。



315P(答えは……考えるまでもないか)




志狼「へへ! プロデューサーありがとーございまーすっ!!」
350:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/21(日) 23:58:54.49 ID:BrpFQe7V0






「それじゃ――――ついてきてくれよなっ!!」















完!

351:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/22(月) 00:00:33.83 ID:3OFp2FQ+0

大変お待たせしました。終わりましたー!
エピローグみんな好き勝手喋って長くなりましたが、こういうのはそうそう書かないので配分がわからなかった。いやネタ結構削ったんですけどね…

新曲やら新ライブやら新刊やら新アイドルやら新企画やら新声帯やら新ゲームやら、話題が目まぐるしい!
恐らく今が一番各コンテンツがフル稼働してるんじゃないかなーって思います。酸欠になりながらもそれを追えるのが幸せ…

今回書いてると楽しすぎたんですが、
でもフル稼働すぎてもあれなんで今度はもうちょっと落ち着いた話にすると思います。


おつきあいしていただいた方たちに感謝。
352:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/22(月) 00:02:36.02 ID:3OFp2FQ+0

過去SS一応置いておきます


クロス系過去作 (SideM×シンデレラガールズ)

橘志狼「よーしっ公園で自主練だ!」橘ありす「私たちが使う予定なんですけど」
橘志狼「顔面セーフっ!!」橘ありす「アイドル的にはアウトですよ」
橘志狼「ありすっライブのチケットくれ!」橘ありす「なんの冗談ですか」
橘志狼「早押しは得意だぜっ!」橘ありす「正解しないと意味ないですよ」
橘志狼「チョコ貰ったかって?」橘ありす「昨日の私はまさか渡していませんよね?」

村上巴「駒落ちは無し」岡村直央「真剣勝負……です」


塩見周子「誕生日に」東雲荘一郎「想を練る」

塩見周子「荘一郎さーん、約束のケーキっ!」東雲荘一郎「わかってますよ」


櫻井桃華「あら、あなた忘れ物をしておりますわよ?」 都築圭「ごめん、静かにして」

榊夏来「……猫?」佐城雪美「うん……ねこ」

渡辺みのり「シンデレラガール総選挙だよっみんな投票してッッ!!」

城ヶ崎莉嘉「夏休みだーっ!」秋山隼人「虫捕りに行こう!」

白坂小梅「あの子を……探してるんです」九十九一希「と、片目を隠した少女は言った」



SideM
牙崎漣「寺で修行ってなんだコラ」
若里春名「うわあああっ、今日のロケ弁ステーキ入ってるぅぅっ!!」

美作武史「決闘を申し込む」ランスロット「またアイドルの世界か…!」(候補生組)

冬馬「ずっとずっとその先へ」


シンデレラ
芳乃「おやーこれは封印しなければなりませんねー」こずえ「えぇ~」
芳乃「むー…そなたは天照様でしてー?」紗枝「うちですか?」



北斗「趣味はヴァイオリンとピアノかな☆」
愛「『秋月涼』対『水谷絵理』」
353:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/08/22(月) 00:04:26.16 ID:oNKbKWEB0
乙です!!
リアルタイムで楽しませて頂きました!!

ものすごくボリューミーで読み応えがありました!!
次回作楽しみにしています!

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